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【2019ACLプレーオフに向けて】吉野恭平/今こそ、ヒーローになる時だ

プロならば、絶対に勝負しないといけない時がある。

人生を賭けないといけない時がある。

吉野恭平は、今、まさにその時だ。闘って勝利して、ヒーローになる時だ。

2018年シーズンで広島との契約が切れ、彼はフリーになった。様々なことを考えたはずである。サッカーのこと、人生のこと、自分自身の方向性のこと。

昨年の終盤、彼の気持ちは、残留と移籍とで揺れていた。新しい環境で、新しいチームで、今度こそ自分がレギュラーとなってチームを牽引したい。そんな道を選択する可能性もあった。しかし実は、彼の気持ちは12月の早い時期に固まっていたという。

川辺駿や野津田岳人ら同世代の若者たちと違い、吉野は広島出身でも広島ユース出身でもない。だが、彼は「広島で活躍することを願って」、期限付き移籍先の京都から戻ってきた。東京Vが財政難のため、中島翔哉や吉野を移籍させざるを得なかった時、広島は多額の移籍金を投じて彼を獲得。その時の恩義を吉野は忘れられない。

広島で何かを残さなければいけない。

そんな決意を昨年のインタビューでは語ってくれた。だからこそ「今季も広島で」と最後には決断したのだろう。いかにも現代の若者という風貌をしているが本質は義理堅く、筋道を大切にする。喋ることは得意ではないし、自己表現も決してうまくないが、本質は大切にしてくれる男だ。

だからこそ、結果を出してほしい。才能に疑いはない。長いボールも短いボールも蹴れるし、バランスもとれる。守備の感性も持っているし、攻撃の発想もある。それは2016年、宮崎キャンプでのパフォーマンスで証明してくれた。あの伸びやかな発想力を発揮できれば、きっと戦える。

(残り 1306文字/全文: 1995文字)

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