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園部泰敏/三敬株式会社代表取締役社長 Interview【2021シーズンユニフォームサプライヤー「RAZZOLI」決定特別企画/無料公開】

 

カターレ富山戦試合前、発表の瞬間。ALL GIFU体制で2021シーズンに臨む。© Kaz Photography/FC GIFU


 11月8日のカターレ富山戦では、試合前にスポーツウェアブランド「RAZZOLI」が2021シーズンユニフォームサプライヤーに決まったことが発表され、おおいに反響を呼んだ。特に県内の工場で製作に従事する人々とともにあらわれ、岐阜メモリアルセンター長良川競技場でコメントを述べた園部泰敏三敬株式会社代表取締役社長の“岐阜愛”は印象深かった。
 そこで園部社長をお呼びし、グッズマンこと富田弘紀FC岐阜ホームタウン・販売チーム担当の同席のもと、なぜユニフォームサプライヤーとなったのか、そしてこの取り組みが何をもたらすのかを訊ねた。じっくりとお読みいただきたい。
 
◆「RAZZOLI」を選んだ理由
 

園部泰敏三敬株式会社代表取締役社長。© Kaz Photography/FC GIFU


──「RAZZOLI」が2021シーズンユニフォームサプライヤーに決まるまでの経緯を教えていただけますか。
 
園部 FC岐阜さんを応援したいとはかねがね思っていたのですが、昨年までは力不足で意思表示をすることが出来ませんでした。しかし今回オール岐阜でやりたいという想いがFC岐阜さんにもあったのか、私たちにもお声がかかり今年春に開催されたのコンペに参加させていただくことになったという経緯です。
 
──力不足とは?
 
園部 ものをつくる自信、サッカーウェアをつくる自信はありましたが、グッズは得意としていなかった。最近、RAZZOLIでもかばんやキーホルダーなどをネット通販も意識して送り出していくようになり、デザイナーの前山(夏希さん)が育ち社内の力がついてきて、機が熟したと思います。
 
──FC岐阜がRAZZOLIを選んだ理由は?
 
富田 RAZZOLIさんにかぎらずサプライヤーさんを選ばせていただくにあたって重視しているところが、ひとつにはものの質。耐久性があったり、着心地がよかったりということ。ふだんからスポーツウェアをやられている三敬さんなので、そこは間違いないというところがひとつです。
 もうひとつはお金に関わってくることなので、クラブが提示する額で支援していただけるかというところも大事なポイントでした。なぜそこで三敬さんになったかのいちばん大きなポイントは、どれくらいクラブに寄り添ってものづくりをやっていただけるか、というところだと思います。大きなメーカーさんでは難しいようなきめ細かいフォローをいっしょになってやっていただけることが、今回RAZZOLIさんとやらせていただくうえで、いちばん意味があることだと思っています。
 
──ユニフォーム以外もつくるのですか?
 
富田 調整中ではあるのですがユニフォーム以外にも商品展開をしていきたいと思っています。ふだんRAZZOLIさんがやられているような商品にクラブがコラボで乗っからせていただくのもひとつですが、もうひとつ、今回のユニフォームでかなり特別なデザインをつくっていただいたので、そのモチーフをTシャツやかばんですとかそういったオリジナル商品に展開していただきたいとは思っています。
 

独自の紋様。© FC GIFU


──RAZZOLIには独自のデザイン感覚がありますが、一方で来シーズンからJリーグ共通フォントを使うことになり、背番号フォントでは差別化出来なくなりました。デザインをどう煮詰めていったのでしょうか。
 
富田 デザインを決めていくにあたって、クラブからデザイナーの前山さんにお願いしたことがふたつ。ひとつには、いままでシンプルなデザインがつづいていたんですけれども、着るだけで気分が高まるものにしてくださいということ。ユニフォームは選手にとってもサポーターにとっても戦闘服だと思っているので。
 もうひとつは、FC岐阜でしか出来ないようなデザインにするうえで岐阜らしさを盛り込んでくださいということでした。
 
園部 それを受けて大変苦労しました(苦笑)。戦闘服と岐阜らしさというテーマを受けてみんなで話し合い「やはり鮎だろう」「長良川だろう」と、各自いろいろな想いが溢れ出るなかで、それらを前山や後藤といった社内の人間に視覚化してもらったのです。
 寄り添うことに必死で取り組んでいったつもりではいます。
 

RAZZOLIのロゴが光る。©FC GIFU


──この紋様には気分が上がるような、昔の戦国武将が装いにこだわったのと似た華美さ、彩りがある感じがしますね。機能については?
 
富田 クラブの強化部、選手も「これなら間違いない」と言っていました。ユニフォームを発表するときに着用した石川選手も「着た感じ、動きやすくて軽そうだ」と言っていましたね。
 

アクティブGにて。©FC GIFU


──外見的にもそうした印象がありますね。そしてグッズ展開なんですが、RAZZOLIさんはマスクをつくっていますよね。
 

園部 今年の2月にコロナが流行りはじめたときから何か出来ないかということで企画し、4月からスポーツマスクとして販売を始めました。
 
──走るときの需要が出てきましたよね。FC岐阜さん的にも展開しやすいのでは。
 
富田 そうですね、来シーズンからに関して、スポーツシーンに特化したご提案をいただいています。通常の形状のマスクと、ネックウォーマーのように首まで伸びるものですね。ウチのスクール生やアカデミーの子なども含め、スポーツシーンで使う需要があると思っています
 
──そうですね、グッズとして販売しながらも市民スポーツで使える製品になるような予感がします。園部さん、そういえば過去、藤枝MYFCさんのサプライヤーを務めたとか。
 
園部 藤枝MYFCさんがJリーグに参入したときですね。しかしJクラブということは意識していなくて、私としては岐阜の代表であるFC岐阜さんとやっているという意味合いが強くて。とにかく応援したい最高のチームと手を組めた、という感じなんです。
 涙が出そうです、ほんとに。私はバカみたいに岐阜が好きな人間なので、その岐阜を代表するFC岐阜さんをサポート出来る。社内の者にあれこれとお叱りを受けるくらいFC岐阜さんに熱中しています。
 

富山戦で発表したときの様子。 © Kaz Photography/FC GIFU


──メモリアルでピッチに立ったときも熱く語っていらっしゃいましたが。
 
園部 ピッチに立ったときはちょっと興奮していまして、オーロラビジョンに出たときに胸が詰まってしまいました。協力工場さんがみんな来てくれて、岐阜全体で盛り上げたいと。あれでひとつになれたのでよかったなと。言葉での表現はあれが精一杯でした。
 
◆岐阜県のために出来ること
 
──岐阜県の製造者事業所数は全国8位、工場立地件数は同6位です。もちろん「アパレルの街・岐阜」でもある。一方で駅前の繊維問屋街がシャッター街化している現実もあるなかで、地方創生と言われているいま、岐阜県を元気にするために考えていることは。
 
園部 岐阜県を元気にする、私はずっとそれを思っているんですけれども、近隣に名古屋があって若者はみな名古屋に行く。
 そして岐阜には魅力のあるものがない。大型遊興施設が岐阜にあったとすればそれを目当てに来訪することは考えられます。私たちは岐阜朝日クラブというホッケーチームのサプライヤーもやらさせていただいていますが、FC岐阜さんというすばらしいチームがあるのだから、私としてはFC岐阜も起爆剤にしてスポーツで盛り上げたいと思っています。
 FC岐阜の中継を通じて全国の方に金華山を紹介したら観に行きたいな、と思っていただけるかもしれない。高山、下呂だけではないので(苦笑)。県外の方には高山が岐阜県にあるのかもわからないですし、岐阜弁が名古屋の言葉だと思われたりもする。岐阜が日本の真ん中にあると知ってもらうためにも、将来の夢としてFC岐阜のJ1優勝を願っていますが、とにかく岐阜に対しては観光などをもっとがんばらないといけないと思います。
 
──富田さん、岐阜県内にあるものって、建築にしても工芸にしても食事にしてもおすすめ出来るものがすごく多いと思うんですが、いかがですか。
 
富田 そうですね。以前、ぎふマガのインタビューでお答えしたかもしれないですけど、私も県外から来た人間で、正直、関ケ原が岐阜だということも知らなかった。でも来てみてこれだけ多くの魅力的なものがあるのに発信出来ていないということに、もどかしさを感じますね。
 
──アパレルひとつとっても、もともと技術はありますものね。いかに発信していくか。今回の取り組みがその蛇口になるのでは。
 
園部 そうなるといいですね。
富田 藤枝MYFCさんや高知ユナイテッドSCさんを手掛けていたということで、スポーツブランドとしては認知されていたRAZZOLIさんを岐阜のメーカーだとは知らなかったという方にも認識されたということは、一歩前進だと思っています。
 
──優秀な企業はたくさんあっても身近すぎて岐阜のものとして認知されていないケースは多いですね。今回、まさに地産地消なのですが、岐阜県内の内需で回していくためのエンジンになることが重要なのかなと。県外からの来訪者はもちろん、地元の方に観に行きたい、応援したい、グッズを買いたいと思ってもらえるようになったらよいですね。そういうビジョン、情熱の部分はいかがですか。
 
富田 茨城県鹿嶋市に何があるのかと問われれば、鹿嶋市のみなさんは胸を張って「鹿島アントラーズがある」と、仰ると思うんですよ。そういうクラブをめざさないといけないと思っていますし、岐阜の方々にとって憧れとなるクラブというのを岐阜のメーカーさんといっしょにつくっていけるというところに、意味はあると思います。
 
──ピッチ外の成績が伴わない──とはよく言われますが、でもサッカークラブの経営では、相手があってピッチ内は必ずしも思い通りにならないという前提で、自分たち次第で結果を出していけるピッチ外の部分で、最大限にクラブの魅力を増していくことも大切だと思います。そこにどれだけ挑んでいけるか。
 
富田 そうですね……これはちょっと言い過ぎかもしれないですけど、FC岐阜というクラブは、たとえチームがなくなったとしても、クラブとしては地域の方々に必要とされて存続していける会社でなければいけないと思っています。
 それに関しては、ずっと取り組んでいる地域貢献の活動であったり、グッズの展開で地元企業さんといっしょにものづくりをさせてもらうことで積み重ねていけるものだと思います。そして私たちよりも園部社長のほうが県内のみなさんとのつながりは深いと思いますので、ご紹介をいただきつつ、この輪をいかに拡げていけるかということが大事だと思います。
 

2021シーズンはこのユニフォームで闘う。 ©FC GIFU


──FC岐阜も地域に根ざそうとしてきていますが、まだまだ足りないところもあると思います。今回の取り組みを景気に、より地域密着が進んでいくのでは?
 
園部 FC岐阜は岐阜県内の人はみんな知ってる、超有名なんです。そこに関わる企業がもっと増えていけばもっと盛り上がってチームも強くなる。
 でもまだ支持するというところには至っていない。それをどう掘り起こしていくか。広報担当を自認する私としては(笑)どうやって支持に結びつけるかが課題で、アパレル関連に呼びかけつつ、岐阜県の副会長も務めていたPTAの筋からなんとか親御さんに応援してもらえないかと考えています。
 地元にそういうウェーブを巻き起こし、いい循環をつくっていきたいです。FC岐阜といっしょに動いていきたいなと。もっと私を利用してもらえれば動きますので(笑)。
 
富田 昔、RAZZOLIカップという大会を主催していただいたことがあるんです。そのとき既に園部さんはFC岐阜を好きだったようで、いまそこに参加した選手たちのことを思い浮かべているのではないかと。そういった活動を復活させたりして岐阜県内の子どもたちのスポーツ活動の受け皿になっていけたらいいと思います。
 
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