ニイガタフットボールプレス

【勝手に蹴りやがれ】2023年が動き出す

11月3日、松橋力蔵監督が来シーズンも指揮を執ることが発表された。J1を舞台に戦う2023年が動き出すのを実感する。やがて本格化する新チームの編成作業において、松橋監督が引き続きチームを率いることが、重要な意味を持つのは間違いない。ブレない一貫性と新たなチャレンジ、その先につかもうとするさらなる発展が、大いに期待されるからだ。

アルベル前監督(現FC東京監督)が築いたボールを保持して攻めるスタイルを継承、さらに進化させた今シーズン。J1昇格、J2優勝を達成したチームの最多得点は、9ゴールでFW谷口海斗、MF高木善朗、MF伊藤涼太郎の3人が並んだ。二ケタ得点者がいないにもかかわらず、チームはJ2リーグ最多の73得点をたたき出し、リーグ最少タイの35失点に抑えて、非常に特徴的な数字を記録している。

来年チームが挑むのは、今年の戦いをそのままなぞって通用するようなヤワな舞台でないことは重々承知している。だからこそ松橋監督がチームを、サッカーを、どのようにアップデートするのか楽しみでならない。

監督2シーズン目を迎えるにあたり、指揮官はクラブを通じて「アルビレックス新潟らしさを突き詰めていくことが、さらなる飛躍に繋がる」とコメントしている。

「新潟らしさ」。新潟のアイデンティティ、サッカーのスタイル、プレーモデル、築いてきた歴史――さまざまな意味や思いが込められるがゆえに、簡単にはとらえがたい難しさがある。

サッカーのスタイル、プレーモデルにフォーカスするとき、われわれは変化に気づくことになる。たとえば2013年後半のJ1を席巻したチームの「新潟らしさ」と、2022年にJ1昇格&J2優勝を成し遂げたチームの「新潟らしさ」とでは、思い浮かべるサッカーに違いがあるはずだ。前者はハイプレスからのショートカウンター、後者はボールを保持しつつ攻めるサッカーを、多くのみなさんがイメージするのではないだろうか。

どちらがより良い、という話ではない。降格してJ2での5年の内にこうした変化を起こした上で、再びJ1のステージに立つチームが実に誇らしいのだ。

アイデンティティということでいえば、やはり圧倒的な新潟サポーターの熱量である。こちらはいわば、不変の新潟らしさ。2022年、いくつか分岐点があった中で、堀米悠斗は3戦未勝利で迎えたアウェイの第31戦・栃木戦(〇2-0)を、一つのポイントとして挙げる。2年ぶりとなる声を出しての応援は、失速しかねない状況に直面していたチームを大事なところで踏みとどまらせた。

2023年、新たなステージでの戦いが始まる。信念はブレさせることなく、変わる部分と貫く部分と、新潟らしさをさらに磨きながら、チャレンジは続く。

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