シンクロした柴田翔太郎と土屋櫂大の感覚。そして生まれた同点弾/クラブユース選手権準決勝 vs福岡U-18【コラム】
敗色濃厚の後半アディショナルタイムの80+3分。土屋櫂大のゴールを柴田翔太郎がアシストした。
クロスを上げた右サイドバックの柴田は、福岡U-18の武本匠平とマッチアップ。試合を進めていく中、柴田の右足クロスがポイントになっていたという。
「前半から右足でクロスを上げてて。自分でも右足のキックは自信を持って上げてるので。その中でだいぶ警戒してきてたなというのは後半が始まってからもあって。その中でも何回も縦に行けたんですけど」
そんな武本の警戒は後半アディショナルタイムに最大化されていたという。
「最後もう、完全に縦を切ってきたんで切り返して、左足でも自分は自信を持って上げられるので」
そう胸を張る柴田は「もう、ありがとうございます、という感じで、切り返して。中にカイト(土屋櫂大)が居たので。決めてくれて良かったなと思います」と起死回生のアシストを振り返る。
パワープレーのため、試合終盤に最前線に上がっていた土屋櫂大は柴田への信頼感を口にする。
「柴田がサイドでボールを持った時は必ずいいクロスが来るという。練習からでも普段の生活からでも分かっていたので」
だから土屋は「柴田を信じて中に入って」行ったのだという。
その土屋に対し柴田は完璧なボールを入れた。
「本当にドンピシャで柴田がボールをくれたので。本当に柴田のゴールだと思います」
チームメイトへの謝意を口にする土屋は「たまたまあそこにいたのが自分であって、ここまでみんなで来られていたので。みんなのゴールかなと思います」とチームメイト全員に感謝していた。
ちなみに土屋は柴田との相性について「抜群です」と述べて、ボールが来る場所の感覚がわかると話す。
「あいつがボールを持った時には絶対ここにボールが来るというのが自分の中で分かるので」
だから柴田を信じて中に居たという。
「もう柴田を信じて中にただ、居ただけなので。柴田がボールを持ったら必ずいいボールが来るので。彼だけを信じてました」
そんな二人の関係性について長橋康弘監督は「あの二人、すごい仲いいんですよ」と明かし「多分ああいう形になった時に、どの辺に来そうだなというところが、多分入ってくる前に土屋は分かっていたと思うんですね。さらに上げる時にも、柴田は多分このタイミングだったら、土屋、この辺に入ってくるんじゃないかというようなところは、多分彼らは分かっていたと思います。はい。素晴らしいプレーでした」と両選手が共有しているであろう感覚について説明した。
なお、柴田は自らのクロスについて「カイトは前に行ってたのは知ってたので。でもカイトにというよりは、とりあえず中に引っ掛けないように、いいボールを上げるだけでした」と発言。まずは相手に当てず、ここぞという場所にボールを入れることを優先させたのだという。
「左足に切り替えた時に、ゴールに向かっていくボールっていうのを、そっちの方がキーパーも嫌だと思うので。そういうボールを左足でも蹴れるので。自信を持って、あのぐらいの時間があれば、上げられるので。自分としてはそこまで難しくなく、上げるだけでした」
つまり柴田が考える理想的な弾道のクロスは、土屋にとってはここに来いと願った弾道でもあったということ。そうやってシンクロした二人の意識が、起死回生の同点弾となり、9人目で勝利したPK戦へとつながった。
松澤成音が参考にしたのはyoutube。最後まで気を抜かなかったPK戦/クラブユース選手権準決勝 vs福岡U-18【コラム】
(取材・文・写真/江藤高志)