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【SIGMACLUB NEWS】湘南戦、2-0で勝利。内容は今季最高(無料)

■勇気を持ったプレッシングとハイスパート・フットボール

 

試合後のコメントは、TSSサンフレッチェ広島公式モバイルサイトで。城福浩監督・吉野恭平・森島司・稲垣祥・柏好文・ドウグラスヴィエイラ・も清水航平・柴﨑晃誠選手のコメントがアップされています。また、試合レビューもアップしています。

 

1980年代に一世を風靡したプロレスラー・長州力のスタイルは、同じく日本のプロレス界を席巻していたスタン・ハンセンのプロレスをさらに進化させた「ハイスパート・レスリング」と呼ばれていた。それまでプロレス界を支えていた「受けの美学」を真っ向から否定するような攻撃に攻撃を重ねる彼のプロレスは特に若者から圧倒的な支持を受け、時代を彩ったまさに「革命」であり「維新」でもあった。

昨晩の広島のサッカーはまさに「ハイスパート・フットボール」。息をもつかせないプレッシャーで相手を締め上げ、ミスを誘って自分たちのターンになると「緩」のリズムを使うことなく、次々とゴール前に押し寄せる。PA内に突入できなくても構わないと、ミドルシュートも連発。渡が、清水が、川辺が放ったシュートは、秋元陽太のスーパーセーブがなければゴールネットを揺さぶっていた。そしてアディショナルタイムに森島が放ったミドルはバーに。やみ雲に打ったのではなく「しっかりと判断して打った」(森島)。シュート練習の賜物だ。

1点目はPKだったが、その発端は左サイドで相手を蹂躙し、佐々木翔の攻撃参加でさらに相手を押し潰そうとした攻撃の成果。FW野田隆之介が佐々木を倒して得たFKから、相手のクリアが中途半端になったと見た森島がPA内に突入したことでPKを得る。常にゴールを狙ったアグレッシブな姿勢が、先制につながった。さらに2点目は、高い位置でボールを回しながら柏の縦パスに森島が反応。突破から稲垣のゴールにつながった。ボランチの稲垣がゴールエリアにまであがり、PA内にいた紫の選手は5人。チャンスになったとみるや、ワッと反応してスパートしたことで湘南の守備を無力化した。

公式記録のシュート数は19本だが、optaデータでは25本。圧倒的に攻めに攻めた広島は、スプリント回数では178回を記録している。ここまでの広島が平均160回だから大幅な進歩だ。横浜FMは平均203回を誇っており、特別に優れた数字だとは言えないが、札幌戦が124回だったことを考えれば、大幅な進歩であると言っていい。なぜなら、今回のスプリントは守備で走らされたわけではなく、自分たちで主体的に「走った」。だから価値がある。

もちろんこの勝利は、58分に見せた中林洋次のスーパーセーブとサポートした稲垣祥の守備意識なくして、語れない。「攻撃的」とか「アグレッシブ」とか、そういう耳障りのいい言葉の裏には必ず、厳しい状況でも支える守備が存在する。いずれにしても、城福浩監督が覚悟を決めて推進した新機軸はみごとに機能し、広島に明るさを取り戻した。森島司の2得点に絡む活躍も含め、希望に満ちた6月14日の夜だった。

 

(了)

 

 

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