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リーグ2位の平均シュート数を得点に繋げるエース・ストライカー、出でよ。

サンフレッチェ広島レジーナは上野真実の大爆発で絶好調を維持している。別記事で書いたが、彼女は最近6試合で8得点。サッカーの常識を外れたペースであることは確かで、Jリーグの34試合に換算すると45得点に到達する。正直、ありえない数字であり、だからこそ上野の驚異的な得点力は注目せねばならないのだ。

サッカーは最終的には得点をとるスポーツである。そして、得点は誰がとってもいい。GKがゴールを決めても問題ない。ただ、である。

野球でも誰が打点をあげてもいいけれど、やはりクリーンアップトリオ(3〜5番)の打点が多いチームが、最終的には「破壊力を持った打線」と呼ばれるようになる。サッカーも同様だ。FWのゴールが増えないと得点力は増幅しない。ここ6試合でレジーナは14得点。1試合平均2.33得点はWEリーグ最多得点チームの浦和Lの平均2.00得点を瞬間風速として、上回っている。その要因は、言うまでもなく上野真実だ。

さて男子チームは、ミヒャエル・スキッベ監督によって攻撃に特化したスタイルに生まれかわった。浦和戦でもカウンターによるビッグチャンスを2度も与えてしまったが、押しこんでいるチームはそういうピンチを招きやすいもの。ボール保持率は、わずかに広島が遅れをとったものの、アタッキングサードでのプレーは28%。浦和の24%を上回っている。

これは、他の多くの試合でも見られる現象だ。今季の広島が自陣に釘付けになってしまった試合は、ほとんどないと言っていい。もちろん浦和戦でも柏戦でも、局面的にはそういうシーンはあったが、90分通して守勢に回ったゲームはスキッベ監督就任以降はない。押しこまれた印象の強い柏戦でも、アタッキングサードでのプレーは31%で柏は24%だ。

ちなみにシュート数168本(平均12.9本)はリーグ1位。横浜FMが1試合少ない状況で163本なので平均でいえば彼らは13.6本で1位だが、広島の数字はリーグ2位だ。同じACL組の川崎Fは10.0本/平均に止まっていることを見ても、広島の数字は際立っている。

それでいて、平均被シュート数7.92本はリーグ3位。1位の福岡が6.77本/平均、2位の鳥栖が7.77本/平均だが、福岡の平均シュート数は8.00本(17位)、鳥栖は7.00本/平均(18位)という数字であり、2チームとも守備にバランスが傾いていると言わざるをえない。広島は攻撃的に出て、かつシュートは打たれていない。今季の広島のチームバランスが攻撃に偏りつつも、守備でも機能していることの証明だ。

しかし、である。

1試合平均0.92という失点はともかく、平均得点1.15得点はチャンスの数から考えれば厳しいといっていい。

スキッベ監督合流以降は10試合で13得点(平均1.30)と向上はしているし、10試合で無得点試合が2試合と、まんべんなく得点はとっている。4月以降の8試合でいえば1.50点/平均であり、右肩あがりなのは、言うまでもない。

ただ、浦和戦のような試合を目の当たりにすると、やはり「点取り屋」の存在が恋しくなる。

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