【2018紫熊の戦士】森崎和幸/プレーするだけでチームを刺激させる天才
さすがと唸るしかないパスだった。
24日に行われたトレーニングのシュート練習で、カズはボランチの位置に立った。そこにいるだけでも凄いオーラがある。わかる人に、わかればいい。派手なパスだって本来なら出せる、しかしそれは森崎和幸の思想ではない。あくまで「自分が」ではなく「周りを」なのだ。止める・蹴るなら今も彼の右に出る選手は、少なくともサンフレッチェ広島にはいないし、Jリーグにもいるかどうか。それほどのレベルにありながら、あくまで黒子に徹する。だからこそ、チームメイトはこう言うのだ。
「カズさんと一緒なら、やりやすい」
体調不良でピッチから離れて8カ月。先週から対人以外のチームトレーニングに合流し、パスワークやシュート練習へのパス出しなどで感覚を少しずつ、取り戻してきた。
トレーニングに対してどういう態度で臨んでどう捉えているのか、こういうシチュエーションでのクオリティで全てがわかる。カズはいつも、試合をイメージしてパスを出している。シュート練習だからDFはいない。でも、彼の脳裏には必ず対人するDFがいて、パスの受け手に対してのマーカーがいて、ラインコントロールをする最終ラインがいる場面が見えている。
城福監督のシュート練習は、単純にサイドに出してボールに運んでクロスを入れて飛びこむという形ではなく、例えばサイドハーフの動きやサイドバックの位置取り、FWのコンビネーションなど、様々なアイディアを駆使しないとついていけない。そしてカズにとってそういうスタイルは自身の真骨頂を見せ付けやすいことも事実である。
筆者が唸ったのは、そのシュート練習でカズが何気なく出した展開のパスだ。
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