「川崎フットボールアディクト」

【えとーセトラ】ハリルホジッチ前代表監督解任で考える、監督選考に必要なもの【書評】

■日本人らしいサッカー
怒鳴るだけのざんねんコーチにならないためのオランダ式サッカー分析」のp141で、白井さんは次のように指摘している。

「あなたが指導するクラブのプレーモデルを確立したいと思った時、最初にやるべきことは、戦略を決めることです」

すなわちゲームメイク戦略かカウンター戦略か。ゲームメイク戦略の場合、アヤックスやバルセロナのようなポジショナルプレーを目指すのか、ユベントスのようなダイレクトプレーを目指すのか。

さらにp142で次のように述べる。

「戦略が決まったら、その戦略に沿った目的と原則を作っていきます」

目的と原則は、ゲーム分析に置いては大切な基準になるもの。

同じくp142より

「戦略と、選んだ戦略に応じた目的と原則、そしてそれらを相手チームの戦略にアジャストさせた戦術、これらが組み合わさってできているのが、プレーモデルです」

つまりプレーモデルとは、戦略や戦術によって作られていくものだということ。

サッカーを分析し、分割していくことでより深くサッカーを理解する方法を編み出したオランダは、さらにそこから逆算して、プレーモデルを作る方法論まで編み出してしまった。オランダという国の底力を感じざるを得ない。日本サッカー協会もこうした手法を模倣し、研究して「日本人らしいサッカー」というものを定義づけてほしいと思う。この定義が日本サッカー協会が示す指針であり、監督選考はこの指針の範囲内でなされるべきだ。

なお「日本人らしいサッカー」というのは、オシム元日本代表監督の就任会見で発せられた言葉だが、この言葉をありがたがって大事にする一方、一向にこの言葉の意味を深掘りし、深化させる作業を行ってこなかった。それが日本サッカー協会の限界だとも言える。

「日本人らしいサッカー」を探求した結果、選ばれるのが日本人であれ外国人であれ、日本サッカー界の将来を見通せる人材が来るのであれば歓迎したい。逆に言うと、日本人指導者が軒並みダメだとも思わない。日本人指導者にも世界に伍して戦える優秀な人材は居るはずだからだ。

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