「川崎フットボールアディクト」

松澤成音が参考にしたのはyoutube。最後まで気を抜かなかったPK戦/クラブユース選手権準決勝 vs福岡U-18【コラム】

川崎U-18のGK松澤成音は最後まで気を抜かなかった。

アビスパ福岡U-18を相手に行われたクラブユース選手権準決勝は1-1で入ったPK戦がサドンデスに突入。9人目で決着した。先攻の川崎U-18は関徳晴が決めた一方、福岡U-18の9人目を川崎U-18のGK松澤が右足に当てて跳ね返す。

この瞬間、両チームの選手もサポーターも川崎U-18の勝利を確信する中、一人松澤だけが跳ね返ったボールを追いかけていた。

「ボールに回転が掛かってたので。それも入らないように頑張ってケアしたつもりで。結局入らなくて。良かったです」

そう話す松澤は「youtubeとかで止めた後に入っちゃったりしたのがあったので。そういうのを参考にしてました」と振り返る。イレギュラーな回転が掛かっていたボールは確かに高く跳ね上がったあと、ゴール方向にバウンドしてあわやという動きをしていた。結果的に枠を外れたが、もし仮に枠内にバウンドしていたとしても、松澤はこれをかき出せていたはず。隠れたファインプレーだった。

「PKは8本くらいまで行ってて、早く止めないと、蹴る側もきついので」

そうチームメイトを気遣う松澤は「止めなきゃ、止めなきゃという」焦りのような意識を持ちつつも「冷静さを持ってしっかりボールを最後まで見ることができた」のだという。それが止められた一番の要因だとしていた。浦上壮史GKコーチから「ヒーローになってこい」とだけ言われ送り出されたという松澤がその言葉通りにヒーローになった。

ちなみにPK戦の間、松澤は川崎U-18の選手がPKを蹴る時、後ろを向いて、独り言のように声がけして待ち構えていたが「小学校からGKやってて。小学校からずっとそれでやってて。そのまま高校でもやりました」とのこと。松澤なりのゲン担ぎだったと明かす。

また、決勝進出でクラブの記録を塗り替えたことになるが「単純に嬉しいという気持ちです。でもまだ何も成し遂げてないので。優勝したいなと思います」と油断はなかった。そんな松澤が臨む31日の決勝で優勝という結果を掴む事ができるのかどうか。キックオフは18時。場所は味の素フィールド西が丘だ。

(取材・文・写真/江藤高志)

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