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吉田明宏社長「よく頑張ってくれたと私は思います」1/3【インタビュー】【無料公開】

吉田明宏代表取締役社長に、2022年4月8日の社長就任からの初年度について振り返っていただいた(取材日/2022年12月)。

■トップチームの成績について

まず伺ったのはトップチームの成績について。昨季は残念ながらリーグ戦三連覇ならず。また重視していたACLはグループステージで敗退。天皇杯、ルヴァン杯とカップ戦もタイトルには届かず。鬼木達監督体制では初の無冠のシーズンとなった。

「よく頑張ってくれたと私は思います」

そう切り出した吉田社長は「2位では許してもらえないチームになっていますが」と恐縮しつつ、ケガ人が続出したシーズン序盤のチーム事情を説明。ジェジエウ、車屋紳太郎といった選手たち不在のシーズン序盤の難しさについて「緊急事態の中でも本当にベテラン、中堅、新人が良くやってくれました」と述べ、選手たちの頑張りを讃えていた。また新人選手としては佐々木旭の名前を口に出していたが、実際に一時期はポジションを掴む活躍で存在感をアピールしており、印象に残る選手だった。

昨季はワールドカップ開催による過密日程、ACLの遠征に加えコロナの影響などの日程変更によるスケジュール調整が必要で、そういう意味でもトップチームは十分な働きをしてくれたとの評価だった。そんな中、唯一悔しさを見せたのがコロナ問題に言及した時。

「コロナの影響を受ける時期もあり、選手が全員揃わず、フィールドプレーヤーが足りない試合もありました。だからあと1試合勝っていればとか、タラレバはありますけどね」

ただ、そうした厳しい環境の中でも優勝争いに残った選手たちの戦いについて「最後の最後まで、優勝戦線に残ってくれたというのは素晴らしかった」と述べ、「そんなこと言うと、甘いと言われることもありますが」と穏やかに語っていた。

昨季については、優勝の可能性も十分にありながらの2位ということで、悪くはなかったと考えている。もちろん三連覇を逃したことを含め無冠に終わったのは残念だが、主軸選手移籍後のチーム編成の難しさはいかんともし難かった。

■収入について

続いては収入について。2022年はまだコロナ禍が収まっておらず、経営については難しい舵取りが求められる状況だと言えた。そうした経営環境について、認識を伺った。

コロナの経営への影響のうち、もっとも数字に反映されるのが入場者収入の部分だ。コロナ以前の2019年には10.42億円あったものが、コロナ初年度の2020年が4.97億円に。2021年は4.9億円となっている。

2020年、21年というとJリーグ史上に残る記録を残したシーズンで、華のある選手も多かった。コロナ禍でなければ19年に並ぶ収入が期待できたが、それは叶わず。コロナ禍のクラブ経営の難しさが出た形となるが昨季はどうだったのだろうか?

「さすがに回復傾向ですが、とはいえやっぱり前には戻ってなくて。あと、我々が見ているのは着券率が100%に近づかないということ。お客様には購入はいただいていますが、コロナの影響もあるのか、来ていただけないという傾向はありました」

DAZNを始めとする配信は自宅で楽しめる環境整備に役立っており、またコロナ禍の中でサッカー以外のエンターテインメントの選択肢が可視化されたことの影響がライフスタイルの変化という形で現れているということのようだ。

「まだまだコロナは100%明けてないですから。まだ気にされているお客さんも多いですし、皆さんおっしゃるのは他のエンターテイメントもそうだと思いますが、現場に行って楽しむ、そのリスク。そこでコロナに罹るリスクと、家でDAZNを見てそれで済むというところが、この2年間ぐらいでライフスタイルの変化として現れているのではないかと思います」

そうした社会情勢を踏まえ「経営環境としてはフロンターレだけでなく、Jリーグ全体で相当厳しい。今までの30年間を振り返っても、相当厳しい環境の1年だったかなと思います」とのことだった。

回復の2023年になるのかどうか。引き続き頑張っていただきたいと思う。

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(取材協力/川崎フロンターレ 取材・構成・写真/江藤高志)

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