脇坂泰斗にとってのヤマハスタジアム/J1 第22節 vs磐田【コラム】
土壇場の失点もあり、取材時には険しい表情が続いていた脇坂泰斗だったが、最後におばあさんのことを聞くと、ふっと表情が緩んだ。
浜松在住の、母方のおばあさんが7月6日の磐田戦を観戦するということで、試合前「不安ですね、一人で来るんで。大丈夫かなっていう不安はありますけど」と話していたが無事に観戦できたとのこと。
そんなおばあさんとの思い出が詰まったヤマハスタジアムは、脇坂にとって特別な場所だ。
「個人的なことで言うと、ちっちゃい時にヤマハスタジアムで、母方の両親(祖父祖母)が浜松なので。磐田の応援に何回も行ってたので。小学校低学年のころで、高学年になっても行ったりとかしてたスタジアムなので。不思議な感覚というか、実際に連れて行ってくれてたおじいちゃん、おばあちゃんも不思議な感覚で、いるんじゃないかなと思いますし、喜んでくれていると思います」
そう話す脇坂はプロ2年目の2019年6月30日、初めてヤマハスタジアムでプレーをした試合にご両親と浜松在住の祖父祖母を招待。当時課題だった追加点を決めている。
その後、脇坂は2022年9月10日の広島戦でゴール。いつもより喜んでいると思っていたが、聞くと、おじいさんが亡くなられていたのだという。
そんな背景もあり、またチームは3試合連続引き分け中ということで、この磐田戦は脇坂にとってどうしても勝ちたい試合だった。渾身の力を込めてプレーしたがまたしても勝利の女神はフロンターレには微笑まず。試合終了直後、ピッチにうずくまった脇坂の、その悔しさが勝利につながる日が来ることを願いたいと思う。チームは着実に前進している。
(取材・文・写真/江藤高志)