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竹内弘明GMが語る鬼木達監督像「彼の功績は本当に大きいのかなと、そういうふうに思っています」【ニュース】

シルバーコレクターだったフロンターレを就任初年度にリーグ制覇に導き、ここまで7つのタイトルをもたらした鬼木達監督の2024年シーズンを持っての契約満了が10月16日に発表になった。この件について竹内弘明GMが取材に応じた。

契約満了の判断については「特に今年はケガ人が特に同じポジションで多かったりだとか。難しいシーズンであった」と厳しい事情を汲みつつも、「昨年と今年の成績を見た時に、まあいろいろな選手が抜けたり、いろんなサッカー観が少し変わってきたり」といった背景を判断材料にしたようだ。その上で「フロンターレが次に行く時に、どうするか」を強化部や竹内GMが考え「クラブの方から、どちらかというと未来に向けて、少し進みたいというような話をさせてもらいました」とその決定の背景を説明した。

鬼木監督に対する評価については「本当に情熱的。負けず嫌い。そして、なんでしょうね、細部にこだわる。勝敗は細部に宿るって良く言うじゃないですか。そういったところを決定できる人」だとの表現で鬼木監督の試合にかける思いを解説。その先にあるブラさない基準というものがあり、それが「選手には以心伝心、伝わっていて。なんか、フロンターレの基準って言われますけど、彼の基準」があったのだとしている。

その起点として風間八宏前監督の存在に言及しつつ「最終的に形になっていったのは、彼の功績は本当に大きいのかなと、そういうふうに思っています」と述べていた。

ちなみに10月15日に行われた日本代表対オーストラリア代表については、その先発メンバー中5選手がフロンターレでのトップ経験選手で、逆に言うとそれだけの質の選手がフロンターレを後にしたということでもある。つまり鬼木監督の指揮を継続しつつ、選手編成でチームを立て直す判断もあるのではないかと考えたが竹内GMはその質問に対し次のように回答した。

「当然そこの選択肢も含めて考える中で、やっぱりこう、未来に進むって言った時に、監督だけじゃないんでしょうけれども。そういうことに対して、新たにクラブとして、チャレンジしていくというところが求められているのかなというのも実際ありました」

鬼木監督と共にチームを作っていくという判断もある一方で、新たな監督の元「成長するために」チャレンジが必要だとの認識に至ったようだ。

なお、現状「後任の監督については、今、全く白紙と思ってください」とのこと。ただし選考基準として「ボールをやっぱり大事にするだとか、基本的な技術のところ」は重視するとのこと。すなわち「フロンターレが今までずっと大事にしている、どんなサッカーでもボールを大事にしたりとか。昨日の代表じゃないんですけど、人を見て立ち位置を変えていくだとか、そういったところのフィロソフィーを分かっていただける」監督の招聘を目指すとしており、「押し込んで、ボールを大事にして、何度も何度も攻めてシュートをたくさん打つ。そうした魅力的なサッカーっていうのをやりたいって気持ちは変わってない」と述べていた。

また竹内GMは「アカデミーの大切さ」にも言及しており「移籍でポンポンポンも連れてきてほしいとかという監督だと、ちょっと我々の思いとはちょっと違う」と、強化を補強に依存する監督像は想定していないようだ。

なお、強化部を代表して、鬼木監督への感謝の思いを込めて、退任までの期間の応援をお願いしていた。

「改めて僕らの方からもお願いをしたいんですけども、やっぱりクラブはこの先リーグ戦、ACL、続いて12月まで鬼木監督の下で走ります。鬼木監督に改めて、本当に私としても感謝してますし、ただ、感謝でここで終わるわけではないので。やっぱりそういう雰囲気をサポーターと一緒に作っていきたいと思いますし。やっぱり最後は、勝って全勝して終わりたいと思ってるぐらいなので。皆さんにもぜひそういう気持ちをですね、前面に出していただいて。これからのフロンターレも引き続き応援をしていただければと思いますので、よろしくお願いします」

この時期の発表により、鬼木監督のフロンターレでの最後の日々を見送ることができる。シルバーコレクターを強豪クラブに押し上げた鬼木監督の功績に感謝したい方はぜひとも応援をお願いしたいと思う。

ちなみに後任監督選定の時期については「それは今シーズンまででやるしかない」との前提を口にして「時間がかかればかかるほど、いろんな選択肢が狭まっていく」ため「できる限り情報を集めて、早めにするのがチームを作る上ではアドバンテージがあるのかなと思ってますけど」とのこと。

またフロンターレが大事にしてきた地域密着については理解してくれる方が望ましいとして、次のように述べている。

「やっぱり積み上げたものって意外に簡単に無くなっちゃうじゃないですか。そういったところをなくすようなクラブであってはいけないと思いますし、それで30年近くやってるクラブですから。そういったところというのは大事にしたいなと思ってます」

(取材・文/江藤高志)

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