「川崎フットボールアディクト」

【えとーセトラ】湘南がアドバンテージを活かし、1-1でJ1残留を確定

今日の取材は参入プレーオフ決定戦。

湘南も徳島も強気の立ち上がりだったが結果的にペースを掴んだのは徳島。引き分けは敗退という徳島の立場もあるのかもしれないが、実力的にも湘南を押し込む展開に。

湘南はゴール前の仕上げの精度が上がらず。ゴール前の崩しの精度が上がらないのは、サッカー業界全般の悩みで、だからこそクロスを多用していたのだが、そのクロスが雑でチャンスに繋げられなかった。

前半20分の徳島の先制点は、CKをファーに入れた折返しを決めたもの。徳島のその攻撃に湘南は最後まで苦しめられた。失点を1点で抑えられたのはそういう意味ではラッキーだったとも言える。

先手を打った徳島ではあったが、中で戦う選手たちは1-0のままで終わることはないと思っていたと振り返る。

例えば徳島の小西雄大は「1-0では終わらないと思っていました。先制しても相手は力のある選手が置いので、難しい局面も出てくるだろうと思っていました。早く2点目が取れていれば」と追加点が取れなかったことを悔やみつつ「湘南は、誰一人手を抜かない。鍛えられていて、いいチームでした」と述べている。

徳島がペースを掴んでいた前半を反省し、湘南は後半開始から選手交代。クリスランを投入してテコ入れし、流れを手繰り寄せる。64分の湘南の同点ゴールはこの選手交代から導かれる。山﨑凌吾がゴール前に入れたクロスをクリスランがスルー。これを拾った松田天馬が混戦の中からうまく抜け出してゴールに流し込んだ。

齊藤未月は、1点を先行される展開について「引き分けでも残留。追うほうがやりやすかった。攻めた方がよくなるので、1点は予想の範囲内でした」と振り返る。

その言葉どおりに同点ゴールを奪った湘南は、試合終盤の徳島の猛攻を跳ね返した。試合終盤、家本主審がVARと交信する場面もあったが、ゴールに関わるような判定の変更は行われず。リーグ戦ではFC東京、松本と試合終盤に失点を喫していたが、その経験をうまくこのプレーオフに活かしたとも言えそうだ。

AT中のケガ人の発生で試合が止まったこともあり、ATは当初予定されていた4分を大きく超えたが、90+7分に1-1のまま試合終了となった。

ラストプレーは徳島のロングボール。前線のヨルディ・バイスにボールが収まらず、タッチラインを割る。家本主審が間隔を取って2度短いフエを鳴らし、最後に長くフエを吹いた瞬間に湘南のJ1残留が確定。疑心暗鬼のスタジアムは、長く吹かれたフエを待って、最高の盛り上がりを見せた。

湘南は監督をめぐる問題や、練習場などの困難を乗り越えての残留で、価値ある成果を手にした。その一方で、徳島はJ1につながるいい内容のサッカーを見せてくれた。毎年、いい選手を取られチーム編成に苦しむ中での善戦だった。

魂のこもった熱戦だった。

■余談
最後にこれは余談になるが、湘南の背番号は判別が困難でぜひ改善してほしいところ。昨季のルヴァンカップ決勝の時も同じようなツィートをした記憶があるが、現代表の背番号と同等に見にくい。ファンを増やしたいならもっと視認性を上げる努力をしたほうがいいのではないかと思う。

余談ついでに、徳島のマスコットは目元だけでもリニューアルしてはどうだろうか。いつ見てもクマに見えるあのデザインに違和感を感じる。まるで疲れ切ったサラリーマンみたいだ。

(取材・文・写真/江藤高志)

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