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「シンプルに楽しかったです。あっという間でした」。長峰祐斗、藤村慶太、三浦基瑛が発達障害の子どもたちとのサッカーを満喫【無料記事】

今年最後の祝日となった23日の午後。長峰祐斗、藤村慶太、三浦基瑛の3選手がサッカー療育を行っているサンFC白山の活動に参加し、発達障害の子どもたちと一緒にサッカーを楽しんだ。

写真提供:ツエーゲン金沢

 

昨年の10月から北陸で初めてサッカーを通して発達障害をもつ子と家族を支える活動(=サッカー療育)を行っているサンFC白山。今年に入り「ぜひサッカー選手と触れ合えたらということで、スタッフがツエーゲンさんにお願いしたところ、前向きに話を聞いていただいた」(株式会社サンエデュケーションズの宮本一弥社長)。

 

オファーを受けたクラブ側も単に「一緒にボールを蹴って終わり」ではなく、7月のKids Smile Project勉強会で宮本社長らを招き、選手が話を聞くなど、発達障害とサッカー療育について学んできた。

 

迎えた当日。集まった20名の子どもたちの拍手に迎えられた選手たちは、まずは背番号とポジションと名前で自己紹介。

そしてアップも兼ねて1対1のボール奪い競争へ。選手と子どもが向かい合って足元にボールを置く。先生方が「頭」「背中」と言うのに合わせ体の部位を押さえていき、「ボール!」の声で足元のボールを手で取り合うものだったが、藤村、三浦の2選手が和気あいあいとプレーするなか、「おとなの意地とプロの選手はこれだけ速いんだぞというのを見せたいという意識をもってやった」という長峰だけが容赦のないスピードでボールを奪い続ける。「1回だけ負けた」ようだが、プロたるゆえんを見せつける結果だった。

 

次は子どもたちがパスを出し、リターンをもらってシュート、さらにグータッチという練習。「ゴールを決めたあとにハイタッチなどで自己肯定感が上がるということを勉強会でも学んでいたので、そういうことを意識しながらやりました」と長峰。選手たちはシュートを上手に決めた子とのグータッチはちろん、大きく外してしまった子たちにも声をかけたり、ボールを拾ってきたあとにグータッチをしたりと、すべての子たちとしっかりコミュニケーションをとっていた。

 

そういった効果もあったのか、休憩の間もボールを蹴り合う光景、藤村に子どもが抱きついて離さいない光景、ゲーム形式の前に子どもたちが「キーパー!」と三浦を自分たちのチームに誘う光景が見られるなど、30分程度で子どもたちはかなり選手たちに馴染んでいた。

 

そして最後は選手も混じっての試合。参加者のなかには長峰の熱烈なファンという子もいて、「今日も手紙をもらいました」という長峰はしっかり2アシストで返していた。

1時間のプログラムは記念撮影とサイン会で終了。参加していたのは20名全員が発達障害をもつ子どもたちだったが、「そういうことを忘れるぐらい、普通のサッカー教室と同じ感覚で楽しめた。とくに気をつけなければということもなく、普通に(選手は)みんな楽しんでいた」と三浦。その言葉通り、参加者は全員が元気な子どもたちという感じだった。ただ逆に発達障害は少し見ただけではわかってもらえないという難しさ・苦しさもあるのだろう。

 

宮本社長は「憧れの選手と会えたということで(子どもたちは)日頃よりもすごく生き生きしていた」と、今回のイベントで子どもたちの変化を感じていた模様。サッカー療育やサッカーというスポーツがもつ可能性についても次のように話してくれた。

 

サッカーを通じると自主性や社会性がすごく高まります。パスをするということひとつとっても、コミュニケーションですからね。発達障害を持っている子の親御さんのなかにはすごく不安を持っている方もいるので、そういう方にもサッカー療育を知ってもらいたい。子どもたちも大きくなって普通に社会の中で行きられるように、サッカーを通じて成長してもらえればすごくいいなと思っています」

 

「またこういう機会をつくれればと思います」と宮本社長も話していたが、参加した選手からも一様に「楽しかった」という声があがり、地元選手である三浦も「もっと自分にできることがあると思うので、そういうことを子どもたちに還元できたらなと思う」と、双方が好感触を得たイベントになったようだ。

 

今年は例年よりリーグ戦のない期間が1ヶ月ほど長いのでどうなることかと思っていたが、コロナを気にせずこういった活動を積極的に入れられ、寒さのなかでの観戦もないため、金沢にとってはもしかしたら今シーズンのようなスケジュールのほうがいいのかもしれない、ということも感じたイベントだった。

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