【2022年総括⑨】我々にはゴロウがいる〜準備を怠らない戦士たち
ルヴァンカップ初優勝の過程には、いくつかの節目がある。
グループステージでは第3節・清水戦で敗戦した時。勝点6はまだ首位をキープしていたが、2位・清水が勝点5、3位・名古屋が勝点4と三つ巴になってきたことで、第4戦の名古屋との直接対決が大きな重みを持つことになった。
しかもこの試合、マテウス・カステロのゴールで先制を許してしまう危機。この試合を後半、ジュニオール・サントスと森島司のゴールで逆転勝利できたことは、本当に大きな価値があった。特に森島の得点は「おそらく初めて」(森島)というヘディングでのゴール。トレーニングの成果が出たということも大きかった。
またプライムステージ準々決勝の横浜FM戦第1戦も、重い価値を持った。直近の試合がホームでのFC東京戦。試合終了間際、ジュニオール・サントスがドリブルでボールを持ち上がるも判断が悪く相手に奪われてしまい、そこからのカウンターで失点。勝点を失ったことで今季初めて、チーム全体を不穏な雰囲気が漂った。
「ジュニオール・サントスは確かに、真剣に直結する大きなミスをおかしてしまった。彼自身も自分がミスをしたことはわかっていますし、そのミスはわざとやったことではない。ただ、目的を失ったドリブルだった。30mから50mと一人でずっとボールを持ち続けて、我々がやろうとしている速いコンビネーションとは、かけ離れたプレーをしてしまった。そこは、大きなミスだったと思います」
普段、選手のミスを責めないミヒャエル・スキッベ監督が唯一、試合後の会見で選手の批判をした試合でもあった。実際、この試合以降、ジュニオール・サントスはベンチからも外れ、そしてオファーのあったボタフォゴに期限付き移籍。チームを離れることになった。
チームに漂うイヤな空気感の中での、王者・横浜FM戦。アウエイでリーグ戦では彼らの高質なカウンターに3失点を喫したこともあり、厳しいかと思われた。ところが、新型コロナウィルスの感染から回復したばかりの柏好文がいきなり先制点。後半開始早々に同点とされたものの、72分にはセットプレーの流れから荒木隼人、アディショナルタイムでは野津田岳人がFKのこぼれを突き刺し、3-1と勝利。勝ち抜けに大きなアドバンテージを手にした。
もちろん決勝の、あまりにドラマティックな展開も忘れられないが、他にも様々な物語が存在した結果の優勝だった。その中でも特筆すべきは準々決勝・対札幌戦だと筆者は考える。
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