【直前レポート】スタイルに刻まれるビート
前節・町田戦(3○0)は相手の退場があったとはいえ「自分たちが予想していたプランニング通りの展開」(岩尾憲)でスタートした。前半は「停滞感を感じたかもしれませんが、やっている側としては悪くない試合運びだったと思う」と言葉にし、「そんなに攻め急ぐこともなく、とはいえゴールに向かう姿勢を見せるバランスも良かった」と振り返った。
気がかりだったのは外的要因。
周知の通り、町田戦の朝にリカルドロドリゲス監督に関する報道がスポーツ紙から出た。しかし、揺らぐことなく町田戦はいつもと変わらぬ徳島スタイルがそこにあった。
のちにリカルド監督に対し、その報道に関する取材の場をクラブは提供してくれた。この2日間で既に徳島新聞さんから記事になっている以上の情報はないが、報道通り「オファーはある」(リカルド監督)ということは事実ながら、いまは「自分たちのやりたいことに対して集中してやっていきたい」(リカルド監督)。この大事な時期に、クラブとして受けたい取材ではなかったと思う。ただ、そういう場に顔を出してくれた監督であり、地元の媒体に対して取材許可を出して扉を開いてくれた強化部であり、調整を進めてくれた広報に感謝したい。
また、選手も隠すことなく口を開いてくれた。
何かしらの情報を察知した岩尾が中心となって報道以前の町田戦2日前に選手間ミーティングが行われ、仮にそういった報道が出た場合や最終盤に訪れるさまざまな外的要因についてもどう考えるべきなのか意思疎通を図ったようだ。ミーティング内容について「ネガティブなことは思ったほどなかった」(岩尾)と振り返り、「みんな“気にせずやり続けることが大事”といった話であり、例えば石井選手は“13年間現役やっているけどプレーオフではなく、首位攻防をしているのは初めてだ”といったような自分たちにとって大事な意味合いのある言葉がたくさん出た。心配するほどではなかった」と続けた。
岩尾からサポーターには「僕自身も気になるかどうかで言えば気になる。それは皆さんも同じだと思います。でも、僕は先のことを考えても仕方がないと思う」と自身の率直な気持ちを述べて「いまいちど、ここにある瞬間を。いかに大切にするか、どんな思いで取り組むか。そういった所に純度高くやっていきたい。皆さんも考えるなとは言わないですけど、そこを考えて何か変わるかというとそうではないと思うので。未来のことよりも現在を楽しんで欲しい」とメッセージを送る。
前節・町田戦の『直前レポート』の記事では「ミーティングの実施されるタイミングが意外と早かった」と触れたが、のちの取材でそういう背景があったことを知った。岩尾憲という男。行動するタイミング、行動する目的が相変わらず素晴らしい。仮に、もし仮にだ。世界中が君の敵になるような日が訪れたとしても、徳島のサポーターは君に恩を返すためにすべてを投げ出して立ち向かってくれることだろう。もちろん、記者自身も必ず馳せ参じる。
この件に関するお伝えしたい情報は以上です。以下、有料記事に秘密の何かが続いていたりはしません。今節・金沢戦に向けた内容のみとなりますが、良ければご一読ください。
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