縦に紡ぎし湘南の

【湘南vs東京V】レポート:淀みない前進と今季初の無失点勝利

■天皇杯JFA第104回全日本サッカー選手権大会3回戦
7月10日(水)湘南1-0東京V(19:01KICK OFF/レモンS/3,151人)
得点者:66’鈴木章斗(湘南)
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勝利はいい。あらためてそう思わせてくれた一戦だった。

J1同士の戦いは、互いにチャンスがあり、ピンチがあった。東京Vがシンプルに運びセットプレーを絡めてフィニッシュに結べば、ベルマーレはGK馬渡洋樹の好守もあってこれを凌ぎ、攻撃に転じていく。

とりわけベルマーレのビルドアップは目を引いた。東京Vのハイプレスをパスワークで冷静に剥がし、淀みなく前進する。テンポよく繋がるのは皆が意思を合わせていることの証左だ。数分おきに訪れる豪雨にも足元は乱れない。これまで出場の限られている選手もいるなかで、攻守に息づく一体感が日々の切磋琢磨を裏付ける。

スコアレスで折り返した後半、天候も落ち着いたなかでベルマーレは徐々に攻勢を強めていく。すると66分、福田翔生、茨田陽生と繋ぎ、鈴木章斗がミドルを仕留めて先制に成功した。鈴木章は直前にもネットを揺らしたが、一連の攻撃がオフサイドを取られていた。今季のアウェイ京都戦や昨季のホーム鹿島戦然り、決定機をフイにしたその試合できっちり決めるのは、それだけゴールに迫っていることの証かもしれない。

その後、東京Vは反撃に転じて押し込んだが、ベルマーレも馬渡を中心に粘り強く阻み、途中出場の根本凌や石井久継らが時間をつくって1-0のまま長い笛を聞いた。

クリーンシートはスコアレスドローで決したホーム町田戦以来、無失点勝利は今季初となる。不用意なボールロストからピンチを招いた場面は課題も、勝ち切った事実は得難い。

果たしてベルマーレはラウンド16進出を決めた。雨上がりのスタジアムを歓喜が包み、子どもたちがはしゃいでいる。やはり勝利はいい。

reported by 隈元大吾

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