山梨フットボール

「試合終了の笛を聞いたときは今までスタンドから見ていた時よりも”応援してもらっている”ということを強く感じました。ファン・サポーターの皆さんがいてくれるから苦しくても戦えるんだということがよく分かった(内藤大和)」【2021明治安田生命J2リーグ第35節 甲府2-1長崎 レビュー】


2021年10月23日 甲府2-1長崎(14:03K.O/JITリサイクルインク スタジアム/入場者数5,704 人(新型コロナウィルス感染予防対策のため、制限付き。入場者上限10000人以下、または、収容率50%以下での試合開催)/天候 晴 弱風/気温 19.8℃/湿度 20%/全面良芝)

得点者 3’植中朝日(長崎) 11’長谷川元希(甲府) 65’ウィリアン・リラ(甲府)
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田と京都が2試合続けて引き分けるとは思っていなかったが、そうなったことで4位の長崎に勝った価値をより高く、じわじわと感じる。試合終了の笛を聞いたときの新井涼平やメンデスのガッツポーズにギリギリの激闘だったことも感じた。新井は「(J1昇格のためには)だいぶん前から1戦ごとの勝利しかないことが続いていた。どのチームと対戦しても勝たないといけない中で先制され――逆転勝利の経験がない中――終盤に逆転勝利に持って行けたことに対してあの感情、気持ちが出たと思う」と話した。また、WBの荒木翔は勝利の笛を聞いた後、逆サイドのWBの須貝英大に歩み寄って抱きしめた。この理由を聞くと「WBをやっている選手にしか分からない”しんどさ”がありますから…。”お互いによかったね”という気持ち」と話してくれた。”残り全部勝つしかない”といっても甲府がチームとして、クラブ規模で飛び抜けているわけではなく、上位陣や規模が大きなクラブ相手となれば五分五分の勝負は覚悟しないといけない。その中、残り8試合で最も強力な戦力がありクラブ規模も大きな長崎に勝った価値は高いし、山形戦(第32節、2-0○)のように運に助けられた勝利ではなく、選手の意思と能力、戦略と戦術で得た今季初の逆転勝ちに高い価値と満足を感じた。

勝利の瞬間、新井涼平(左)もメンデス(右)も全力のガッツポーズ。難しい試合を勝ち切った感情が表れている。

WB組合の組合長の荒木翔は試合後、須貝英大に歩み寄ってハグ。走行距離が長く、スプリントも多いWB組合員にしか分からない勝利の味を分かち合い、称え合った。

崎戦の翌日(第35節2日目)、京都が山口に1-1で引き分けた試合はヨルディ・バイスの後半のシュートがノーゴールと判定された。映像を見返せばバーに当たってゴールインしており、この部分だけ見れば京都が2-1で勝っていた気の毒な試合。このシーンはジャッジリプレーでも取り上げられていたが、主審が甲府でプロのキャリアをスタートした御厨貴文さんだったから書き込みなどで激しく非難されたと思う。甲府も前期の琉球戦で引き分けが負けになった経験があるけれど、どのチームもシーズン通して見れば得も損もしている。そして、この試合は前半の宮吉拓実の先制ゴールの映像を見ればオフサイド。京都は――内容では完全に優勢勝ちも――1点得して、1点損した試合でもある。前半のゴールは京都のベンチ側だったので京都サイドも”オフサイドを見逃してくれた…”ということもあって、試合後に”誤審”を強く主張しなかったのかなぁと思った。得点に関係するミスは勝敗に直結するので無くさないといけないが、選手も審判を欺くようなプレーをすることもあるので非難ばかりではなく、当事者に面と向かって言えるような言葉や態度でフットボールファミリーの一員同士敬意を持って改善策を考え――アメリカンフットボールみたいに試合をブツ切りにしない限りミスはゼロにならないので――最終的には”審判のミスもサッカーの内”ということを受け入れるしかないと思う。それが嫌なら一つの判定ミスや不運で勝利が逃げないように常に2点以上差を付けて勝つしかない。

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