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【アウェイ見聞録】札幌/新札幌ジンギスカンとの出会い

いつも愉しみにしている北海道遠征だったのに、今回は二度もあったのに……。

最初はSIGMACLUBの発送のために、ほとんど日帰りに近いタイミングで帰らざるをえず。今回は札幌に3泊もしたんだけど、それはSIGAMCLUBの締め切りのため移動の時間を削って宿泊のコストをかけた(それでもGO TO キャンペーンのおかげでかなり格安)だけで、北海道の秋の味覚を楽しむ余裕もなかった。場外市場にも二条市場にも行けず、蟹も魚介も堪能できない。3泊もしたのに。悔しい。

ただ、効率を考えて厚別競技場に近い新札幌で宿をとったことが、結果的に良かったなと思ったことがある。

「新札幌ジンギスカン」との出会いである。

札幌のジンギスカンと言えば、なんと言っても「だるま」に尽きる。2001年、初めての札幌戦遠征の時、同行した記者に「いいから並ぼう」と言われて渋々1時間の行列に耐え、芸能人が一緒に並んでいるのにも驚きつつも入ったのが「だるま本店」だった。もっとも当時は別店舗はなかった気がする。

正直、食事のために並ぶのは大嫌い。1時間も並び続けたことで、テンションはガタ落ちだったのだけど、目の前に七輪が置かれ、玉ねぎがジンギスカン鍋の周りに敷き詰められ、テーブルに生のマトンが置かれた瞬間、一気に気持ちが上がった。

焼く。食べる。焼く。食べる。

言葉はいらなかった。生まれて初めて、食事のために並ぶという行為を「仕方ない」と思えた瞬間だった。そしてその後、同じように「並ぶのも仕方ない」と思ったことはない。

新札幌ジンギスカンは明白に、だるまのフォロワーである。カウンターだけの店内、七輪に真っ赤に焼かれた炭が置かれ、そこに乗せられたジンギスカン鍋の下の方に野菜が敷き詰められ、冷凍ではなく生の肉が提供されるところも同じ。ただ、マトンだけのだるまに対し、新札幌ジンギスカンは肉が三種。上肉と呼ばれるマトン、成吉思汗という呼称のラム、そして丸ジンギスカンという名の冷凍肉だ。「丸は、昔ながらの北海道のジンギスカンなんです」と店のお姉さんに説明されたが、これもなかなかいけるし、明らかに地元の人たちと思われるお客さんも食べていた。

しかし、圧倒的にうまいのは、やはりマトンである。

多くの人々は、マトンというと「臭い」、それがイメージだろう。だけど、だるまもそうだけど、ここのマトンも全く臭みはない。もちろん、羊肉ならではの香りはあるが、それが全く嫌味ではない。そして。圧倒的と言っていい旨味。和牛のうまさは脂身と赤身のバランスにあるが、マトンは圧倒的に赤身の美味さだ。肉そのものが上質だ。脂は焼いている間に溶けてしまうから、食べる時はほぼ肉。つけだれは、だるまよりもマイルドで食べやすく、塩で食べても美味い。

夢中で食べた。美味しいものは、美味しい時に食べないとつくってくれる人に失礼だ。話をするのであれば、喫茶店かバーに行けばいい。それが僕の個人的な考え。なのでカウンターに座って食事をするとお店の人に「食べるの、早いですね」と言われることもしばしば。だけど、どんな食事でも出来立てが一番美味しいわけで、それを堪能しないということは人生においての損失だ。

この店でもう一つ、驚いたのは果物丸ごとソーダだ。

キュウイのほか、パインとレモンがあるが、僕は大好きなキュウイをチョイス。中ジョッキいっぱいに凍ったキュウイとソーダが詰め込まれ、これで500円。凍ったキュウイを潰してソーダに溶かしながら飲む。まじで、うまい。そして、ジンギスカンに合う。最近、年齢のせいなのかアルコールがそれほと好きではなくなっているのだが、それでもジンギスカンにはビールと思い込んでいた。だけど「次はこれ一択」と思わせるほどの衝撃的なうまさ。アルコールがどうしても必要であれば、ソーダではなくサワーにもできる。これを飲むだけでも、この店に行く価値がある。

3泊4日の間、二度も行ってしまった。座って、食べて、そして帰って、仕事。このサイクルが心地よかった。この店に会えただけで、新札幌に来てよかったと思えたほどのお店だった。スタッフに皆さんもみんな若く、気持ちのいい対応。帰る時は出口まで送ってくれた。

それにしても、札幌まで行ったのに、仕事しかせず、収穫が勝利(これが最も重要)とジンギスカンだけとは……。やはり北海道は、仕事抜きで行きたい。札幌だけでなく函館にも、旭川にも帯広にも、もちろん知床や襟裳、宗谷岬や利尻・礼文にも。学生時代の思い出がたくさん詰まっている場所に、次こそは。

 

(了)

 

 

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