「川崎フットボールアディクト」

最終予選にまでたどり着いた努力【えとーセトラ】

最終予選を戦っている日本代表については結果が出ておらず、監督の去就を巡り連日ニュースになっているわけですが、その日本代表の練習が取材できたので埼玉スタジアムまで行ってきました。

森保一監督は真面目な人柄で、ご自身の去就がかかっているとされる決戦前日の会見でも真摯に受け答えしてくれていて、それはそれで人柄が出ていて好感を持ったわけですが、あまり記者が喜ぶような受け答えができる器用な方ではないので、記者控室の評価はいまいちでした。

これはこれまでに何度も言い続けてきましたが、個人的には五輪本大会の選手起用の硬直性に監督の采配力の部分での限界を感じつつ、その代表チームがどんな雰囲気で最終予選の試合前日を過ごしているのか、この目で確かめたいなと、そう考えたわけです。

負けが込んだチームというのは往々にして沈みがちな雰囲気になるものですが、さすがに日本代表ともなるとそのあたりの切り替えの速さはさすがでした。

全体練習前の準備段階から笑顔が見られ、リラックスしてこの試合に頭を切り替えている様子が見て取れました。

また、守田英正の姿も確認することができて、日本代表を助ける力になってもらいたいなと、切に思った次第です。

そんな練習風景は冒頭の15分のみの公開だったわけですが、ちょっと泣きそうになったのがアカデミー出身選手の3ショットでした。

鳥かごの最中に三好康児、板倉滉、田中碧の3選手が並んでプレーするシーンがあり、大きな笑顔をみせていました。

昭和な教育、つまり戦争経験者からの教育を受けてきた江藤としては、練習中に笑うことは厳に慎むべきもので、結果が出ていない状態では「申し訳ない空気」というものを出すべきだという無言の圧力を感じてきたものでした。そういう日本の重苦しい伝統というものを彼ら平成生まれの選手たちが軽々と乗り越えていく姿に時代の空気というものを感じ、またそこにフロンターレのアカデミーの選手たちが多数加わりプレーする姿を見て胸が熱くなりました。

さらに言うと、板倉、三好についてはフロンターレでは大成しておらず、最終予選を戦うに至る彼らのキャリアの背景に、彼らが積み重ねてきた努力を思わざるを得ず、ちょっとした感慨を感じた次第です。

そんな変な感情はさておき、彼らはかなり追い込まれた状態で日本のサッカーの未来を背負い、最終予選という戦いの舞台に臨むわけです。

個人的には鬼木達監督が率いるフロンターレ・ジャパンによるワンポイントリリーフを見てみたいのですが、そんな邪な思いとは別に、彼らが戦う最終予選が無事に勝利に終わり、日本中に歓喜を届けてもらいたいと、切に願う次第です。

最後に余談になりますが、代表を取材する複数の記者の友人に、フロンターレ・ジャパン構想を伝えたところ「いやー、それは」とつれない反応でした。

やっぱりそうですか。

(取材・文・写真/江藤高志)

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