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【2019決算マッチレビュー】森島司覚醒記念試合/対浦和戦(Jリーグ第13節)

2019年は3人の若者が広島の屋台骨を支える資格を得た、記念すべきシーズンとなった。大迫敬介、荒木隼人、そして森島司である。ただ、大迫と荒木については、プレシーズンから高い評価を受けていた。しかし森島については、本人の「やれる」という手応えとは裏腹に、それほどの期待感があったわけではない。それは指導者たちだけでなく、サポーターも同様だった。森島をとりあげた記事は、野津田岳人や川辺駿のような選手たちを扱かったモノとは反応の熱さが違っていた。ムリも無い。昨年、ほとんど活躍できなかっただけでなく、サッカー以外でもネガティブなニュースしかなかったからだ。

その彼がブレイクに至ったストーリーは何度も書いてきたので、ここでは割愛する。ワイドでのプレーに限界を感じ、ACL大邱戦でメンバー外となったことで感情が先走り、「シャドーで勝負させてほしい」と直訴したこと。その想いを城福浩監督が受け止め、シャドーで起用したことで結果を出し、メルボルンビクトリー戦で公式戦初ゴールを決めたことで中3日の浦和戦での先発を勝ち取ったこと、そして浦和戦で1得点1アシストを含む4得点全てに絡んだこと。物語としては最高に面白い。伝説として語りつがれてもいいようなサクセスストーリーだ。このアウェイ浦和戦は森島司覚醒記念試合。内容については数々書いてきたので、そこに至るまでの話を少し、振り返っておきたい。

浦和戦の約2週間前、仙台についてのコメントを指揮官に求めた後、筆者はこんな質問を投げかけた。

「ACLを通じたチームの底上げはできた。その中でも森島司について、どう見ておられるのでしょうか?」

この時、チームはリーグ戦3連敗。一方、ACLでは広州恒大に勝利するなど4連勝を記録し、ラウンド16進出を決めていた。そして森島はセットプレーから2試合連続してアシストを記録。プレー内容も尻上がりによくなっていた。Jリーグでもベンチ入りを果たすようになり、名古屋戦では途中交代で出場している。

筆者はタイキャンプの頃から、彼に期待していた。今までの彼とは違う、覚悟と決意のようなモノを感じていたからだ。それを聞くと必ず森島は否定する。しかし、感じていたんだからしかたがない。

だからこそ、得点がとれない現状において、森島司というタレントに期待したいと思った。だからこそ、質問を投げかけた。監督によってはこの手の投げかけを嫌う人もいるし、はぐらかす人もいる。しかし、城福監督であれば必ず答えてくれると信じた。そして案の定、彼は言葉を続けた。そしてそれは、ちょっと意外なニュアンスを含んでいた。

もともと縦への推進力という武器を持っている選手ではあるんです。それを試合の中でいかに発揮できるか。彼は実は、このチームに足りないピースなんです。個で縦に運べる選手なので。一方で、守備の課題はある。ただ、守備にある程度目をつぶったとしても、試合でストロングを出せる選手なのか。その程度のストロングならば、このチームで絶対に外してはならない守備の一員にならないといけないのか。どの選手もそのせめぎ合いなんです」

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