「川崎フットボールアディクト」

【インタビュー】【無料公開】 プロモーション部・天野部長の「プロモーション道」(1/5)「『うまくいくための法則』を持論として持っています」【不定期連載】(1763文字)

フロンターレを特徴付けてきたのが、数々のフットワークの軽いイベントです。御存知の通り、それらの多くを仕掛けてきた仕掛け人として知られるのが天野春果・プロモーション部部長です。今回、その天野部長に不定期でインタビューに答えてもらえることになりました。題して、プロモーション部・天野部長の「プロモーション道」です。
初回は全5回。プロモーション部の現在位置や、カブの料理方法。等々力のメインスタンド改築に関する話などになります

IMG_9479

■「一人ひとりは間違いなく成長してます。それは感じてます」
――プロモーション部内での現在の天野さんの役回りはどんなものなのでしょうか?
「プロモーション部内には、広報グループと集客グループ、それにホームタウンやボランティアを管轄する部署も入っているため、活動は多岐にわたります。プロモーション部の代名詞的な活動である『スタジアムイベント』でいえば、各試合イベントごとに統括責任者を決め、年間のスケジュールの中で割り振っています。たとえば6月3日ナビスコ杯仙台戦の平日のゲームであれば(伊藤)ヒロキが統括。6月7日湘南戦の献血イベントは井上(剛)。基本的に担当するイベントの統括が続かないようにしています。もちろん部内メンバーに任せるだけでなく僕自身も統括イベントを受け持ってます。たった今、負荷がかかるので統括は続けてやらないようにと話しましたが、6月20日の『カブの日』、7月4日の『ファン感』、7月11日の『多摩川クラシコ』と3つ続けて僕の統括イベントが続くので、今はバッタバタです(笑)」

――統括というのはどういうものなのでしょうか?
「統括は、各イベントのリーダーとなって部内メンバーに指示を出す責任者です。統括スタッフが仕切る形を取らないと、僕が全部仕切らなければいけなくなる。先ほど話したように、僕の役目はイベント運営だけではないので、他のスタッフに仕切ってもらって僕自身も飽くまで一つのコマとして、統括のいうことを聞きます。もちろんイベント前、イベントの最中や終了後に、足りていない部分は指摘しますけどね。
僕一人しかプロモーション方法が分からないといつか限界がきてしまう。僕はプロモーションやイベント運営方法については『うまくいくための法則』を持論として持っています。それは、アメリカ留学時代に学んだことや、今までの様々な経験から身につけたもの。そこから導き出された法則に基づいて、仕事を進めていくのですが、これが実に細かい(笑)。たとえば、イベント運営のために作る資料一つにもフォーマットがあり、スタッフにはこれを統一させています。それに沿う形で資料を作れば、どのスタッフが作っても、出す資料は一定のクオリティーが保たれる。そういう作り方を学んでおけば、プロモーション以外の分野で活動することになっても活かせると思っています」

――その統括として企画を運営するためにはどのような能力が必要なのでしょうか?
「企画を実行する上で統括として一番重要なのが『逆算カレンダーづくり』です。イベントというのはXデー、つまりゴールが決まっているわけで、いつまでに何をするのかをしっかり可視化して、仕事を『もやっ』と進めさせないことが大事なんです。これ、簡単そうで実は多くの人ができません。やると決めたことをちゃんとやっていけば、ゴールテープを切るときに成果もついてきます。ここをしっかりできない人は何をやってもダメです。
あとは当日の会場風景がイメージできるようなマップ作り。備品表と役割分担を定めた役割表とを作らせて、イメージMAPを一セットにして必ず資料として提出するように言ってます。
備品表は、机がいくつとか椅子がいくつというのはもちろんですが、『どういうデザインの看板をどこに何枚置いて』といったことを、自分の頭の中で会場を非常に鮮明にイメージしながら作る必要がある。最初は、それがみんなできない。感覚で言うと、有体離脱した自分を会場内アチコチに移動させて、テントや机の位置、そこで楽しむサポーターの姿や表情、アトラクションの前に並ぶ待機列の長さ、会場に流れるBGMや空気感を事前に感じること。これができるようになると、用意する備品から会場で起こりうることへの対処法などを事前に細かく描き出すことができるので、当日アタフタしないで済みます」

その2に続く
文中敬称略

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ