山梨フットボール

「勝てていないチームが陥る罠なのか、チャンスに決められず、局面の気迫と連携不足で2失点」【2020明治安田生命J2リーグ第25節 甲府0-2福岡 レビュー】

2020年10月10日 甲府0-2福岡(15:03K.O/山梨中銀スタジアム/入場者数 1,528人(新型コロナウィルス感染予防対策のため、入場可能数の50%以下の制限付き)/天候 雨 弱風/気温 17.8℃/湿度 90%)

得点者 59′ フアンマ デルガド(福岡) 71’石津大介(福岡)

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湿度が高いスタジアムでマスクをつけていると眼鏡が曇る。いろいろなメーカーのマスクを試してみるけれど曇らないマスクは有りそうでない。そして、0-2になってからは眼鏡も試合を見る眼も心も曇る、曇る…。冷たい雨の中で闘う選手と多くのファン・サポーターがポンチョを着て声を出さずに手拍子と念で後押しをしたスタジアムに願い、祈ったゴールも歓喜の時も来なかった。

ウエー4連戦を見据える余裕はない。この試合に全てを賭けた。あとのことは考えていなかった」と試合後のZOOM会見で話した長谷部茂利監督。率いる福岡は5連戦の初戦なので当然ターンオーバーなしのベストメンバー。甲府はFW陣がケガから戻り切れず、DF陣もコンディションがもう一つで無理をさせないという判断で、本来ならば使いたかった選手の何人かをスキップさせたベストメンバー。

れでも一定以上のオーガナイズ、主導権を持ったプレーが9連勝中の福岡相手にできるのだからアキラ(伊藤彰監督)ヴァンフォーレがしっかりと積み上げてきていることは素晴らしい。ただ、素晴らしいでは満足できない状況に追い込まれていただけに勝ってナンボの試合だった。前半、12分に左サイドで仕掛けた泉澤仁が入れたグラウンダーのクロスに右シャドーの太田修介がギリギリ合わせてシュート。マークに付いていたエミル・サロモンソンはボールに足を出したのではなく、太田の足を引っかけるように足を出したように見えたがファールは無し。金沢戦でも“あわや”という“PKかも”的なシーンがあったが、主審は家本政明さんくらい肝が据わってないと“PKを出す間違い”と“PKを出さない間違い”を天秤にかけると後者を選ぶんだなぁと思う。もちろん、”甲府に勝ってほしい“と思って贔屓目で見ているから主審の方が正しいのかもしれない。ただ、勝ててないチームが”あれはPKだった“と言い続けるのは――生活を賭けてやっている当事者だから納得できないだろうけれど――いい傾向ではない。それでも勝つのが強いチーム。

22分の中塩大貴のヘディングシュート。いい当たりだったが、コースを狙えなかった。

16分には山本英臣のFKがバー当たり、22分のCKは中塩大貴のヘディングシュートが枠を捉えるもGKにとっては比較的反応しやすいコースでCKに再び逃げられた。こうやって振り返ってみると金沢戦同様に前半に決定機がありながらも決められなかったことを突き付けられる。“何で決まらないんだと”みんなが思うし、答えはよく聞く”ゴール前の落ち着き”や”ちょっとした運“ということになってしまう。ただ、内容的には相手があることなので主導権を持てない時間もあったが、いいときに比べると球際の強さやプレスに行くときの迫力には欠けていた。北九州(3-0○)、長崎(2-0○)に連勝した時は相手が嫌がるくらいの迫力で奪いに行けていた。この迫力、気迫、活力で――完全に足りないとは言わないけれど――福岡を凌駕する時間を増やせなかったことで勝つ確率を少し下げたのではないか。

半も立ち上がりに決定機を作れていて、前半失点せずに0-0で後半に入った価値と勝利の可能性は充分にあった。47分に右から藤田優人が入れたクロスが長すぎたが、福岡のクリアが都合よく太田の進路に転がり、ファーを狙ってシュートを打つも枠の外。“何で決定機に決められないのか”と思う場面だが、枠に流し込むことができなければGKがスーパーセーブをしなくても入らない。かといって、シュートを置きに行けばセーブされる。難しいところだけど、太田が言うように「ゴール前での落ち着き」がどれだけあるかで微妙なタイミングやコースを狙えるのかもしれない。その一瞬が“あっ”と言う間に過ぎるのか、2つくらいの選択肢を見ながらシュートを打てるのか、でもあると思うが、”入る時は入る、入らない時は入らない”ではない、何かを見つけることができることを祈るだけ。経験値の高いFWが何人も稼働できていない中で責任から逃げることなく闘う太田の背中をみんなで押したい。

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