「川崎フットボールアディクト」

岡崎寅太郎「負けてしまったことはもう取り返せないので。次の旭川実業戦と、そのあとに向けて全部勝つっていうことをみんな口を揃えて言っています」【コラム】【アカデミー】【無料公開】

川崎U-18にとって手痛い敗戦だった。

10月8日にアウェイで首位青森山田との直接対決に臨んだ川崎U-18は、1-2で敗戦。消化試合数の少なさはあれど、優勝争いから一歩後退する事となった。

延期となった市立船橋戦を含め、リーグ戦は残り6試合。全勝しても厳しい勝ち点差を付けられている中、そんな終盤に臨むチームの中から岡崎寅太郎、岡野一恭平の両選手に話を聞いた。

サッカーは無失点ならば負けることはないが、勝つためには得点が必要で、そうした力になれる選手だと考えて取材を依頼した。ともにケガを乗り越えた両選手が残るシーズンについて語ってくれた。

プレミアEASTの序盤戦の岡崎寅太郎はその得点力で川崎U-18を牽引していた。その岡崎は夏場に負傷離脱。9月3日の12節大宮U18戦、同月10日13節の流経柏戦の欠場を余儀なくされた。この間、チームは髙橋宗杜、岡田泰輝という守備でも強度を出せる2選手が前線に入り攻守で結果を出し始めていた。

プレーができない間、焦りの感情があって不思議ではなかったが、岡崎はチームメイトの活躍を好意的に受け止めていた。

「まずチームとしては自分がいない時にも非常にいい結果を積み上げてくれてましたし、自分が復帰してからも、ソウド(髙橋宗杜)とタイキ(岡田泰輝)でFWを組んでて、実際結果が出ているっていうところで、チームとしては非常にいい形になっていて。自分たちのサッカーもできてていい形だなっていう風に思っているのが、まず一つ」

そうチームメイトの活躍を褒め称えつつ、当然悔しさもあったのだと岡崎は話す。

「個人としては、やっぱり自分のケガでポジションを明け渡してしまったところがあるので。そこはやっぱり復帰したあとすぐは、結構悔しい思いをして」

だからこそ、練習では一番点を取ることを目指し、実際に結果を残せているという。

「練習では一番自分が点を取ってっていう風に考えて、実際、そこは今できているところではあるんですけども」

このあたりの強烈な自負と結果を残す力強さが岡崎の良さで、さらに言うと後半の45分間を与えられた青森山田戦ではチームにポジティブな影響を残せたのではないかと自己分析してもいた。

「個人として言えば、自分の良さである突破のところだったり運んだり、最後フィニッシュのところは、前半よりはチームにプラスの影響を与えられたと思うんですけど」

ただし結果は残せず。チームを勝利に導けなかった青森山田戦が課題として残るともしている。

「この前の青森山田戦みたいに苦しい状況の時に絶対に出番はあると思ってやってきて、後半フルで出させてもらって、自分の力を証明するチャンスだったんですけど。そこはやっぱ決め切れなかったんで。それは自分の課題として大きくあります」

そして、ドリブルからの決定機を外してしまったと悔しそうだった。

「自分も実際一回決定機をドリブルで作ったシーンがありましたし。自分が決めていれば勝ち点をしっかり持ってこれた可能性はあったので。まだまだなところは大きいです」

なお、青森山田戦がダメージを残しているのかと考えたが、そこはうまく切り替えができているとのこと。

「(青森山田の敗戦後)メンバーとかとも話している中で、もっとへこむかなと思ってたんですけど、思ったより結構前向きになれて。負けてしまったことはもう取り返せないので。次の旭川実業戦と、そのあとに向けて全部勝つっていうことをみんな口を揃えて言っています」

プレミアリーグは残り6試合。まずは目の前の試合で自分たちのできるベストをやり尽くして欲しいと思う。そしてその先にある結末を胸を張って迎えてほしいと思う。

なお、岡崎が口にした自らのプレースタイルを聞いていてふっと頭に思い浮かぶ選手の名前があった。

「自分の一番強みって何だろうと考えた時に、少し下がり目でもらってドリブルっていう武器もあると思っていて。得点だけじゃなくて、そこも磨いていかないといけないのかなというふうに思ってます」

それが大久保嘉人さんの名前だったが、その名前を口にした瞬間に「そうです!」と反応。大久保さんのプレーについては意識はしているようで、実際に背格好も似ており、気の強さも大久保さんに近いものがある。ぜひとも近づいて欲しいと思う。

■三笘薫からの言葉

最後に余談になるが、先日三笘薫がAnker フロンタウン生田を訪問し、アカデミーの選手たちと練習を行った。このときの様子は動画でも上がっており視聴が可能だ。

このときに岡崎はドリブルの判断について三笘に質問し、回答をもらっている。

「物凄い、分かりやすかったですし。その時ちょっと緊張してあんまり覚えてなかったんですけど、映像に残っていたので、ああこういうことなんだっていう風に、もう一回復習したりしました」

そう振り返る岡崎の質問と、三笘薫の回答はぜひとも動画で見てほしいと思う。
※以下の動画は岡崎寅太郎の質問の部分にリンクしています。

ちなみに岡崎の質問は「ドリブルするしないの判断をどう変えていますか?」との内容で、三笘はこれに対し丁寧に回答している。

おおまかに回答の趣旨を書くと「自分が操れる最速のスピードの中でドリブルかパスかを見極めること。フルスピードで失敗するならば、スピードを下げてパスを成功させた方がいい。自分のスピードは練習で見極めること。試合では練習してはいけない。自主練でやろう」といったもの。

この三笘の回答が岡崎の今のプレーにも前向きに影響を残していると話していた。

14節の前橋育英戦で復帰後の最初のゴールを決めているが、その後の2試合でノーゴールが続く岡崎の残り試合での活躍を期待したいと思う。

(取材・文・写真/江藤高志)

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