「川崎フットボールアディクト」

柏U-18の反撃をしのぎつつ、髙橋宗杜の1ゴールで勝利/プレミアリーグ第21節 vs柏レイソルU-18【レポート】

■メンバー選考

11月25日に川崎U-18はプレミアEAST第21節の柏レイソルU-18戦を行った。

川崎U-18は土屋櫂大、柴田翔太郎のU-17日本代表コンビが帰国して合流。土屋は先発した一方、柴田はベンチからのスタートだった。

彼ら2選手について長橋康弘監督は「帰ってきてから本当に、燃え尽きてしまったんじゃないかという心配はあったんですけども、土屋も柴田も翌日からですね。来てくれて」と両選手の練習への取り組みに言及しつつ、この試合の起用については「トレーニングで決めていこうっていう風に思っていたんですけれども、すごい気持ちの入った練習をしてくれて。これなら行けるということで、自信を持って入ってもらいました」としていた。

また、ワールドカップでの彼らの活躍と、帰国後の練習合流がチームに前向きな影響を及ぼしたとも言う。

「帰ってきてすぐにトレーニングに来てくれたこと。そしてやっぱり悔しい気持ちがあった中で、それがトレーニングでその気持ちが出ていたので。もっと成長しなきゃいけないんだというですね。トレーニング一つ一つにそのプレーが出ていて。そこにやっぱ選手って反応するんですよね(笑)。帰ってきてくれて、なんか周りがすごく良くなった印象を受けた1週間でしたね」

世界と戦った2選手を加えて臨んだ試合は、後半戦好調の難敵、柏レイソルU-18戦だった。どれくらい好調だったかと言うと12節から20節までの9試合で7勝1分け1敗。29得点8失点と圧倒的な得点力と堅守を発揮。ちなみに柏U-18は前半戦11試合が2勝5分け4敗、14得点20失点の数字だったが、夏を境に一気に成長していた。

その柏U-18について長橋監督は「本当に後期にすごい成長したチームかなっていう風に思っていまして。一人一人、能力があるチームというのは分かっていたんですけれども、それがチームとして機能し始めて、勝ち点とともに自信をつけてきたチームなので」との印象を口にしている。

なおこの柏戦について長橋監督は「目の前のゲーム、とにかく勝つしかないということで1週間準備してきました」としつつ、選手たちには「試合の前にメンバーに入れなかった悔しい思いをしている選手と、サポーターにちゃんと気持ちを届けるようにしっかりとプレーしよう」と伝えたという。

■試合前の状況

ちなみに11月25日、26日に行われた21節の試合開始前の、20試合終了時点での順位表は以下の通り。

勝点 得点 失点 得失点差
首位 青森山田 47 50 23 +27
2位 川崎U-18 43 55 15 +40
3位 尚志 43 40 16 +24

 

プレミアEAST首位青森山田と、2位川崎U-18の勝ち点差は4で残り2節。つまり、川崎U-18ができることはこの柏U-18で勝利するということ。仮に勝利したとしても青森山田が翌26日の昌平戦で勝利すれば最終節を前に優勝の夢は潰えるという状況だった。

■握る序盤

そんな試合は立ち上がりから川崎U-18が主導権を握る展開に。

「いつもですね。ちょっと立ち上がりが良くない中で、今日は良かった方かなと思ってます」と序盤を振り返る長橋監督は「ただね、決めるとこ決めないと苦しいゲームはあるということは、今シーズンずっと言ってきたところではあるんですけど」と口にして、握れていたからこそ、チャンスを決める必要があったと苦言。

一方、FWの髙橋宗杜は「やっぱり前半から相手の狙いは明らかで。前のでかい選手に当ててきて、すごい厄介でした」としており、柏U-18に対応することの難しさを口にしている。

試合の構図としては、押し込む川崎に対し、守ることでリズムを掴む柏に、カウンターが加わるというもの。岡崎寅太郎と2トップを組んでいた髙橋は前線からの守備を求められており、「すごい厄介でした」との言葉はカウンターの起点を潰すことの難しさということであろう。

その一方、CBの土屋櫂大はどう試合を見ていたのか。まずはビルドアップについて。

「ビルドアップのところは自分たちが相手の背後をどんどん突けという指示もあったので。そういうところは自分たちで強気で背後を突くところだったり、背後を狙うところは意識してました」

背後を突くことの効果については髙橋が、自らのランニングの結果、周りを活かせるのだとの視点で説明してくれている。

「やっぱり自分が背後に走ることによってカイリ(志村海里)だったり、サイドハーフの選手が受けれてトラ(岡崎寅太郎)だったりが空いたスペースで受けて。ボランチが潜ってきて、前に進入するっていうのは思い描いてました」

前線の強い動きがもたらす効果は大きいということだろう。

また守備について土屋は、柏U-18の攻撃陣に対し数的優位を作ることを意識していたのだという。

「リスク管理のところでは、前に残っている相手の枚数プラス1っていうのは、キーパー(菊池悠斗)と由井(由井航太)と意識してやっていけたので」

そしてその結果として「ゼロっていう数字で表せたのかなと思ってます」と試合を総括している。

■先制点

押し込みながら前半を0−0で折り返した後半。川崎U-18が均衡を破る先制点を手にする。髙橋の背後を突く動きで柏U-18守備陣を揺さぶった結果のゴールだった。

後半62分。自陣からの縦パスを髙橋がタテへのランニングで引き出す。柏U-18の守備陣も粘り強く人に付いており、隙は見られなかった。これに川崎U-18は質で対抗。丁寧にかつシンプルにパスをつなぎ、少しずつ柏U-18の守備に穴を開けていった。

楔を打った髙橋に対し、川崎U-18は右サイドに枚数を掛けてこれをサポート。最後は矢越幹都からのパスを岡崎寅太郎がダイレクトで叩き、これを受けた髙橋が巧みにシュートを流し込み先制点となった。

「トラがゴール前で前を向いて、いい感じにディフェンスラインとキーパーの間にボール流してくれて。自分はちょっと遅れて反応したんですけど、キーパーに当てないようにちょっと浮かしてシュート打って。入って良かったです」

そうゴールシーンを振り返る髙橋はその後も運動量を落とすこと無くプレーしフル出場。これは髙橋にとってプレミアリーグでの初フル出場の試合となった。

「やっぱり自分のストロングはスタミナっていうところはあるので。試合の最後まで、今日は初めてフルで出してもらって。やっぱり運動量落とさないで自分のやれることをできました」

失点を喫した柏U-18はここから選手交代で巻き返しを図り、実際に川崎U-18を押し込む展開に持ち込む。いつ失点してもおかしくないような苦しい内容になったが、それは右サイドバックの江原叡志も感じていたという。

「結構、自分もハラハラしてて。自分たちも行って、相手も来てという、そうですね。オープンな展開になったかなと思うんですけど」と先制後の試合展開を描写する江原。

また土屋は、まずは得点直後の5分間に意識を集中させていたという。

「先制して、その後の5分が大事だよっていうのは菊池とかと共有はしていたので」

その一方で柏U-18の選手交代については「相手の選手、誰が入ってきてもやることは変わらないというのはみんなで共有し合いながらやって行ってました」とのことでそこまで慌てずにプレーできていたのだという。

■クローズ

先制直後の64分にピッチに入った柴田翔太郎は「やっぱり1-0よりも2−0の方が試合運びは楽になると思いますし、1点入ったから良かったですけど、その後畳み掛けられなかったので。そこは自分たちの最後のクオリティーのところはまだまだだと思います」と2点目を取れなかったことを反省。

その一方で「ただ、1-0で残り時間が少ない中で、後ろの左サイドバックはノリ(関德晴)で、1年生だったので。少しでも彼を、90分走ってたので。楽にしてあげられるようにっていうのは心掛けていました」と述べており、先発出場の後輩左サイドバック、関に負荷が掛からないよう気遣ってのプレーだったと明かす。

なお、柴田に対しては複数の選手がケアしていたが、それについては「逆に、自分は使うこともできるのかなと思ってるので」と述べており、自らに相手選手が集まるのであれば、他の選手を使うべく「叩くところは叩いてというところを意識してました」とクレバーな一面を見せている。

その柴田は左サイドハーフでの出場だったこともあり「サイドに張ってるだけじゃなくて、逆にボールがある時には中に入っていくってところだったり。サイドバックと違ったので、今日は。よりゴールへってところに。怖い選手になんなきゃいけないなっていうのがあったので。そこは意識しました」と述べている。左右4つのサイドのポジションをこなせる柴田らしい発言だった。

試合はその後、追加点こそ奪えなかったが、失点も許さず。際どく1−0で勝利している。

「ゼロで終われたことは良かったと思うんですけど、やっぱり前半もそうですし、後半最後の方も危ないシーンが続いていたので。そこはもっと修正点はたくさんあると思います」

そう反省点する土屋に対し、江原は「やっぱり集中力を切らさずにやったので、最終的には失点もゼロで終わることができたかなと思います」と安堵の表情を見せていた。

■青森山田、勝てず

なお柏U-18戦翌日の昌平対青森山田は2-2のドロー決着。青森山田との勝ち点差は2に縮まり、最終節を迎えることとなった。

最終節は12月3日に等々力で開催。トップの最終節、アウェイ鳥栖戦と同日になるが鳥栖に遠征しないサポーターの方はぜひ等々力でユースの逆転優勝の後押しをお願いしたい。

勝点 得点 失点 得失点差
首位 青森山田 48 52 25 +27
2位 川崎U-18 46 56 15 +41
3位 尚志 46 44 19 +25

(取材・文・写真/江藤高志)

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