粘り強い戦いでFC東京U-18に勝利。逆転優勝に望みをつなぐ/プレミアリーグ第20節 vsFC東京U-18【レポート】
■先制点
延期されていた市立船橋戦が10月25日に行われ、2−3で敗戦。上位との勝ち点差を縮められないまま迎えたのが第20節のアウェイのFC東京U-18戦だった。
プレミアEASTはこの試合を含め残り3試合。一つも落とせない緊張感の中の試合に向け、長橋康弘監督は、「可能性はまだ残っている」ということに加え「残り3試合、すべて勝つということで、あまり難しいことを考えずに、とにかく目の前のゲームに集中しようというところ」で選手たちを送り出したという。
その試合は基本的に川崎U-18が握る展開に。岡崎寅太郎、岡田泰輝の2枚による前線からの守備がFC東京U-18のパスコースを限定しており、また左右のサイドからの攻撃でFC東京U-18を圧迫。
「入りのところで、まず守備からしっかり入るというところで、切り替えも早く、自分たちがボールを保持する時間が多かった」と話す岡野一恭平が先制点を決めたのが29分のこと。中央から右サイドへとボールを動かした川崎U-18は、右サイドバックの江原叡志が縦に持ち出してクロス。ファーサイドから走り込んだ岡野一が頭で押し込み先制点となった。
「(先制点までの間)なかなか入らない時間もあって。焦れないようにっていうのは意識していたので。その中でエイジからいいクロスが来て。とりあえず1点取れたので。そこからは、前半はとにかく0で、追加点も欲しかったんですけど。前半はうまくできたかなと思います」
■後半
先制点の岡野一はハーフタイムの長橋監督からの指示として、後半も攻める意識で臨むよう指示を受けたと振り返る。
「後半も監督からの指示があって、このまま守りに入るわけじゃなくて、2点目、3点目を決めようと」
守りに入るのではなく追加点を狙う。そんな意識で入った後半56分に岡野一は決定的なチャンスでシュートミスをしてしまう。
「あれはもう、自分でも分からないです」と話す岡野一は「トラからせっかくいいボールが来たんですが、歩幅が合わなくて、巻き込んじゃった感じですかね」と悔しげ。このミスに流れが変わってしまいかねないと危惧したが、後半にペースアップを狙ったFC東京U-18の攻勢をチーム一丸となって良く跳ね返していた。
結果的に無失点で試合を終えた守備陣の一人に、この試合が初先発の関徳晴(かんのりはる)の名前が上げられる。シーズン終盤の初舞台を左サイドバックとして踏んだ関は、チームメイトからの言葉が後押しになったと証言。
「緊張はありました。試合前に先輩とか、ベンチ外の1年生がやってこいって言ってくれたので。自信を持ってプレーすることができました」
またFC東京U-18が後半に勝負に出てくることを想定できていたとのことで、集中してプレーできたと話す。
「相手のメンバーを見た時に後半苦しくなることが想定できたので。最終ラインは切らさずに集中して対応しようって、ハーフタイムの時から話していたので。それを実行するだけでした」
その関は、試合終盤の80分に左サイドをドリブルで駆け上がりチャンスメイク。両チームの選手が疲弊しているであろう時間帯の攻撃参加は意外性があり、まただからこそ効果的でもあった。その攻撃参加について関は「疲れてから(が勝負)だと思うので。チームメイトも足が止まってる中で、自分がそういうところで、引っ張っていけたらと思います」と頼もしい発言。狙ってのオーバーラップだったようだ。
なお、関は一列前の岡野一との連携について「岡野一選手の言われた通りにプレーしてます」と述べて笑わせつつその真意として「(岡野一が)一人で何でもできちゃう選手なので。彼に合わせてプレーしてれば、自ずと自分のいいところを出させてくれるので。言われた通りにやってます」と説明してくれた。
いずれにしても、大型のサイドバックということで今後が楽しみな選手として注目していきたい。
■2点目
後半立ち上がりにFC東京U-18に掛けられた圧力を跳ね返した川崎U-18は1−0の状態を維持。その後、両チームとも交代采配でパワーを注入しつつ、次の1点を狙い続けていた。そんな後半73分に川崎U-18に待望の追加点が決まる。
決めた岡崎は、ドリブルで仕掛けつつ、相手DFとGKの位置関係を見極めて冷静に巻いて流し込んだのだという。
「キーパーと相手のディフェンスが一瞬重なった瞬間があったんで。ボール見えないだろうなと思って、ファーに。ちょっとボールの、シュートは軌道が緩くなっちゃったんですけど、多分見えない角度から来たので。入ったのかなって思います」
そう話す岡崎は、シュートミスもあったがじきに決まるだろう、との思いで戦っていたという。
「どちらかというと、いつか自信を持って打っていれば決まるだろうなっていう気持ちで入っていましたし。もちろんシュート以外のところでも、恭平が決めてくれなかったんですけど、パスのところとかはいい感触でできてたので。打ってれば、感触はいいから、入るかなって思ってました」
その岡崎は、この試合に向けて強い気持ちを持って臨んでいた。「絶対優勝しようって臨んだ」クラブユース決勝トーナメント1回戦のFC東京U-18戦でPKを外し、結果的にチームは敗れているからだ。そのあたりの思いについて岡崎は「控えめに言って自分のミスで敗退してしまった部分も大きいので。そこは自分で取り返さなきゃいけないと思って、今日の試合に臨みました」と述べており、リベンジを果たした形。
結局この得点がダメ押し点となり、試合終了。FC東京U-18を相手に2−0で勝利する事となった。
■U-17ワールドカップの効果
なお、現在開催中のU-17ワールドカップに川崎U-18からは土屋櫂大、柴田翔太郎の2選手が選出されており選手たちは刺激を受けていると長橋監督は言われていた。
「土屋と柴田が本当に素晴らしい活躍をしていて。やっぱり選手たちはものすごくいい刺激をもらっています。選手たちも、絶対に返ってきた時にポジションを渡さないっていう気持ちでやってくれていますし。いい刺激をもらってトレーニングなんかでもしっかりやってくれていますので。選手たちが代わりに来たこのチャンスをものにしようと、目をギラギラしてやってくれてますので。いい影響が出ているのかなというふうに思ってます」
戦力ダウンの側面を心配していたが、逆にチームメイトが刺激を受け、チーム内競争が激化する一面が見られているようだ。
■コメント
長橋康弘監督と、関徳晴、岡崎寅太郎、岡野一恭平の各選手です。