【インタビュー】クリエイティブパートナーに就任した大杉隼平さん。
写真家の大杉隼平さん。5月28日、徳島ヴォルティスのクリエイティブパートナーに就任することが発表された。写真家としての活動だけではなく、地域の価値を再発見させてくれるような魅力の創出や発信にも積極的。クリエイティブパートナー就任の経緯や設立20周年クラウドファンディングの返礼品について、父・大杉漣さんとの思い出も聞いた。
[プロフィール]
大杉隼平/Shunpei OHSUGI
1982年8月28日生まれ
東京都出身
ロンドンで写真とアートを学び帰国。現在は、雑誌、広告、カタログなど多岐にわたって活躍する傍ら、国内外の役者の宣材写真やアーティスト写真を手掛け、様々なブランドとのコラボレーション、国内外の企業のプロモーション撮影と活動は多岐に渡る。聞き手/柏原敏 取材日/6月28日
――クリエイティブパートナーに就任された背景や想いについて。
ここ数年、僕自身の活動として徳島県について撮ってきました。その中で徳島のことを1つずつ知って、徳島の良さを教えてもらいました。僕自身にも半分は徳島の血が入っていて、自分の想いとしても特別な場所になっていきました。
ヴォルティスは父が大好きなクラブでもありました。クラブの方々が父のユニフォームをずっと飾ってくれていたこともあって家族としてうれしい気持ちもありました。
徳島を知れば知るほどもっと多くの人が訪れてほしいとも思いました。その中で徳島ヴォルティスは人を呼べるものだと思いますし、ヴォルティスがきっかけで人が来られたときに徳島の良さが伝わればいいなと思っていました。
ヴォルティスのことをもともと応援していたこともありますが、クリエイティブパートナーのお話をいただいたときに自分のフィールドでやってきたものと合わせて何かができるのではないかと思いました。なので「こちらこそよろしくお願いします」と受けさせていただきました。
大杉漣さんへ
いつも徳島ヴォルティスとともに戦ってくれて、ありがとうございます。
漣さんのユニフォーム、今年は隼平さんに撮影していただきました。
いつもの場所で、これからもともに。#徳島ヴォルティス#vortis#徳島とともに最高の瞬間を pic.twitter.com/EiwI0Si89s
— 徳島ヴォルティス 公式 (@vortis_pr) February 21, 2024
――東京生まれ東京育ちですか?
はい、そうです。
小さい頃は父と一緒に小松島市のおばあちゃんの家に行ったり、駅前のボードウォークに連れて行ってもらったことがあります。小さい頃の記憶もありますが、本当に徳島のことを知るようになったのはここ数年です。
――父・大杉漣さんと徳島県のことを話すこともあったのですか?
そうですね。小さい頃から食卓にはフィッシュカツやちくわがありましたし、今振り返るとあの言葉がなければこれだけ徳島県に来る機会がなかったかもしれないという会話もありました。
当時の僕は仕事で海外に行くことが多くて、海外ばかりで写真を撮っていました。そんなときに「いつか徳島も撮れよ」と何気なく言われたことがあったんですよね。そのときはそれが最後の会話になるとは思っていなかったので「撮るよ」とは伝えられなかったんですけど、いなくなってみるといつしかそれが“約束”のような感じがして。僕にとって、あの言葉は大きかったです。
――そのお話が『リリース時のコメント』にもあった「いつか徳島を撮ってほしい」という一文にあたるのですね?
そうです。
――今回は『クラウドファンディング』の返礼品として県内の職人さんとグッズを多数考案されています。その一連についてもお話を聞かせてください。
『サッカー×工芸』という形はあまりなかったかもしれませんが、徳島の職人さんと合っていく中で本当にいい職人さんがたくさんいると思いました。『クラウドファンディング』のお話をいただいたときに、今までにない形としてこういうものはどうですかという提案から始まりました。
徳島のスローガンにもある『徳島とともに、最高の瞬間を。』にも関係しますが、また違った角度からヴォルティスのことを知ってもらうためにもいいんじゃないかなと思いました。職人の方々も懐を広くして受け入れてくれたからこそ『ヴォルティス×〇〇』というグッズが生まれたと思います。
――返礼品について紹介していただけますか?
一つひとつ作っていく中で、どのようにヴォルティスのエンブレムや要素を入れていくかを話し合いました。例えば藍染の青色にしてもいろんな色があって、完成したときの見え方としてどう見えるかとヴォルティスの要素をどう入れていくかを意識しながら話し合ってきました。職人さんに協力してもらって作成したものをご紹介します。
○八割下駄(https://readyfor.jp/contributions/vortis2024?reward_detail=&select_id=348272)
鼻緒には2023年に着用したユニフォームを再利用しています。SDGsを謳うというつもりではありませんが、使用できなくなったものをどのように商品として生まれ変わらせられるかなども考えて完成に至りました。
○漆革コースター(https://readyfor.jp/contributions/vortis2024?reward_detail=&select_id=348265)
徳島のジビエの皮を使用しています。震災のあった石川県の輪島を支援する意味合いもあったので漆の仕上げで作ってもらいました。これだけ県外で作られたものではありますが、徳島のものを輪島の職人さんに仕上げてもらっています。
○藍染ツキ板時計(https://readyfor.jp/contributions/vortis2024?reward_detail=&select_id=348270)
時計の針、表面材に使用されている黑檀のツキ板を藍で染めて、光線貼りという光が当たる角度や見る方向で色が違って見えます。藍染のグラデーションが特徴です。
○ツキ板トレイ(https://readyfor.jp/contributions/vortis2024?reward_detail=&select_id=348269)
時計と同じく黒檀という素材を活かしていますが、こちらは貴重な素材を活かすために色は付けずに木目を出すことを意識しました。
○大谷焼(https://readyfor.jp/contributions/vortis2024?reward_detail=&select_id=348271)
ヴォルティスの「V」をモチーフに陶器の表面にプラチナと金を散らす繊細な技法で表現したプレートです。Vortisの「V」であり、Victoryの「V」であり、これがビクトリープレートになればいいなと思いました。例えば試合前に使ってもらって、願掛けというわけではないですけどそういう使い方もいいなと。大谷焼はゴツゴツして大きなイメージもあると思いますが、これは限りなくフラットで使いやすさも意識しました。
○藍染レザーサコッシュ(https://readyfor.jp/contributions/vortis2024?reward_detail=&select_id=348273)
チケットホルダーのような使い方をしらもらえるといいなという狙いで作っています。携帯電話とチケットが入るサイズで、皮を藍染で色付けたものになっています。
――クリエイティブパートナーとして今後やってみたいことはありますか?
名前だけのものにしてしまうのは嫌なので、どういうことができるかは引き続き模索しています。
例えばバックステージを撮ってみたりしたいですね。普段、サポーターがあまり目にする機会のない部分でもあって、他のスポーツで撮った経験があるのですがあらためて見えてくるものもありました。
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