川島はるな/レジーナのコンビネーションを司るテクニシャン
たとえば、浦和レディース戦での同点ゴールを見てみたい。
後半、浦和の圧力に圧倒され続けたレジーナは、あっという間に逆転された。その後も反撃の糸口がつかめず、昨年なでしこ女王・浦和の実力をまざまざと見せ付けられていた。
だが近賀ゆかりの投入で勇気を得たレジーナは84分、中嶋淑乃と木﨑あおいでプレッシャーをかけ、相手のパスコースを予測した近賀ゆかりがボールを奪った。
大切なのは、この後だ。
前からプレッシャーをかけてショートカウンターを狙う構図は、今やどのチームも狙っている。だが問題は、ボールを奪った後。ここで相手に奪い返されれば、逆にカウンターを食らいかねない。ボールを奪ったその瞬間、チームは前にかかるからだ。
この時、レジーナはどうだったか。
球際の戦いの中でこぼれたボールを拾ったのは、川島はるなだ。まず、そのポジションどりが素晴らしい。さらに彼女はすぐに反転し、迷いなくボールを増矢理花に預けた。このプレーによって、広島はショートカウンターを推進することができた。
「途中出場だったのですが、あのポジション(インサイドハーフ)であれば、常に前を向くプレーを意識しています。あの時は負けていたこともあって、自然と身体が前を向きましたし、練習の中でも周りとの距離感が少しずつよくなっていた。自分の横に(増矢)理花がいるだろうとか、ボランチもいるという感覚もあったので」
この川島のプレーは、何気ないものだったのかもしれない。しかし、川島が落ち着き払ってきっちりと増矢に繋いだことによって彼女がフリーになり、立花葉の得点を生み出すスルーパスを生み出すことができた。
さらに、ホームでの千葉戦である。
後半開始早々、松原優菜がインターセプトしたボールを川島が拾い、そのままボールを運んだ。
「(山口)千尋が逆サイドにいるのは見えていた」という川島は、スリッピーなピッチ状態も計算に入れ、やや浮かし気味の横パスを送る。濡れた芝生では、ワンバウンド目にボールがキュッと伸びて、そこから失速するもの。その狙いどおり、ボールは千葉DFの足先をかいくぐって、山口の足元に吸い込まれた。レジーナのホーム初得点は、川島の冷静かつ精度の高いプレーから生まれたのだ。
若い選手たちが揃っているレジーナにおいて、川島はるなの経験は尊い。
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