【広島 0-0 札幌】日本サッカー協会審判委員会・扇谷健司委員長によるメディアブリーフィング
……今日は日本サッカー協会審判委員会の扇谷健司委員長からみなさんに話をさせていただきまして、そのあとでみなさまからご質問をおうけしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
扇谷●みなさん、こんにちは。扇谷です。今回は急なお願いにもかかわらず、多くの皆様にお集まりいただきありがとうございます。先日行われたJ1リーグ第1節のサンフレッチェ広島対北海道コンサドーレ札幌の74分の場面についてみなさんにご説明をしなければならない状況になりましたので、お集まりいただきました。
結論から言わせていただきます。この場面は、ゴールかゴールではないか、どちらかの判定だった場面なんですが、審判委員会としては得点を認めるべき事象であったと結論づけました。こうした案件ですので、しっかりとご説明をしなければいけないと思い、今回、メディアブリーフィングを設定させていただきました。
まずどういった経緯でこういった結論になったかということから、お伝えさせていただきます。
月曜日(20日)に我々は、Jリーグ担当のマネージャーと会議を持ちました。月曜日には、いろんなVARに係る事象が全て我々の元に届きます。それを確認して改めて協議をした結果、これは得点を認めるべきであるという判断になりました。その後、当該のVARと話をいたしまして、さらに北海道コンサドーレ札幌さんとサンフレッチェ広島さんに、お電話をさせていただきました。
当然ですが、結論をお伝えして、お話をさせていただいております。北海道コンサドーレ札幌さんに関してはお電話で、そしてサンフレッチェ広島さんに関しては昨日、私が直接広島に出向いて、改めて説明させていただきました。
こういったことを審判委員会がやることは、今までもなかったと思っております。ただ、今回はなぜ、あえて発表させていただいたか。まずみなさんに御認識いただきたいのは、今回の件はレフェリーがピッチ上で起こる事象について判定するような、例えばハンドを見ることができなかった、PKが取れなかったとか、そうしたものと同じものだと考えています。つまり、判定のミスですね。昨年度に起きたような、競技規則の適用ミスではない。それは明らかです。
ただ、今、J1リーグではVARを使っております。御存じのとおり、VARというシステムは透明性が求められています。例えば、先日のクラブワールドカップでは審判員が直接判定についてアナウンスしたり、ワールドカップでのオフサイドシステムだったり、より明確さ、そして透明性を求められています。その中で、今回の審判員が下した判定は、やはりあってはならないこと、あってはいけないことだと捉えております。
もちろん、VAR(を担当する)というのは非常に大変なことだとは理解しておりますが、やはりサッカーを守るためにも、こういったことをしっかり皆さんの前でお話しさせていただいて、サッカーにかかわるみなさんにおわびをさせていただいて、今後はまた信頼性のあるVARを目指して頑張っていきたいと思っております。
あと、今回はこのような形のメディアブリーフィングになりまして、通常ではいろんな映像を用意していろんな説明させていただきますが、今回は特にそういった映像というのは用意しておりません。基本的にVARが見ている映像というのは、少し画像は粗いんですけれども、皆さんがDAZNの中継で見ているものと一緒になります。ここで改めて何か映像を用いて説明するということはありません。我々としては、サッカーがよりよくなるために、今回こういったお話をさせていただくことになりました。
……今回、なぜこのようなことが起こったのでしょうか。
扇谷●今回のミスの原因が何かというと、一つは判断、そして決断(のミス)ですね。決断できなかったこと。それともう一つは、VARの場合、映像をどのように扱うかは、ちょっとしたテクニックがあります。そこの部分が、やはり少し欠けていたと考えています。
……当日、私は当該カードの試合会場にいたんですが、オン・フィールド・レビューもないまま、割とスムーズに運営自体は進んだと思うのです。そういうのを(現実として見ているとVARで)判断ミスがあったというのが、ちょっとイメージしづらいです。現場にいると、あれだけスムーズに流れたのだから、確固たるものがあって決断をされたんだろうと見ていたんですが、その件についてはどうお考えでしょうか。
扇谷●今回の場合、VARの運用上、オン・フィールド・レビューをする案件ではないんですね。ゴールイン・アウトの判断をすることは、要は入っているか入っていないかの事実を掴むことになりますから。その中で、あの時は確かにスムーズに進んだとお思いかもしれないですけど、ファクトを決めるのには90秒くらいはかかっていると思いますし、私としてはある程度の時間を要していると考えております。
今回のケースでは、ファクトを決めてVARが判断をして、それを主審に伝えることしか(運用上は)できないんですね。ピッチ上で映像を見てレフェリーが判断するものではありません。多くの皆さまがあの映像を見た時に「入っている」と思われるでしょう。私も、そう思っています。ただ、最終的には、判断はしても決断ができない可能性があるというのは、否めないのかなとも思っています。
VAR(の担当者)というのは本当に暗い中でやっているものですから、非常に追い込まれている状況にはあります。それでもピッチ上の判定をサポートしたいと考えているわけで、少しでもわかりにくいと思うものに対しては、決断をしないことはあるかもしれない。ただ、今回の場合はゴールとゴールポストの間にしっかりと緑の色が(VARの映像でも)見える。(ゴール内の)芝生の色がしっかり見えている。こうした場合、VARとしてしっかりと判断して、VARのオンリーレビューを使って主審に「得点を認めてください」と伝えるべきだと思います。
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