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大木武監督が語る「サッカーと思想」【独占90分間 Special Interview 第3回】

 

© FC GIFU


 独特の戦術を追求する指導者。そのイメージとは異なり、大木武監督は方法論として駆使する戦術よりも、その背景にある思想についてもっと話し合うべきではないかと考えている。机上の戦術論議に熱中しがちなサッカー言説に一石を投じる最終回。FC岐阜のファン、サポーターのみならずすべてのサッカーファン、そしてすべての岐阜県民にお読みいただきたい言葉がここにある。
 
◆もう一度観たくなるようなゲームをしたい
 
――さきほども仰っていましたが、大木武のサッカーといえば、ショートパスをつなごうとするものという先入観がある。でも昔から拝聴している理論では、体格の問題もあるので日本の選手はまず集団でボールを奪おう、と。そのボール奪取後の切り換えから攻撃が始まるというイメージです。ボールを奪ったあとの攻撃手段は長いスルーパス1本かもしれないし、短く速いパスをつないでいくのかもしれない。そのショートパスが主目的ではなく、手段であるはずですが、ところがいつの間にか、パスを1,000本つなぐことが目的であるかのように語られていますね。
大木武監督 正直なところ、骨の折れる説明はもういいんだという気持ちになっていますけれども、それでもいちから紐解いていくと、15年くらい前かな、どうすればブラジルやドイツやオランダに3-0で勝てるようになるかということを、いつも考えていました。アフリカ諸国に走り勝てるか、体を当てて勝てるかと言えば、勝てない。日本協会の海外遠征レポートには「コンタクトプレーに弱い」という評価が定番で書いてある。その頃、コンタクトプレーに弱いんだったらコンタクトしなければいいじゃないかと言ったら、ひんしゅくを買ったけれど。いずれにしても、身体能力の高い相手に、奪われたボールを広いオープン(スペース)に持っていかれたらしんどい。そうすると狭いところでやったほうがいいということになる。ボールを奪い返したあと、狭いところでミスをすると次の展開ができない。だから短いパスは大切だよ、と、ウエイトをそっちに置いたんです。
――パスが強くなる、速くなる、正確になるというのはトレーニングで磨ける?
大木武監督 そう。その練習をすごくやるわけです。トレーニングで解決可能な部分。
――これらを組み合わせていくと精度が高くいいタイミングでつながり、以前から仰っている「誰でも決められる」チャンスにできる、と。
大木武監督 そう。理論的にはそう。奪い返されたとしても人がたくさんいるから奪い返せる。よく“ゲリラ”だと言われたけれど。いまの岐阜についても、

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