「川崎フットボールアディクト」

簡単に重ねた失点。チャンスを決めきれず、反撃はPKの1点にとどまる/プレミアEAST2024第13節 vsFC東京U-18【レポート】

■いきなりの失点

プレミアリーグ13節の川崎U-18vsFC東京U-18の一戦が9月7日に等々力競技場で行われた。この試合は当初保土ケ谷で予定されていたが、等々力での開催が決定。無料ではあるが2,798人の観客を集めての一戦となった。

そんな試合に向け、気を引き締めて入っていたと話すのは柴田翔太郎。

「クラブユースである程度の自信と収穫を得ながら、という中でこの中断期間を過ごして。優勝できずに終わったところがあったので、それを(プレミアリーグに優勝してWESTとの)ファイナルで晴らそうというところで、後半戦に臨みました」

しかし気持ちを込めて臨んだはずの試合は、開始わずか4分に失点してしまう意外な展開に。

土屋櫂大は「本当に立ち上がり、まず入りというのは自分たちが意識してやってきた」のだと話すが「立ち上がり、そういうふうに失点してしまうということは良くないと思いますし、立ち上がりをはっきりやるところも、目を合わしてスタートしたつもりなんですけど。ああいうところではっきりプレーできなかったっていうのが、自分たちの良くなかったところだと思うので」と反省した。

手痛い失点ではあったが、そこまで落ち込むことはなかったと話すのは柴田。

「失点した時はまだ4分でしたし、そんな慌てる時間じゃないというか。0-0と同じ気持ちで戦っていたので。自分たちもチャンスは作れる自信はあったので。自分たちはいつも通りのサッカーを思い切ってやろうというふうに思っていました」

思い切ってプレーした結果として、「自分たちのサッカーはできました」と振り返る柴田だったが「やっぱり最後決め切るところを決めなかったらこういうゲームになりますし」と決定力に問題があったと悔しがった。

前半26分の知久陽輝や、33分の児玉昌太郎、40分の香取武といった選手たちがシュートを狙ったが、ゴールにまでは至らず。

ちなみに川崎U-18の前半のシュート数は11本。1点をリードしたFC東京U-18が重心を後ろめに置いたという事実はあるだろうが、それにしてもチャンスがあっただけに悔やまれる前半だった。

■後半も失点が重なる

HTに共に1枚ずつの交代カードを切って迎えた後半も試合のペース自体は川崎U-18が握ったが、追加点はFC東京U-18が手にする。後半54分にCKを永野修都に合わせられ2失点目。2点を追いかける川崎U-18が攻勢を強めたが、59分にはカウンターを浅田琉偉に沈められて3失点目を喫した。

3点を先行された川崎U-18は、柴田翔太郎が仕掛けた74分のドリブルがファールとなり、PKがコールされた。キッカーはPKを取られた柴田。

「(FC東京U-18のGK後藤亘とは)代表でもずっとやってましたし、蹴る方は多分バレてたと思うので。いつも蹴ってる方を知ってたと思うので。そっちに蹴る雰囲気を出しながら、逆に蹴るというのを決めていたので。そこまでは圧は感じなかったです」

そう話す柴田がこれをきっちり決めて1点を返したが、追加点が続かず。試合終盤までゴールに迫る川崎U-18だったが、追加点を奪うまでには至らなかった。

結局試合は1−3で敗北。この結果、川崎U-18がプレミアリーグに昇格した2022年以降、FC東京U-18戦では初めての敗戦となった。プレミアリーグ5連勝していた相手だったが、ついに黒星を喫することとなった。


恩田裕太郎(おんだ ゆうたろう)


ステンパールカ大翔(ステンパールカひろと)


新堀翔(しんぼり かける)


楠田 遥希(くすだ はるき)

■コメント

長橋康弘監督と、土屋櫂大、柴田翔太郎の各選手です。

◯長橋康弘監督

――今日の後半戦、最初の試合でしたが、振り返っていかがでしたか。
「後期、1試合目でホームでできるというこの状況で、まずは勝ちたかったんですけれども。ちょっと失点が、簡単な失点というか。プラス、ちょっと決められるところを決められないと、こういうゲーム展開になるんだろうなということは分かっていたことで。それを改善できないまま、試合に臨んでしまったというのは、私の反省点です」

――クラブユースからいろいろ自分たちのサッカー見つめ直して来たと思いますが、どんな取り組みをこれまでしてやってきましたか。
「選手にはとにかく細かいところをこだわって行こうと。そういう人間、そしてグループ、チームにしていこうというところで、細部へのこだわりというところは選手に求めてきました。ただ、こういった部分というのはなかなかすぐに改善できるところではなくて。そういったところも継続してやっていかないといけないかなという、まさしく今日の失点はそういった部分が出ているなという感じがしました。やはりこれから勝ち続けるチームを目指すには、こういったことではいけないということを、改めて思いました」

――とはいえ、これまでの成果が出た部分もあったのでは?
「そうですね。なかなかこう、私たちの目指すサッカーでいうと。内容も結果も圧倒しようというところで、なかなかそういうアプローチというのが選手たちに間違って伝わると、今日なんかも、チャンスを多く作れたねとか。そこまでは良かったねとか。そういう評価を私自身がしてしまうと、ちょっと違う方向に行くのかなという思いがありまして、やっぱりそういうところも変えていかないと勝ち続けるチームにはなれないのかなと思っていますので。その辺のところはまた、日常を変えながら選手たちと一緒に、目指すべきチームになっていきたいと思います」

――対戦も2巡目ということで、FC東京も対策してきたと思いますが感じるところはありましたか?
「一人一人の選手の能力は本当に高いチームというのは分かっていたので。その辺の選手の特徴というのを気にしながらも、自分たちのサッカーをやろうというところで、想定はしていたんですけど、やはり自分たちが持つ時間が多くて。逆にそういった部分でいうと、相手はじれずに、しっかりと守備を粘り強くやりながら、カウンターを打って出ようといった狙いだったと思います。まんまとやられました」

――細かいところで、時間がかかると思うんですけど、今後に向けて、次節に向けてどんなところを改善していきますか?
「まず時間をかけないと改善できない部分と、意識で変われる部分。そこをまず整理して、やはり優勝を目指す上で、連敗というのは避けたい部分でありますので。その辺のところをもう一回選手と一緒に整理しながら、1週間を大事に。1日1日を大事にしていきたいと思います」

――もともと保土ケ谷だったのが等々力に変わったということについては?
「私たちにとっては、今日も選手たち、本当にサポーターの皆さんに内容と結果、こだわりながら、素晴らしい、フロンターレらしいサッカーを見せようというところで入りました。こういうような環境でサッカーができる幸せを感じながら、何とか結果と内容で応えたかったんですけども。残念ながらそういうような結果ではなかったですが。またね、こういった状況でサッカーができる時には、必ずフロンターレらしいサッカーで結果も圧倒できるようにやっていきたいと思います」

――今日は、2798人のファンの方に来てもらい、これだけの環境を作ってもらったと思うんですけど、そのファン・サポーターの方の声援というのはいかがですか?
「ありがたい限りです。本当に私たちは本当に、今日みたいに来てくださるサポーターの方々に支えられています。それこそアウェーでも本当にフロンターレのホームかというぐらい来ていただいたりする時もあるし。なんとか、そこに応えられるように。とにかくこの先、頑張っていきますので。引き続き応援、どうかよろしくお願いいたします」

――早い時間の失点でしたが、その後の戦い方については?
「正直、失点の仕方がですね、チーム全体が下を向くような悪い雰囲気になりがちな失点ではあったんですけれども。ただ、改善点の、以前からの一つに挙げられている、連続失点をしないというところでは、その後しっかりと選手たちは立ち直って、自分たちのリズムというか、流れていけた。そこは評価できるのかなというふうに思っています」

――ハーフタイムの交代の意図は?
「代わった新堀が、練習からものすごくいいパフォーマンスを見せてくれています。そういった中で、ちょっと違うパワーというのが欲しくて入れたんですけれども。彼らしさというのを十分出してくれていたと思いますし、引き続き彼には頑張ってほしいなというふうに思っています。変わった知久も決して悪い動きではなかったので。非常に迷う采配ではあったんですけど、結果につながらなかったということは私の責任ですね」

◯土屋櫂大

――今日、最初保土ヶ谷だったのが等々力でできたということはどうでしたか?
「ここ、等々力でやるというのは本当に、トップチームの試合も日頃から見てますし、やっぱりここで試合するというのは、気持ちの持ちようといいますか。自分たちがここでサッカーできるということで、ポジティブではあったので。ここで今日、勝ちたかったというのがありました」

――クラブユースの負けから自分たちの見つめ直してきたと思いますが、これまでどんな準備をしてきました?
「そうですね。やっぱり守備の部分だったり、攻撃の決め切るところもそうですけど。やっぱり、クラブユースの決勝も連続失点というところがあったので。軽い失点をしないというのは見つめて練習やってきたんですけど。今日この舞台で、複数失点もそうですし。後半に関しては連続失点してしまったというのがあるので。やっぱりそこはもっと見つめ直さなきゃなというのがあります」

――最初の失点はどんな反省点がありましたか?
「本当に立ち上がり、まず入りというのは自分たちが意識してやってきた中で、立ち上がり、そういうふうに失点してしまうということは良くないと思いますし、はっきりやるという自分たちのまず背後を目指して、立ち上がりをはっきりやるところも、目を合わしてスタートしたつもりなんですけど。ああいうところではっきりプレーできなかったっていうのが、自分たちの良くなかったところだと思うので。もっともっと一つ一つ細部まで突き詰めてやっていかないと、もう一回こういう試合はしたくないので。最後までこだわって、これから練習していきたいと思います」

――次節に向けての改善点は?
「まず今日の複数失点、連続失点を含めて、まず、日々の練習からゴール前もそうですし。やっぱり軽い失点をしないというのは、もっともっと突き詰めてやっていかなきゃいけないと思っていますし。あとは決めきるところというのは、前線の選手だけじゃなくて、自分たちももっともっとスムーズにビルドアップして、前にボールをつなげられれば、もっとチャンスが増えていくと思うので。そこは前線だけの選手じゃなくて、チーム全体としての課題でもあるので。日々の練習から、来週からそうですけど、もっと突き詰めてやっていかなきゃいけないと思っています」

――この夏休みで個人的に取り組んだことと、どんなことが成長できたか、教えてください。
「そうですね。夏休みはトップチームの方に参加させてもらう機会があったんですけど、そこで感じた部分はやっぱりフィジカルだったり足のスピードっていうところだったので。そこはやはりその期間でもそうですし、ユース帰っても、筋トレって体作りにフォーカスして突き詰めてきました」

――今日3000人近いファンの方に来ていただいて、そのスタジアムの雰囲気というのはどう感じていますか?
「本当にトップさながらの雰囲気で、やらせてもらっていることが、本当に当たり前な環境じゃないので。こういう環境を作っていただけることに感謝して、その中でもやっぱり勝ちっていう結果にこだわっていかないといけないと思ってますし。あれだけ多くのサポーターが来てくれた中で勝利を届けられなかったというのは、本当に悔しいので。次節から優勝を目指して、もっと勝ちにこだわって、ファン、サポーターのみなさんに勝ちを届けられればいいなと思っています」

◯柴田翔太郎

――後半戦初戦でプレミアの優勝に向けてということで、どんな気持ちで試合に入りましたか?
「クラブユースである程度の自信と収穫を得ながら、という中でこの中断期間を過ごして。優勝できずに終わったところがあったので、それをファイナルで晴らそうというところで、後半戦に臨みました。それでその中で前半は自分たちのサッカーができてたと思いますが、失点のところ、軽い失点が多かったですし、防げた失点も多かったので。そこをもう一度、その守備の厳しさというか、自分は後ろの選手なので。練習からそういう基準というものを示していかないとなと思います」

――結構公式戦が空いたということで、何かやりづらさはありましたか?
「個人的にはクラブユースが終わって早く試合がしたいと思っていましたし、早く公式戦がしたいと思ってはいましたけど、他の選手のことまでは分からないですけど、やっぱり期間が空いたので。もう一度試合の立ち上がりであったり、アップの最初の頃はいつもより引き締めてやろうという話は、声をかけましたし。その中でも3分ですかね。立ち上がりに失点してしまったので。もっと自分たち、3年生ですし、上の選手たちがもっと引き締めなければならなかったかなと思います」

――その後、どんどん自分たちのリズムが出てきたと思うんですけど、どんな話をしてたんですか?
「失点した時はまだ3分でしたし、そんな慌てる時間じゃないというか。0-0と同じ気持ちで戦っていたので。自分たちもチャンスは作れる自信はあったので。自分たちはいつも通りのサッカーを思い切ってやろうというふうに思っていましたし、その中で、自分たちのサッカーはできましたけど、やっぱり最後決め切るところを決めなかったらこういうゲームになりますし。最後、締めでやすさんも言ってたんですが、内容勝負じゃないですし。結果を求める世界なので。やっぱり、試合中は次、決めろという声掛けはあったんですけど。やっぱ練習でも、もっと厳しさを求めてやっていかなきゃいけないと思います」

――個人的にこの夏休みで、どんなところに個人的に取り組んできたのか。あとどんな成長ができましたか?
「攻撃に関わるところは自分の長所なので、そこは自信を持ってやっていましたけど。自分自身取り組んだのはビルドアップのところのつなぎのところだったり、はまった中での回避の仕方というのは、練習でもそうですし、映像とかも見ながら、苦しい状況で、はまった時でも回避できるような、そういうような選手になりたいと思ってたので。そこは、この期間で取り組んだところではあります」

――中を締められてくると、なかなか簡単にクロスしてもしょうがないのかなとも思ったんですが、どういう崩しをしようと思ったんですかね?
「中締められても、その分、外が空くというのは分かっていたので。中に高い選手はいましたけど、それでもシンプルに入れてもチャンスにはなると思ってたので。そこのシンプルに入れた先の、中の入り方だったり、もうちょっと中の工夫だったり。そういう入るところの整理だったり、そういうところがあれば意外と、高さはありましたけれども、マークはルーズだったので。チャンスはあるなという風に思ったんですけど。やっぱ、もうちょっと高さある選手に対しての工夫っていうところは、引き出しというところは、もっと中とも擦り合わせなきゃいけないですし。自分自身のボールの質でも、それは延々と、目を向けていかなければいけないので。その2つは、目を向けなきゃいけないかなと思います」

――ミドルとかも有効ですかね、こういう試合は。
「そうですね。やっぱり振り返ってみてもミドルシュートは少なかったですし。やっぱ相手のバイタルエリアの前で揺さぶりながらっていうシーンが多くて。外から外からどう探りを入れていくかみたいな感じが続いてしまったので。保持はできましたけど、仕掛けっていうところは少なかったなと思っていますし。もうちょっとミドル、振ってもいいのかなと思いますし。そうですね。おっしゃる通りミドルは少なかったなと思います」

――PKの場面って、相手はFC東京のトップが決まっている後藤くんで、どんな感じでしたか?
「代表でもずっとやってましたし、蹴る方は多分知ってたので。バレてた思うので。いつも蹴ってる方を知ってたと思うので。そっちに蹴る雰囲気を出しながら、逆に蹴るというのを決めていたので。そこまでは圧は感じなかったです」

――悔しい結果になりましたが、今日も3000人近い方が集まってくれたという中で、声援だったり雰囲気みたいなのはどのように感じてましたか?
「このエンブレムを背負っている以上、ここでプレーするというのは本当に憧れの場所ですし、誇りを持ってプレーしなきゃいけない場所ではあると思うので。本当に高ぶりましたし。でも、やっぱりここでやるからには勝たなきゃいけないと思いますし、絶対に勝たなきゃいけない場所だと思うので。本当にアカデミーの自分たち世代という試合に、こんなに足を運んでくれたのにも関わらず、今日は勝てなかったので。それ本当に申し訳ないと思いますし、その中でも声援だったり、自分の名前、自分のチャントを歌ってくれたり。本当に力になっていましたし、ここ2試合、クラブユースの決勝と今日というところで、不甲斐ない姿を見せてしまっているので。次はもう何が何でも勝つという気持ちで。泥臭い形でもどんな形でもいいので勝ちを求めてやっていきたいと思います」

――最初、保土ケ谷だったのが等々力になって。その時のチーム内の雰囲気ってどうでしたか?
「今年の最初は等々力がないと言われていたので。それが等々力に変わって。やっぱりここの場所でできるのは、憧れですし、個人的にはここでスタートから出たことがなかったので。いつも以上にやってやるぞという気持ちはありましたし、それをもっとプレーで見せなきゃいけなかったと思っています」

(取材・文・写真/江藤高志)

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