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【2019紫熊の戦士】柏好文/ワイドの帝王

ワイドの帝王。

「帝王だから、KINGではなくEMPERORではないか」というご指摘は、甘んじてうけたい。

SIGMACLUB本誌でつけた柏好文についての称号「ワイドの帝王」は少し大袈裟かもしれないと、一瞬、躊躇した。しかし、左サイドでの柏好文が見せる無人の野をいくが如きの君臨ぶりは、帝王という称号こそふさわしい。ここまで3得点1アシスト。しかし神戸戦などは先制点を誘発するボール奪取、同点ヘッド、野津田岳人のアシストを誘発するパス。4点中3点に絡む大活躍を見せ、「帝王」であることを見せ付けた。

広島の攻撃は圧倒的に左サイドでつくられる。シャドーを務める野津田岳人やストッパーの佐々木翔、そして柏好文の3人がおりなす硬軟自在のコンビネーションは質が高く、またその量も多い。しかもこの左サイドはパスだけでなく、ボールもしっかりと運ぶ。まさに「人もボールも動く」左サイドなのである。

その中心にいるのが柏好文であることは論を待たない。圧倒的なドリブルの力は、足下の高い技術から。ボールをさらしながら相手を誘い、その逆をつくプレー。ボールを奪われない場所に置きながら運び、2人に対応されても慌てず騒がず、コンビネーションを使ったり単独で勝負したり。「左45度はKASHIWA ZONE」と松本山雅戦後のヒーローインタビューでは豪語したが、その言葉どおりに圧巻のシュート力を見せ付ける。そしてこの「KASHIWA ZONE」の存在があるから、シュートを決める力があるから、縦の突破が利くわけだ。

「まあ、いつも思っているけれど、ゴールを決めるのは難しい。10点も20点もとれる人は、本当にスゴイと思う。でも、ウイングバックとかサイドのプレーヤーが得点をとれるのは、チームにとって大きい。自分やエミルが決めているのは意味があるし、サイドの選手であっても得点をとれるように意識していきたい。危険な場所に入っていくことが大切なんです。入り続けることが大事なんです。その感覚は中盤というよりはストライカー的かもしれないけれど」

今月のSIGMACLUBで語ってくれた言葉の抜粋である。

(残り 1362文字/全文: 2240文字)

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