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【広島 1-2 札幌】棚田遼/ストライカーとしての未来

ストライカー不遇の時代


記憶にある限り、今季初めではなかろうか。スルーパスで真ん中を割られ、裏をとられて決められたのは。

もちろん、広島の守備に問題があったことは否めない。ただ一方で、札幌のクオリティが素晴らしいと認めないといけない。ここに来て絶好調のルーカス・フェルナンデスが放ったパスは、超がつく1級品。そしてもちろん、興梠慎三である。J1史上2位となる通算163得点目を記録した偉大なストライカー。鹿島時代からずっと、対広島戦で結果を残してきた「広島キラー」は、絶品と言える動き出しから完璧に荒木隼人の裏をとり、そしてゴール前で見事な落ち着きを見せて決めきった。

よく「日本代表は決定力不足」と書かれる。それはもうずっと、書かれ続けている。そもそも「決定力」というのが何を指すのか謎であるし、チャンスを決められていないということであれば、古今東西全てのサッカーチームが同じ悩みを抱えている。そもそも、サッカーとは点が入らないスポーツなのだから。

その「決定力不足」を解消するために必要な存在が、ストライカーだ。代表格は言うまでもなく佐藤寿人。そして興梠慎三も、このカテゴリーに入り、他にも大黒将志や播戸竜二もそうだろう。

彼らに共通しているのは、日本代表に定着できなかったという現実である。大黒はワールドカップ最終予選でチームを助ける活躍をしたにもかかわらず、2006年のドイツ・ワールドカップでは主力として扱われていない。

今のサッカーで重用されるFWは、ストライカーではないのが現実だ。身体が大きく、ターゲットとなりうるタイプがほとんど。ボールを収めて時間をつくれるポストプレーヤータイプも重宝される。得点はもちろん求められるが、では絶対にゴールが必要なのかというと、センターフォワードではなくウイングでも2列目でもいいという感覚だ。リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドが共に原点はウイングタイプであるという現実も存在する。

だが、果たしてそれでいいのだろうかと、興梠を見て感じた。

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