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勝てたはずの試合……大金星を逃した悔しさは募るが、これからの模範とするべき今シーズンのベストバウト【2024 天皇杯2回戦 Match Report/無料公開】

 

2得点を演出した萩野滉大。©Kaz Photography/FC GIFU.

 FC岐阜は6月12日、岐阜メモリアルセンター長良川競技場で天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会2回戦に臨み、J1の横浜F・マリノスと対戦。延長戦を終えてスコアは2-2となり、120分間で決着つかずPK戦にもつれ込んだ。岐阜はこのPK戦に4-5で敗れ、今大会の敗退が決まった。

 岐阜は前半キックオフから積極的な守備と攻撃で優勢に立ち、相手に攻め込まれながらも多くの時間帯を制圧しつつ試合を進めた。しかし何度かあったチャンスを決められず、0-0のまま迎えた後半36分、水沼宏太のクロスを植中朝日にヘディングで決められ、マリノスに先制を許した。残り時間も少なく同点、あるいは逆転を果たすのは困難に思えたが、奮起した岐阜はこのあと一気に攻め立てる。

 0-1からの再開のキックオフはゴールラインを割るボール。相手のゴールキックから始めさせて守備に嵌めてボールを奪い、攻めて行こうとする意図は明確だった。なんとしても1点を迅速に奪うという意欲に充ちた岐阜は、萩野滉大の浮き球を田口裕也が頭で落とし、最後は新垣貴之が右足で押し込み、後半39分にまず同点。後半44分にはまたも萩野の浮き球に抜け出した田口が相手ゴールキーパーのポープ ウィリアムを置き去りにし、追いすがるディフェンス陣に掴まる前に右足でシュート。わずか6分間で逆転に成功した。

 ただ切れ目ない攻守を実現させるためのハードワークの代償で選手たちの疲労は色濃く、残り時間も少ない状況。上野優作監督は5バックへの移行を決断し、5レーンを埋めるディフェンスでの逃げ切りを図った。延長戦にもつれ込ませることなく試合を終わらせる狙いだったが、後半アディショナルタイムのラストワンプレーで、そのただ一度のチャンスを、角度のない左サイドからゴール右隅を狙ったシュートで井上健太に決められ、同点に追いつかれてしまった。

 延長前半開始時点では4バックに戻して得点を狙いに行っていた岐阜だが、足が攣る選手も出てきてハードワークを貫徹するには難しい状況となり、再び5バックへと移行。無失点で延長戦を乗り切り、PK戦にすべてを賭けたが、5人全員が成功したマリノスに上回られ、涙を飲んだ。

◆守備意識が高くなった

 4-4で迎えたPK戦、岐阜の5人目はこの日キャプテンマークを巻いた甲斐健太郎だった。時間をかけ、タイミングを見計らいキックに踏み切ったが、ボールは無情にも枠を逸れていく。その裏、マリノスの5人目であるキャプテンのエドゥアルドがPKを決めると、岐阜の敗退が決まった。

 しかし甲斐を責めるわけにはいかない。PK戦とは、えてして中心的な人物、活躍した選手、エース的な存在の者が外して敗れるもの。1994年米国ワールドカップのロベルト バッジョしかり、2000年シドニーオリンピックの中田英寿しかり。そこまで120分間戦い抜いた心身の疲労が極限に達し、スタジアム全体の視線がプレッシャーとなり一点に集中した状態で蹴るPKの成功率は低くなる。上野優作監督が信頼して5人目に任命した甲斐が外したのであれば、これを受け容れるしかない。むしろ、損な役回りである最後のキッカーを引き受けた甲斐を称賛するべきだろう。PK戦にもつれ込んだ時点で、そこがチーム全体の限界点。そこから先、勝つか負けるかは、誰にもわからない。

 言い換えればこの日、甲斐は延長戦を終えるまですばらしいプレーをしていた。相棒の野澤陸もそうだったが、センターバックの持ち場を離れて中盤に猛スピードで進出、相手に身体をぶつけてボールを奪い取るという離れ業までやってのけていた。

キャプテンとして奮闘した甲斐健太郎。©Kaz Photography/FC GIFU.

 相手はACLの決勝に残るほどのチームであり、遙かに格上。この日の岐阜は守備意識をふだんのリーグ戦よりも高めて対J1仕様のアグレッシブなディフェンスを貫いていた。それは新垣の前線からの鬼プレスや、サイドハーフやフォワードといった攻撃陣の、自分たちが攻め込まれた状態での守備参加、そして前述のセンターバックの距離がある状態でのボール奪取を思い浮かべればわかるだろう。左サイドバックの文仁柱も、いい立ち位置をとって相手を止めるところと、並走して相手の行動を阻止するところを適切に使い分け、相当守備面に気を遣っていた。

 この点について訊ねると上野監督は次のように語った。

「相手の技量がある中で守備に追われる時間が出てくる。それから、寄せても奪いきれない。相手はやっぱり巧くて、ターンで剥がされたりとか。そうなるとなんとかみんなで守らなきゃいけないと、そういう守備意識が今日すごく高くなったんじゃないかなと思います。負けて悔しいんですけど、選手がこれを糧にしてくれるというか、ここでひとつ、もっとやらなきゃいけない、J1のレベルの高さ、そこに行くためにはもっともっと成長しなきゃいけないと感じてくれたらと思っています」

 岐阜独自のスタイル、そしてこの試合に向けた戦術は確実に効いていた。球際の激しさでボールを奪う部分と、相手の間を通して丁寧にボールを動かしていく部分のバランスが非常によかった。特に、上野監督が「マリノスさんの4-3-3に対して、2トップとサイドハーフが連動してしっかり高い位置からプレッシャーをかけようと準備したので、そこに関して選手たちはよくやってくれたと思います。相手が相手なので全部が上手くはいかないですが、狙ったような形は出せたと思います」と言うように、アグレッシブな守備が有効だった。相手の指揮官であるハリー キューウェル監督も苦戦したことを認めざるをえなかった。

「ハードワークな部分が最初から出ていたチームだなと思いました。コンパクトにやってくるところもそうでしたし、そしてラインを自分たちが突破出来るような部分がやはり少なかったです。そういう部分でしっかりラインコントロールも含めて、彼らの良さは出ていたかなと思いました。もちろん自分たちも完全にやられたかというと、出来ている部分もあった中でも、やはり彼らのカウンターの強みというところは出されてしまったと思いますし、自分たちも難しい状況にさせられてしまいました」

 この日に見せた岐阜のフットボールはお世辞抜きにすばらしかった。しかしそれを120分間継続することは難しい。岐阜は延長戦の最後の布陣で、文仁柱をサイドハーフに上げ、フォワードの山内寛史がサイドバックに移っての5バックを採らざるをえなかった。カップ戦である以上、これは仕方ない。PK戦での敗退も、前述したように受け容れるしかない。

 だが、リーグ戦の90分間であれば、この天皇杯2回戦で見せたフットボールの良い部分を再現することは可能であるはずだ。欲を言えば勝利という結果を得て、手応えを自信、そして確信に変えていきたいところだったが、大会を終えた時点では、いい内容の試合をしたという手応えが残るのみ。これを確実にチームのもの、クラブのものとして、言わば血肉にしていくためには、リーグ戦でいい闘いをして勝利を重ねるしかない。J1の強豪をあと一歩のところまで追い詰めたこの日のプレーを模範として、週末に控えたY.S.C.C.横浜戦から再び始まるJ3リーグに立ち向かっていきたい。

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