ヴォルティススタジアム

【インタビュー】2018シーズン総括part1. 岸田一宏社長インタビュー(聞き手|柏原敏)

【目次】
2018シーズン総括 part1
■チーム総括
■クラブ(主にフロント)総括
スタジアムの評価、リーグで4番目の評価!

――チームの総括、クラブ(主にフロント)の総括。それぞれ聞かせてください。まずチームについてお願いします。
例年厳しいリーグではありますが、より厳しいシーズンになったと思います。結果としてファン・サポーター、応援してくださる皆さまのご期待にお応えできなかったことを最も悔しく感じています。序盤戦及び前半戦から厳しい結果となり、後半戦に盛り返してJ1参入プレーオフ進出圏内に手が届く所までは辿り着きましたが目標達成には至りませんでした。シーズンを振り返ると移籍やけが人の難しい課題がありましたが、スタイル変更を余儀なくされた中で選手、監督・スタッフは最善の手を打ってくれたと思います。ただ、結果的には終盤戦の9試合(3分6敗)が厳しい結果となり、最終節を待つことなくしてJ1参入プレーオフ進出の可能性が途絶えてしまいました。

様々な要因はあると思いますが、今シーズンに限っては移籍という点で厳しい現実があったと捉えています。ヴォルティスの歴史を振り返ってもシーズン前に2選手、シーズン中に4選手、合計6選手がJ1クラブに引き抜かれたという経験はありませんでした。その点に関しては今シーズンという単年で振り返ると厳しい現実です。ただ、長い目で捉えたときにはクラブとして1つ上がっている証拠と言いますか、成長の途中であると感じています。チームは注目されるサッカーをしてくれており、選手も成長しています。クラブとしてもう1つ大きくなるための通過点で、間違いなくもう1つ上に行っている途中だとポジティブに捉えています。

――では、次にクラブ(主にフロント)の総括を聞かせてください。
平均入場者数は昨年より微増となり4997人でした。最終盤は5000人台を考えて行動しましたが、3人×21試合の63人という所で届きませんでした。しかしながら、過去4番目の平均入場者数となっています。J1で戦った14年、初めてJ1昇格争いを演じた11年、1年でのJ1復帰という期待を頂いた15年に次ぐ数字となりました。過去14年の平均が約4600人となっており、そこから考えると約1割増となっています。とはいえ、J2リーグ平均(今季で言えば7048人)には届いていません。その数字に到達したいという気持ちがあります。

――来場者数は都道府県別の人口数や世代分布の関係性もあると思いますが、ここ数年のスタジアムで感じるのは微増ながら伸びている実感があります。その要因は何だと思いますか?
まずは魅力的なサッカー。また、観て楽しいサッカーができていると思います。それをスタジアムで観ようと思っていただける方が増えているということは間違いないと思います。ベースとなるサッカーがいい状態にあるため、より良くしたいという様々な取り組みやサポーターの方々とのコミュニケーションも増えてきていると思います。我々が目指すあたたかい雰囲気のあるスタジアムに向けて応援に関してもより良くしていただいていると感じています。
その中で席種というのはお客様のお好みの席でお選びいただくものですが、全般的に見るとよりゴール裏の人数が増えています。それは応援環境であり、スタジアムの雰囲気であり、あたたかい雰囲気のあるスタジアムの表れでもあると感じています。

――その数字を踏まえて中長期的にJ2リーグ平均以上を目標としたときに、様々なデータがある中でアプローチする余地が大きいと感じている要素はありますか?
そこはJリーグ全体における数字と同じところですが、22歳未満の構成比率が非常に少ないです。ホームタウンデーで招待して呼びかけたり、我々はもちろんのことながらJリーグ全体としても取り組んでいます。学生世代の方々の週末は学校・クラブ行事と重なるスケジュールの難しさはありますが、スタジアムの環境や雰囲気をより良くしていきながら引き続きアプローチしていきたいと思います。

美馬市、大塚製薬と健康増進に関する連係協定の締結式(今年11月)

また、そのアプローチを続けながら、高齢化社会となってきた中でシニア世代の方々にも呼びかけていきたいと思っています。時間としても金銭的にも融通がききやすい方々もいらっしゃると思います。あとは私個人の意見も入っているかもしれませんが、スタジアムに来ることを楽しんでいただくことや、歩くということで健康にもつながると思っています。また、選手を我が子であり、孫を見るような目でも接していただいています。既にシニア世代に向けた動きとしては、『Jリーグクラブ初となる「美馬市版 SIB(ソーシャルインパクトボンド)」として「健康増進のためのプログラム」事業を開始』というリリースを致しましたが、『スマイルアップ教室』という地域貢献活動を地道につなげてきた中で実現に至ったと思っています。

――Jリーグではスタジアムのピッチを毎試合評価しています。 『鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム』は今シーズンJリーグ全体で4番目の評価を得ました。これは、もう1つ今季を振り返る中で大きな功績だと感じました。
日頃から熱心に管理していただいている方々に敬意を表したいです。我々の経営方針の1つに三位一体。行政、民間、県民が手を取り合うという考え方があります。筆頭株主でもある徳島県が我々に対してご協力いただき、その三位一体という成果がピッチにも表れてきていると感謝しています。

part2に続く

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