ヴォルティススタジアム

【徳島vs北九州】プレビュー:前哨戦からすでに興味深い、 様々な思惑が交差する一戦。

■第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会 2回戦
9月3日(土)徳島vs北九州(18:00KICK OFF/鳴門大塚)
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天皇杯1回戦を順当に勝ち上がったヴォルティス。「対戦相手はカテゴリーが下のチームだった」と言えばそれまでだが、その部分を差し引いても意義ある勝利だと評価したい。というのもレビューに記した通り、これまで比較的出場機会の少なかった選手たちが半数を占めるメンバー構成だったが、それぞれがむやみに個の力でなんとかしようとするのではなく、さながらリーグ戦で戦うチームの如く、守備は高い位置から連動してプレスを掛け、攻撃ではサイドに起点を作り幅広く相手ゴールに迫っていた。また、難しいであろうと予想されたコンビネーションにおいても、全員が意識を合せてプレーしようとした結果が6得点に結び付き、日々取り組むトレーニングの充実さをピッチでしっかりと表現し、リーグ戦の良い流れを継続してくれたからだ。総力戦が求められるリーグ戦終盤に向けて、チーム力の底上げについて考えた時、まさに「意義ある勝利だった」ということになる。

さて、今週の天皇杯2回戦は、同じJ2リーグで戦うギラヴァンツ北九州を迎え撃つ。今季の北九州、ここまでのリーグ戦では残念ながら下位に甘んじている。しかし、原一樹や小松塁が引っ張る攻撃陣にはタレントを擁し一発の破壊力を秘めているため、守備の場面における軽率なプレーや隙を見せることは禁物だ。また北九州が抱える課題のひとつ守備面に関しては、DFラインに西嶋弘之が復帰したことで安定感が出始めている。そして、その攻守をつなぐのが本山雅志。勝負の機知に富んだこのベテランをプレーメーカーとして機能させないためにも、ヴォルティスとしては高い位置からしっかりとプレスを掛ける自分たちのスタイルで、立ち上がりから試合の主導権を握りたい。

5月のリーグ戦より

そして、こちらもすでに紹介した通り、この試合にはもうひとつ注目したい点がある。それは、翌週(9月11日)にもJ2リーグ第31節で対戦を控えるという点だ。それを踏まえての天皇杯2回戦である。連勝を狙うのか?消耗を考慮して温存するのか?それとも・・・。互いによる前哨戦はすでに始まっており、指揮官がどう打って出るのか、見る側としても誠に興味深い一戦になることだろう。

それからもうひとつ、ヴォルティスにとって好転している事実をご紹介したい。それは怪我人の復帰と新加入選手の合流だ。見渡してみてもほぼ全員が全体練習に参加しており、さらに天皇杯1回戦で活躍した選手たちによる一層のアピールが練習に活気と緊張感をもたらしている。また、慎重に調整を続けていたアチーレ エマナ選手も確かめるようなボールタッチから実力の片鱗を見せており、いよいよ本領発揮が期待される。

いずれにしても、それぞれの立場で思惑を交差させながら戦う90分。キックオフが今から待ち遠しい。

reported by 松下浩太郎

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