縦に紡ぎし湘南の

【福岡vs湘南】プレビュー:勝利がもたらすもの

■天皇杯JFA第103回全日本サッカー選手権大会準々決勝
8月30日(水)福岡vs湘南(19:00KICK OFF/ベススタ)
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福岡との対戦の記憶はいずれも苦い。アウェイに臨んだ今季のJ1第5節は、攻勢の先で先制するも、後半アディショナルタイムに2失点し、逆転負けを喫した。ホームで対峙した同第21節は、スコアレスで迎えた終盤ネットを揺らされ、0-1で敗れた。両試合ともベルマーレが多くの時間を主導したが、流れほどにはゴールを奪うことは叶わず惜敗した。福岡が大きくリードしている通算対戦成績通りの結果となった。

天皇杯準々決勝はその福岡と対戦する。彼らは2回戦でJ3の今治に勝利して以降、J3岐阜とJ2栃木を延長の末にそれぞれ降してベスト8に駒を進めた。かたやベルマーレは地域リーグを戦うBTOP北海道を皮切りに、J2岡山とJ1C大阪との勝負を制して準々決勝にたどり着いた。

C大阪とのラウンド16の熱戦は記憶に新しい。ゲーム序盤、大橋祐紀がPKを決めて幸先よく先制に成功すると、その後繰り返された相手の猛攻も粘り強く守り抜いた。C大阪のビルドアップを阻止した組織的な守備をはじめ、GKソンボムグンの鋭い好守や、ゴールライン際でピンチをはね返した田中聡のカバーも見逃せない。対してC大阪も後半アディショナルタイムにレオセアラがPKを沈め、勝負は土壇場で振り出しに戻る。延長でも決着はつかず、迎えたPK戦も一進一退の攻防が続くなかで、最後はソンが足を残してシュートを阻み、ベルマーレが勝利を掴んだのだった。

ディフェンスラインを統率した大野和成はのちに振り返っている。
「きついときほどコンパクトにして先手を取ろうと思っていた。ゴール前でみんなで体を張ることも大事。みんな執念が出ていたし、なにより勝ったことがよかった」

中断明けの初陣にして待望の歓喜を呼び込んだくだんのC大阪戦が、その後に続いたリーグ戦に勇気をもたらしたことは間違いない。2連敗で迎える今回も然りだ。対戦成績の芳しくない福岡から勝利を挙げることができればなおのことだろう。

中2日で鹿島戦が控えるタイトなスケジュールにあって、どんなメンバーで一戦に臨むか。たとえばC大阪戦で松村晟怜が3バックの一角でフル出場したように、あるいは岡山戦で鈴木章斗と石井久継がゴールを仕留めたように、フレッシュな台頭にも期待したい。

reported by 隈元大吾

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