「川崎フットボールアディクト」

膠着した前半を修正し後半3得点。連覇を狙う開幕戦を3−0で勝利/プレミアリーグ第1節 vs前橋育英【レポート】

4月2日に、Anker フロンタウン生田の公式戦初戦として川崎U-18のプレミアリーグ開幕戦が行われた。対戦相手は前橋育英高等学校だった。

■後半3得点

膠着した前半を0−0で折り返した川崎U-18は、後半52分に岡崎寅太郎のトリッキーなゴールで先制すると、続く60分にも岡崎が2点目を奪いリードを広げた。さらに69分には加治佐海がダメ押しの3点目を決め3−0で川崎U-18が勝利した。

連覇を目指すプレミアのシーズン開幕戦であり、かつフロンタウン生田としての公式戦初戦という背景もあり、注目された一戦となったが、序盤は難しい試合展開に。試合を難しくさせた要因の一つは前橋育英高が541の守備的なシステムで試合に臨んだため。

またボールロストを恐れるあまり川崎U-18がセーフティーに試合を進めてしまい、プレー選択に怖さが出せなかった。長橋康弘監督は、そんな前半について想定を上回る固さだったと苦笑いで振り返る。

「開幕戦ということもあって、多少固く入るのかなということは、少し想定していたんですが、それを上回るほどの固さで、なかなか前半は思うように、自分たちのサッカーができなかったんですけれども」

ただしこのままではいけないと選手たちにスイッチを入れた後半に自分たちらしさが出せたと説明する

「後半選手たちもこのままじゃいけないというところでスイッチ入れて、後半はようやく自分たちがこうやってきたことが少し出せたのかなというふうに思っています」

ちなみに「ミスを恐れて、なかなかこうボールを受けられない選手というのがたくさん見られた」前半を反省し、ハーフタイムには「後半はもうミスをしても構わない。その代わり、守備のところで切り替えの早さだったりというところで、チーム全体として保証してあげようというところで、勇気を持ってプレーしようという話」をしたという。

プレーの選択に大胆さを出しつつロストしたさいにはチーム全体で奪い返そうという声がけは適切で、選手交代も相まって後半は見違える戦いができていた。

戦況を変えた選手の一人として後半からピッチに入った柴田翔太郎は悔しさのあるベンチスタートを、結果で見返そうと考えて試合に入ったという。

「ベンチだったので、前半。アルジェリア(年代別代表の遠征)から帰ってきて3日目くらいなんですが、相手の雨野(颯真)であったり、カイト(土屋櫂大)っていうのはスタメンで出てたので。自分は悔しい思いがあったので。今日しかないというふうに思ってたんで。結果残してやろうと思っていました」

その柴田はチームの2点目を演出。3点目をアシストする活躍を見せた。

「1個目(2点目)、トラ(岡崎寅太郎)が決めたのは、結構カウンター気味っていうか。相手が帰陣する前に自分がボールを受けて。ちょっと外して、ディフェンスとGKの間に流し込むっていう風には、スペースがあるなと思ってたんで。トラなら、試合前からずっと話してて。入って来いって。そうですね。でも決めてくれたので。良かったなと思います」

加治佐海が決めた3点目は、過去の同じような形のゴールを思い出してのものだったという。

「(加治佐)海から、『ファーっ!』て声が聞こえたんで。で、神奈川県の新人戦の時にも同じような形で、海がファーって呼んでくれてたので。そこはずっと、結構紅白戦であったり練習であったりで、意識をしていたんで。聞こえたし、力を抜いて、上げるだけでした」

開幕戦2ゴールの岡崎は、それぞれを以下のように振り返る。

「1点目も2点目も、どっちもクロスだったんですけど、1点目はもう普段から一緒に仲良くしてる(志村)海里からのボールだったので。海里が立って行ったら、大体いつもあの辺にボールを放ってくれるので。そこ、飛び込んで行こうというふうに思っていて、飛び込んだのが、信じて正解でした」

ちなみに「ラウタロ・マルティネスのボレーとかを見てて、結構インスピレーションをもらって」と話す岡崎のこの1点目はかなりアクロバティックなゴールで、それは昨季のチームメイト、大関友翔、松長根悠仁といったパサーやゲームをコントロールできる選手が不在で、クロス勝負になると考えていたからだとのこと。

「去年は大関くん(友翔)とか松長根(悠仁)さんとかがいる中で、ボールをしっかり受けてから勝負することが多かったですけど、今年はやっぱりそういう強力なパサーっていうか、ゲームをコントロールする選手が居ない中で、サイドからのクロスとか、そういう、溢れて来るボールが多くなってくるなと感じてたので。そこは練習でも、監督の長橋さんに、そこをやれば点数増えてくると言われてたので。普段からやってます」

また2点目については柴田からの「俺のクロスに入ってきてくれ」との言葉を受け「こいつやってくれるんだろうなと」入ったところ「案の定、いいボールが来た」場面だったという。ただし最初のシュートをクロスバーに当ててしまい「ヤベエと思ってた」が由井航太が体を張ってくれたことで「あとはぶち込むだけだったので。運が良かったです」と笑顔だった。

ちなみに一発で決めきれなかったことで柴田にアシストがつかず。それについて柴田から試合後にロッカーで苦言を呈されたと苦笑いしていた。

「ロッカーでもさっき言われたんですよ。アシストが消えちゃったって言って、怒ってたんですが、そこは申し訳ないです。次までに改善して、次はちゃんとアシストをつけてあげたいです」

■無失点

リードが3点に広がると油断して失点してもおかしくないが、結果的に無失点に抑えた試合についてCBの土屋櫂大は「やっぱりDFとして0に終えたっていうのは、やっぱり嬉しいことですし」と安堵の表情を浮かべつつ「でもやっぱり危険な後半もラストもあったし、前半の立ち上がりも、危険なプレーがあったので。そこはやっぱり今後課題として、チーム全体として共通認識で、守備を徹底してやって行かないとなと思います」と表情を引き締めていた。

ちなみに昨季のCBコンビはトップ昇格した高井幸大と松長根悠仁の両選手で、彼らとも比較されてしまう立場にあるが、負けずにやって追い越したいと意気込んでいた。

「去年、高井くん(高井幸大)とナガネさん(松長根悠仁)がいて、そこは今年も見本として去年の映像を見返したりしてやってるんですけど。やっぱりそこに追いつかないといけないといいますか、そこに負けずとやっているところはあるので。目標としてはいるんですけど。やっぱりそこの選手を越して行けたらなって思っています」

なお、キャプテンのGK濱﨑知康は3−0の試合について「立ち上がり、うまく入れなかったというところは少し課題ではありますけど、後半の部分で勢いを持って、連続で点を取れたというところが良かったのかなというふうに思います」と総括。

また無失点試合については「自分のところまで飛んできてないので。その前で完結できてるというのはいいところかなと思います」とチームメイトに感謝していた。

なお、連覇という今季の目標についてはまずは目の前の1試合が大事だとしている。

「最終的な目標はファイナル優勝ですけど、そこの前にEAST優勝があって、その前にやっぱり1試合1試合勝っていかないと優勝には近づけないと思うので、そこを目の前の1試合をしっかり集中していければいいと思います」

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