山梨フットボール

「今季最初のアウェー勝利は偶数試合のグループが来季の主力感を出すほど素晴らしい勝利で勝ち取る」【2020明治安田生命J2リーグ第11節 琉球1-2甲府 レビュー】

2020年8月12日 琉球1-2甲府(19:03K.O/タピック県総ひやごんスタジアム/入場者数0人(新型コロナウィルス感染予防対策のため無観客での試合開催)/天候 晴 弱風/気温 30.6℃/湿度 63%)

得点者 52’ラファエル(甲府) 56’太田修介(甲府) 69’阿部拓馬(琉球)PK

△△△〇●○○△△△○

球戦のピッチに立った選手たち、連戦の偶数試合のグループの選手が来年、再来年の主力選手で、連戦の奇数試合のグループからどれだけそこに入れるかの未来が待っているんじゃないかと感じた。それぐらい連戦の偶数試合のメンバーが素晴らしい内容を見せて結果を掴んだん試合。

田修介のワントップ、ラファエルと長谷川元希(法政大)のツー・シャードーの前線で始まったこの試合。昨季のアウェー(前半1-2で結果は5-2○)では琉球に結構ボールを回されて”琉球って思っていたよりも上手い”と感じたことを覚えていたけれど、今季は甲府の前線から始まる守備の連動が琉球のビルドアップをかなり制限した。4分にはFKを与えたけれど、ラファエルが高さを活かしてクリア。そのボールを拾われるが作り直しで下げたボールを右WBの関口正大(法政大)が深いところまで鬼追いして最後は逆サイドまで追っていく。結果として逆サイドからピンチになりそうな場面になったけれど、関口が立ち上がりに見せた70メートルくらい一人でボールを追う気持ちはチーム全体に伝わったと思うし、誰も”守備のバランスを崩して追うな”とは言わなかったと思う。

7分にはシュートには繋がらなかったけれど左WBの荒木翔の縦パスを太田が戻りながらフリックして長谷川に繋いで、左サイドが一つ見せた。そこからのCKでファーにいた太田が右足でシュートするとポスト当たり。太田は「あのシュートが一番悔しかった。DFを外す動きは完璧だったから…。GKが(ニアから)戻ってきて弱いシュートだとダメだと思って…叩かないと入らないと思って強めに足を振ったら上に行ってしまった。ああいう場面は足元を狙わないといけなかった。自分としてはそういう経験を蓄積していると思う」と話した。

備では前からボールにプレッシャーを掛けているから、山本英臣、小柳達司、今津佑太の3バックがクサビのボールに対してほとんどガツンと行けていて起点を作らせることがなかった。小柳達司は「ボランチ(山田陸、中村亮太朗)が牽制してボールを奪いに行けていたし、太田、長谷川が中を閉めてプレスバックする基本をやってくれた。自分もオミさんもギャップに入られても粘り強い守備ができていた。相手の兼ね合いがあるし、サブとかスタメンはないけど、いつもよりよかった守備」と話す。

緊急事態宣言下の沖縄。アウェー琉球戦は無観客試合だったので売店も無しで寂しい限り。ただ、山梨とは違って日陰でも暑かった。

沖縄感は飛行機の窓から見えた景色だけのアウェー試合。

19分頃にはノートに”後ろが重くなり始めた”と書いているが、押し込まれ続けてはなかった。これまでなら奪ったボールをすぐに失ってずっと守備をしている気分になる展開になっていたが、前線の3枚が守備をやりつつ攻撃のパワーを落とさないとことで、常に攻撃という武器を琉球にチラつかせていた。その中で特に素晴らしいと感じたのは長谷川。ボールを失うことを恐れないのではなく、失わない自信があるんだと思う。センターライン付近でボールを受けても、相手の最初のプレッシャーをボールをちょこっと動かしながらフェイントを入れて”何でもできますよ”という持ち方をするから相手は牽制しても1対1では奪えないと思って大抵はチャレンジしてこない。長谷川はこの技術があるから奪ったボールをすぐに奪い返されることなく前向きでボールを持って味方が上がってくるための時間を作り、攻撃に繋げた。DFラインにとっては前で収めて時間を作ってくれる選手がいると守備を立て直せるし、一息つけるから次の守備を強く・堅くいける。

20分には自陣深くから関口がクリアしたボールをラファエルがセンターサークル付近で頭で長谷川に落とすと、長谷川はそれを拾って押し上げていた琉球DFのプレッシャーを技術で躱してドリブルのスペースを作り、左深くに侵入。クロスを上げる前に味方の上がりを待つだけのキープ力があり、ラファエルがニアに入ってファーが空くと、そこに走り込んだ太田にフワリ系のボールで合わせた。このシュートは決められなかったけれど、長谷川がボールを持てるからこその推進力は素晴らしかったし、関口がクリアした時はゴールラインから5メートルくらいのところで小柳のカバーをしていた太田が、ここまで上がってシュートしたことも――DAZNで見返して気がついたことだけど――素晴らしい。前半は0-0だったものの、25分には山本の縦パスをラファエルが落として長谷川がミドルシュート、29分には空いているところを作り・探しながらのポゼッションから荒木が左からクロスを縫って通して太田がミドルシュートと――ポゼッション率に関係なく――甲府が主導権を多くの時間帯で持っていた前半だった。

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