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Kids Smile Project第5回勉強会は小池純輝が登場。現役Jリーガーは金沢の選手たちに何を伝えたのか

金沢のKids Smile Project第5回勉強会が15日に行われた。今回は東京ヴェルディの小池純輝選手がゲストスピーカーとして登場。これまでは福祉現場の方々の話が主だったが、今回は一般社団法人F-connectを立ち上げ、実際にクラブの活動とは別に児童養護施設の訪問などを行っている現役Jリーガーが経験を語った。

勉強会の内容についてはクラブが詳しく紹介しているので、興味がある方はそちらをご覧ください。金沢の選手たちは小池選手らF-connectのメンバーたちが児童養護施設への訪問だけでなく、入所者が18歳で退所しなければならなくなった際の就職先や居場所づくりなども行っていること、さらにサッカー選手の仲間たちが各地に散らばってどのように活動先を開拓をしていっているかなど、先駆者の話に耳を傾けていた。

 

小池選手が何度か繰り返していたのは「輪の外に出る」こと。サッカー選手は周りのスタッフもスポンサーもサッカーに集中できるように「活躍してください」という環境をつくってくれる。毎日、クラブハウスに行って、同じ仲間やコーチングスタッフと練習する。だからこそ、そういう定められた輪の外に出ることで、人間として成長できるだけでなく、サッカーにもいい影響を及ぼすのではないかと話していた。

 

勉強会終了後、小池選手に少し話を聞く時間があったため、金沢のKids Smile Project、そして勉強会の印象などを聞いた。

 

ーー全選手参加の勉強会をどう感じていますか?
「素晴らしいと思います。そういう研修や選手の教育は絶対にあったほうがいいなと強く思うんですけど、毎年選手が入れ替わってしまったり、クラブとしてもなかなかやりづらい部分はあると思います。それに全選手参加となると、みんながみんな『やりたい』とは言ってくれないですし。そういう大変さはあると思うんですけど、こういうふうにみんなが集まって、自分のためでもあるんですけど、地域のためにとか地域の子どもたちのために活動する。それがツエーゲン金沢のために繋がると思うので、すごく良い勉強会だなと思いました」

 

ーー今回、金沢の選手の前で話してほしいというオファーをどう感じて、なぜOKしてくれたのですか?
「僕らの活動を知ってもらいたいというのもひとつありますし、一緒に活動してくれる選手を探したいというのもあります。やっぱり僕自身も良いモデルケースになっていきたいという思いがあるんです。とくに子どもたちに関わっているので、選手としてプレーしているときは『カッコいいよね、輝いているよね』と思ってもらえるのに、辞めたあとは『どこで何をやっているのかわかんない』ではすごく寂しいじゃないですか。いろんな価値観があると思うんですけど、辞めたあとに輝いている姿を見せられるようにするには、現役のうちから何かやっておかないといけないと思います。これをやっている僕がサッカー選手を終えて次のキャリアでも輝けるのだとしたら、『そういえば小池選手って現役のうちにこういう活動してたよね。じゃあ僕ももっとやってみようかな』と(サッカー選手の考え方が)変わっていってくれればいいなということもあります。どれだけ僕の話が何かになるかはわからないですけど、力になれるのであれば、せっかくいただいた機会なので話をしてみようと思いました」

 

ーー(上のような)スライドをつくったり、映像を編集したりも自分で行っているんですか?
「スライドは自分でつくりました。映像はユーチューブチャンネルをやっているので、その編集の子に『F-connectの活動をひと目でわかるような動画をつくりたい』と伝えて、つくってもらいました」

 

ーーこの活動を始めてからスライドづくりなどのスキルを学んだんですか?
「学んだというほどでも。誰でもできると思いますよ」

 

ーーでも、現役選手だとパソコンを扱えない方もいると思いますよ。
「いまはテンプレでつくれたりするので、そこに自分で当て込んだりするだけなので。それに、もともと高校が情報処理科だったのでタイピングはできたんですよ。それが活かせているのかなというのもあります。法人を立ち上げるときも、自分でやってみようと思って自分で公証人役場に行きました。いまではマジで必要なかったなと思うんですけど、自分で公証人役場に行って公証人の方とメールのやり取りをしたりしていました。最初は自分たちでTシャツを300枚つくって、そのレターパックの(宛名)シールを自分で打ち込んで、プリントして、貼って、自分で詰めて送ったところから始めているので」

 

ーー金沢には坂戸ディプロマッツの後輩、長峰祐斗がいるのは知っていますか?
「もちろん知っています。僕のディプロ時代の同級生が(いまそこで)監督をやっているので、その教え子なんですよ。もちろん知っているし、マッチアップも楽しみにしていました」

 

ーー後輩が一緒に活動をやりたいと言ってきたら?
「大歓迎ですよ。本当に仲間を増やしたいので。現役の選手の価値というのは本当に大きいと僕自身も思っています。現役か元選手かだと、子どもたちの反応は全然変わってくるので、現役のうちに、自分の価値が最大化されているうちに誰かに何かをしてあげるというのが、すごく大切なんじゃないかなと思っています。僕も35ですけど、あっという間じゃないですか。若い選手にはとくにいろんな気づきをしてほしい。この(サッカー関連の)輪を出ていくと初めていろいろ気づけるじゃないですか。僕も最初は(会った方から)名刺をいただくのに、自分は持っていないという機会が多かったんです。まず名刺をつくって、名刺交換の仕方を教えてもらって、いただいた名刺のアドレスに『お茶しませんか』というメールをしていました。この枠から出よう、自分とは違う職業の人と会って話をしようということをやっていったんです。最初は『僕はサッカーしかしてこなかったから何もできない』というマインドだったのが、話したり、F-connectの活動をしていくなかで、『自分にもできるかもしれない』というマインドに変わっていったんです。そういう経験で、ひとりの人間として自信をつけられたというのがあります。選手としてもそれがプラスに働いてくれるのかなというのもあります。僕は30代になって、やっと点をとれるようになりましたから、そういうのも小さい積み重ねだったのかなと思います」

 

そして以下は小池選手の後輩、長峰祐斗の感想です。

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