「川崎フットボールアディクト」

中村憲剛、現役最後の試合前取材をwebで実施【麻生レポート】

中村憲剛にとって現役最後の試合前の囲み取材が12月30日に行われた。もちろんこれまでと同様にwebによるオンライン取材で時間にして20分あまり。その取材の最後に憲剛が口にしたのが「いやー、終わりか。18年の囲み、終わりか。囲みオンラインかよ(笑)」という言葉と苦笑いだった。それまでの憲剛の17年間の取材陣とのやり取りのことを考えると、コロナ禍の今年は特殊な一年だった。

そんな憲剛への取材は、広報からの事前の要請を受け、天皇杯の話に限定した内容に。フリーにしてしまうと、いつまでも何でも聞いてしまいたいことば多いだけに、妥当な要請だった。

ご存知の通り天皇杯は憲剛にしてもチームにしてもいまだ獲得出来ていない最後の国内主要タイトルで、そのタイトルへの思いや、4年前の決勝の記憶などについて憲剛は丁寧に受け答え。時間の都合上、最後の質問者となった取材者の最後の質問は、後輩たちへの思いについてだった。

それに対し憲剛はこれまでのプロでのキャリアを振り返りつつ「散々見せてきましたから。見せてきたし、伝えてきましたから」と口にして、自らのプレーから何を感じるかは各選手次第だと発言。何かを伝えたいという思いではなく「チームの勝利のために、今まで通り全力を尽くす姿を、みなさんに見せたいなっていう風には思います」と述べている。そして「自分でもそういう役割だっていうことは認識してるんで。頑張って走りますよ」と答えを締めくくった。

この回答を受けた質問者が「最後の試合、楽しみにしてますんで、頑張って走っている姿を見させてもらいます。ありがとうございました」と感謝の言葉を口にすると、憲剛も「ありがとうございます」と一言。司会をする広報が囲みを打ち切ろうとしたタイミングで、冒頭の一言が飛び出した。そして苦笑いしながら憲剛は最後のweb囲みに集まった取材陣に対し謝辞を口にして「あとは試合の後にね、ひょっとしたらあるかも知れないので。とりあえず今日でラストということで。はい、ありがとうございました」と述べた。

こちらのほうこそ長年ありがとうございました、なのだが、最後まで謙虚に取材を終わらせた憲剛だった。

ちなみに試合後に取材対象になる可能性については優勝すれば十分で、もちろん活躍してくれれば可能性は高まる。ぜひともそうなることを願っている。

(取材・文・写真/江藤高志)

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