岡野一恭平「本当に自分たちは負けられないですし、全勝して、上の2チームの結果次第なので。とにかく自分たちのできることをやるしかないです」【コラム】【アカデミー】【無料公開】
川崎U-18にとって手痛い敗戦だった。
10月8日にアウェイで首位青森山田との直接対決に臨んだ川崎U-18は1-2で敗戦。消化試合数の少なさはあれど、優勝争いから一歩後退する事となった。
延期となった市立船橋戦を含め、リーグ戦は残り6試合。全勝しても厳しい勝ち点差を付けられている中、そんな終盤に臨むチームの中から岡野一恭平、岡崎寅太郎の両選手に話を聞いた。
サッカーは無失点ならば負けることはないが、勝つためには得点が必要で、そうした力になれる選手だと考えて取材を依頼した。ともにケガを乗り越えた両選手が残るシーズンについて語ってくれた。
岡野一恭平が膝のケガから戻ってきたのは9月3日の第12節の大宮U18戦。前半戦をリハビリにあてていた岡野一はピッチ外からチームをどう見ていたのか。
「前期は自分がいなかったので。注文をつけるのはどうかと思いますが、今になって考えてみると、ちょっと引き分けが多かったと思います」
川崎U-18は16節終了時点で4つ引き分けを記録。これはリーグ全体を見れば多すぎる訳では無いが、首位青森山田は2引き分け。
「先日の青森山田戦で(川崎U-18は)2敗になりましたが、引き分けで取りこぼす試合が多かったので。今ここになって、もったいなかったと。しかもその失点もラストのプレーとかでやられてしまったのが多かったので」
そう話す岡野一は、「去年は勝ち切れた試合も多かったですけど、今年はちょっと引き分けも多くて、って感じです」と悔しそうだ。
そんなチームに攻撃でアクセントをもたらせる存在として、岡野一の復帰は大きいと考える。実際に、プレミアリーグ復帰戦となった9月3日の大宮U18戦以降、青森山田戦までの4試合でチームは4連勝。無失点で乗り切ったこの4試合のすべてで先発した岡野一は、流経柏戦と前橋育英戦で1点ずつ決めてチームの勝利に貢献してきた。いいプレーができていたのではないかと考えたが、岡野一は「満足はしてないです」と厳しい一言。
「満足はしてないです。直近では市船戦が延期になってしまったんですけど、(15節の)昌平戦からは点が取れてないですし」
また、得点した2試合の方にこそ課題があったという。
「逆に(自ら得点した)、流経柏戦、前育戦はチャンスが自分にはたくさんあった中で、外してる方が多かったので。そっちの印象の方が強いです」
自分が結果を出したかどうかではなく、巡ってきたチャンスで決められるのかどうか。岡野一の価値基準は明確だった。そんな岡野一は優勝のためには残る6試合を一つも落とせないと話す。
「本当に自分たちは負けられないですし、全勝して、上の2チームの結果次第なので。とにかく自分たちのできることをやるしかないです」
厳しい日々が続くが、激しいチーム内競争に勝って、活躍したいと力強かった。
「今年の3年生は去年からたくさん試合に絡んでる選手が多かったですし、1〜2年生もいい選手が本当に多くて、チームの競争も激しいので。チームとしてはすごいいい循環ですし、だからこそ自分としては活躍しないとって感じです」
昨季のファイナルはケガでスタンドから見るしかなかったという岡野一は、だからこそファイナルへの思いが強いという。まずは自分たちのできる最大の結果を残してほしいと思う。
(取材・文・写真/江藤高志)