「川崎フットボールアディクト」

土壇場のPKでドロー決着。改善の手応えと、残る課題/プレミアリーグ第7節 vs青森山田【レポート】

■反省を生かした試合の入り


青森山田を迎え、5月21日にAnker フロンタウン生田で行われたプレミアEAST第7節は、2−2のドロー決着。先制しながらもセットプレー2発で逆転された苦しい試合を終了間際の89分のPKで追いつく劇的な展開で、負け試合を引き分けに持ち込んだ。

この試合に臨む川崎U-18は、前節の昌平戦で今季初黒星。引き分けた市船戦から2試合連続で勝てておらず、悪い流れを払拭するべく、選手同士の話し合いがあったと長橋康弘監督は振り返る。

「選手同士で、このままじゃいけないっていうところで、そういう会話があったので。言うは言うんですけど、別にやり方とか、そんなことは全然提示せずに、これなら自分たちでやれるだろうというような感触はあったので。その通りにやってくれたと思います」

由井航太は、その話し合いの中で、変わることの必要性、強みを生かした試合運びなどを確認したという。

「前節が、負けて悪かったので。チームで自分たちで話し合って、コーチ陣もですけど、やっぱ変わっていかなきゃ、今後厳しいよねっていうことになって。自分たちの強みである、やっぱりパスとか自信を持ってやればできるなっていうのは話していたので。それがうまくはまったのかなと思います」

長橋監督も由井も、試合前に確認していたことを、この試合では出せていたとの手応えを口にするが、実際にパスワークでサイドを崩す形を作れており、特に課題だった、前半の悪さを払拭する試合の入りができていた。

「今までで、プレミア開幕して一番良かったと思います」

そう前半の立ち上がりを振り返る由井と同意見だったのが、尾川丈だ。

「そうですね。今までの試合の中でも一番いい入りができましたし、いい試合運びもできていたかなと思います」

試合は彼ら由井、尾川のボランチコンビが中盤をコントロール。中と外とを使い分ける攻撃ができていた。

たとえば由井については意外性のある縦パスで急所を突けており、右サイドの江原叡志との連携で崩した15分の攻撃を皮切りに良さが出せていた。そうしたパスワークについて由井は「相手は青森山田だったので。強度が高かったんで。速いテンポで動かして、相手のスペースだったり、人のいないところに、早めにパスしようっていうのは意識してました」と振り返る。体をぶつけられる前に、スペースに走り込ませ、相手を動かす。そうした狙いはかなり出せていた。

尾川については青森山田陣内深くでのドリブルで違いを出せていたが、そうした部分について「自分の持ち味というか、特徴ってところも、ボールを持った時の技術だったりするので。できたところもあったかなと思います」と振り返る。

ちなみに尾川についてはトップ下のイメージが強かったが、ボランチについては「中学校1年2年ぐらいの時までボランチをやってて、そこからは色んなポジションをやらせてもらってて」とのことで、できないポジションではなかったという。

なお、当初その尾川と前線でコンビを組む事を想定していた岡崎寅太郎は、香取武との連携についてやりやすかったと振り返る。

「自分としては結構やりやすさを感じていて、タケシは結構ドリブルに強みがある選手なので。自分が前でディフェンスをピックしている時でも、しっかりセンターバックとボランチ間に入り込んでボールを受けてくれて。自分はゴール前の仕事に集中できる環境を作ってくれたので。本当にありがたいですし、サイドチェンジっていう面でも、真ん中で受けて振り分けるっていうこともできてたので。すごい頼もしかったです」

■決定力

試合はその岡崎の先制点で動く。前半29分、CKからの流れのセカンドボールを川崎U-18が回収して波状攻撃。さらに左サイドで連携し、一枚剥がした志村海里からのクロスを岡崎が頭で合わせている。

「海里(志村海里)が、縦に仕掛けて、一回目のモーションでもうボール上がってくると思って入ったんですけど。一回切り返しが入って、ちょっとディフェンスの陰に隠れて。もう一回上げてきたところに、キーパーと相手のセンターバックの間に走り込んだら、ジャストでボールが来てくれて。キーパーより先に触ることができて、狙い通りのゴールでした」

青森山田の反撃をロングスローを含むセットプレーに抑えていただけに、ゴールを畳み掛けたかったが、思うように追加点を奪えず。そのあたりの課題について岡崎は「ラストの判断とか、精度のところ」のレベルの低さだと指摘している。

「ドリブルで何枚か剥がすと、スピードに乗ってしまった時にヘッドアップできなくて。味方のフリーの選手を使えなかったり」

そう言われて写真を見返すと、たしかに岡崎がドリブルしているときに顔が下がっているものが見つかった。岡崎は、川崎U-18のストライカーとしてその名前が通っているだけに、周りを使うパスを出せるようになるとチーム全体の得点力が高まるのは間違いない。

ちなみに岡崎は、周りを意識することで、逆にシュートのテンポが一つ遅れるところに課題があるとも話していた。

「逆に周りの選手を使おうと意識していると、シュートのモーションが1個遅れてしまったりというところで。そこは自分の大きな課題としてあるんですけど」

さらに、チーム全体としてもシュートに至るところの判断について課題があると岡崎。

「チームとしてはやっぱり最後のゴール前のシュートの振りが一個遅かったりとか。打てるところで打たないで、横パスにしてしまうところとかは、チームとして課題っていう風には言われているので。そこはまだまだ改善しなきゃいけないと思います」

そのあたりは改善を進めてほしいと思う。

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