FOOTBALL TODAY KANAZAWA

金沢U-12が無失点で県大会を制し全国へ。大石明日希U-12監督「選手を信じてよかった」【無料記事】

3日に行われた全日本U-12サッカー選手権大会石川県大会決勝。金沢U-12が符津を4−0で下し、3年連続3度目の優勝に輝いた。

 

立ち上がりは符津の圧力に押され、なかなか攻撃の形をつくれなかった金沢。しかし13分にワンタッチが繋がってチャンスをつくると、ここから大石明日希監督の「Good」の声が多くなっていく。するとその直後の14分、右サイドを駆け上がった清水健斗のクロスがこぼれたところを五島加偉が拾い、しっかりとシュートを決めて金沢が先制した。

 

前半の終了間際と後半開始早々には右から符津に攻め込まれシュートを打たれるが、ここは今大会の1週間前にキーパーを志願したという竹松駿が好セーブ。ピンチをしのいだ金沢は再びテンポのいい繋ぎから相手ゴールに迫る回数が多くなっていく。

 

そして28分(20分ハーフなので後半8分)には再び五島が決めて2点差。さらに前からの守備もはまり始めると、33分には高い位置で奪って最後は国原大輝のゴールで3点目。さらに36分には清水の果敢な仕掛けから再び国原が決め、4−0で勝利のホイッスルを聞いた。

 

春の若葉旗では同じ符津を相手に初戦(2回戦)で涙を飲んでいた金沢。苦しい時期を乗り越え、この大会ではすべての試合で4点以上奪い、大会を通じて無失点で終えるなど、圧倒的な強さを見せ全国への切符を掴んだ。

大石明日希U-12監督コメント

ーー優勝の感想を。
「率直に嬉しい。(今年は)難しい部分もたくさんあった。選手たちが苦労した部分もたくさんあるし、不安はあったけど、最後まで選手を信じられたかなと思う。信じられなかったらやられていたところもあったと思う。最後まで信じ抜くことができた」

 

ーーそれは具体的にどういう部分で感じた?
「これというのはないけど、僕がやらせるということもなく、選手たち主体で選手たちが思いきって表現してくれる。そういうところを信じることができたかなと思う」

 

ーー試合の立ち上がりは堅さもあった?
「もちろん大舞台で、選手たちもいままでやったことのない観客のなかで緊張するところもあった。自分たちのサッカーができないところもあった。あとは符津さんの強いアプローチで困ったところもあったと思う。ハーフタイムでは自分たちがどういうサッカーをしてきたのかというところを整理した」

 

ーー先制ゴールの少し前から監督の「グッド」という声も増えていったような気がしたが、選手は徐々に落ち着きを取り戻した?
「得点が入ると、選手たちもいけるなという気持ちも出てくるので落ち着けた。2点差がついてからは自分たちのサッカーができたと思う」

 

ーー自分たちのサッカーとはどういうもの?
「中盤では流動的に、どんどんあいているところに入って、ついていく。フォワードのところでも落ちるのか背後に抜けるのかというところで、人が入れ替わるようなサッカーを僕は目指している。そういう部分でも選手たちはうまく表現してくれた」

 

ーー後半に入ってからは「より背後」という声かけもしていた。
「符津さんの前半の入りからしたら、ボール状況によってラインが高いところが見られたので、よりラインを下げたいという意味で背後をつかせるようにした。そうすれば中盤のスペースがあく、あいたところをどんどん使っていく。(一人が)飛び出る、飛び出たところはあくので、流動性がもっともっとできる。それが欲しかったので、背後の動きを強くアプローチした。あと、ハーフタイムに伝えたのは、シュートを打たれないこと。僕らは専属キーパーがいないので、やられるとしたら失点はミドルシュートだと思っていた。相手はどんどんミドルシュートを狙ってきていた。(前半に)ミドルシュートが2本、3本あったので、まずはボールにいけるように守備をしていこうとファーストディフェンダーの強度のところを伝えた。そういうところを修正できたこともあって、無失点でこの大会を終えることができた」

 

ーー無失点は大きかった?
「デカかったですね。専属キーパーがいなくて無失点でこの大会を終えられたのは選手たちがすごく成長してくれたところ。よかった」

 

ーーキーパーはけっこう止めていたので、この大会で初めてキーパーをやったというのはびっくりだった。
「この大会が始まる初戦の1週間前の練習で『ゴールキーパーやりたいです』って言ってきてくれた。『チームのためにゴールキーパーをやらせてください』って。その意志を尊重するべきだと思ったので、じゃあ任せたよって。まだ3週間しかやっていない選手があそこまで成長してくれた。そういうところも含めて選手を信じてよかったなと」

 

ーー春先は苦しい時期もあった?
「勝ちを拾えない時期もあったけど、それでも信じてこられたことが、この大会での優勝に繋がった。あの負けがあったからこそ、ここがあった」

 

ーー決勝はどういう心境で見ていた?
「緊張はしていたけど、信じたぶん、どしっと構えられた。信じなければ選手たちも戸惑いが出てきてしまうと思うので、いままでやってきたことを表現できるということで、どしっと構えた。それが勝ちを拾うことに繋がった。ちょっとは緊張はしたけど、選手たちに緊張をほぐしてもらったところはある」

 

ーー選手に助けられたところもある?
「僕ら(スタッフ)もどうやってもっていこうかと悩んでいたけど、あの子たちがリラックスしている表情を見たら、信じていいんだなと感じられた。僕たちだけでなく、選手と僕たちが一緒になって今日の勝ちにもっていったというのが大きかった」

 

ーー監督から見てこの大会で変わったなという選手は?
「右サイドバックの清水健斗。あの子は足が速いのに、なかなか縦に突破しなかったんですよね。だけど、足が速い選手は縦に突破しないといけないと伝えた。大会中に悩みながらでも責任感をもって自分のプレーにチャレンジしてくれた。そこは成長してくれた部分だなと思う」

 

ーー全国大会への目標を。
「一番は、石川県を代表するチームとして、いままで戦ってきたチームの分まで責任をもって戦わないといけないということ。熱い気持ちをもって鹿児島にいきたい。目標としてはトーナメントにまだ出たことがないので、リーグ戦はしっかり戦って決勝トーナメントを目指す。(大会までの)2ヶ月ぐらいで改善していけたらなと思う」

 

大石監督には『ZWEIGEN HEROZ』12月発売号で、あらためて全国大会への意気込み、今年1年の取り組みなどを聞く予定です。今大会の選手の声や写真なども、そこで掲載を予定(変更の可能性あり)しています。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ