「ファジラボ」寺田弘幸

【無料】『金沢に勝つ! 受け継がれる必勝法と仙波の意地で』【難波拓未のアウェイゲームの見方】

アウェイゲームの朝に難波拓未がアウェイチームの情報を集めて注目に値するところや興味深いところをピックアップしたコラムをお届けしています。

現地で応援する人も、DAZNで観戦する人も、ぜひキックオフの笛が鳴る前に目を通してみてください。

(難波拓未)

侮ってはいけません

「よく考えることもしないで敵を侮っている者は、きっと敵の捕虜にされてしまうだろう」

これは約2500年前の中国・春秋戦国時代に書かれた『孫子の兵法』の中にある「慮(おもんばか)りなくして、敵を易(あなど)る者は、必ず人に擒(とりこ)にせらる」を現代語に訳した言葉です。

昔も今も相手を侮ると痛い目を見ることがあります。相手を侮らずに慎重に対応しないと、どんな相手であっても勝てるとは限らないという意味が込められています。

金沢はホームで大勝を収めた相手です。ミッチェル・デューク選手が代表の活動で不在だったのに、ファジアーノは前半だけで5得点を決めて勝利しました。今節はデューク選手もいるし、今のファジアーノは本当に強いし、また大勝できるんじゃないかと思っていましたけど、侮ってはいけません。

金沢の得点力を向上させている松本大弥選手

柳下正明監督が率いるチームは調子を上げてきています。ホームでは3試合負けなしで、直近5試合では10得点を決めています。そのうち3得点を奪った試合が3試合もあります。

得点力がすごくあるチームの中で、特に注意しないといけないのが松本大弥選手です。広島から期限付き移籍で加入しているボランチなんですけど、直近8試合で6得点を記録していて得点力が覚醒しているんです。

前節の岩手戦で松本選手は2得点を決めています。[4-4-2]の左サイドハーフで出場していましたが、松本選手はほとんどの時間を中央でプレーしていました。第3のボランチのような役回りなんですけど、得点への意識がすごく強いんです。

サイドからクロスが上がるとき、松本選手は必ずゴール前に入っていきます。目の前に相手選手がいたとしても、松本選手は躊躇せずミドルシュートを狙っていきます。

岩手戦で28分に決めたミドルシュートは、駆け引きのうまさも光る得点でした。身体を開いて右足の前にボールを止めることで、右スミへのシュートコースを匂わせ、腰を回して左スミへのシュートを決めています。逆を突かれたGKの反応がシュートに対して完全に遅れていました。

その他の得点シーンも確認していくと、得点を力強さも感じます。第32節の長崎戦ではPA左でカイオ・セザール選手を背負いながらターンしてシュートを決めています。第37節の大分戦でもPA内で反転からのシュートを放ってネットを揺らしています。

ゴール前で彼をフリーにしてはいけません。ゴールに背を向けていても安心できません。しっかりと間合いを詰めてシュートを打たせないタイトな対応が必要です。

燃えている先輩の仙波大志選手

金沢に乗り込むファジアーノの中で、間違いなくいつも以上に対抗心を燃やしている選手がいます。広島から期限付き移籍で加入している仙波大志選手です。

仙波選手と松本選手は同じ広島ユース出身で、仙波選手は松本選手の1つ先輩です。広島ユースの選手として出場した試合で、2人揃って得点を決めて勝利している試合もありました。

仙波選手は負けず嫌いな性格なんだと思います。

移籍後に初めて出場した第31の山口戦後にはこうコメントしていました。
「もっと試合をやっていかないといけない。航大、雄大、遥には負けてらんないです」

前節の仙台戦でプロ初得点を決めた後も、こう話していました。
「広島の同期の満田(誠)だったり、川村(拓夢)だったりがけっこう得点を取っているんで、ぜんぜん満足していないですし、もっと取りたいなっていう気持ちがすごくあります」

同世代の選手へのライバル心は、きっと後輩にも向いているはず。松本選手はユースからトップチームに昇格して先にプロになっている“先輩”でもありますけど、だからこそ負けたくないと思っているに違いありません。仙波選手が意地を見せてチームを勝利に導く活躍を見せてくれるはずです。

『孫氏の兵法』によれば

金沢も意地をむき出しにしてファジアーノに立ち向かってくると思います。前回に大敗したリベンジを果たしたいと思っているはずですし、今節に勝利すれば残留が確定する可能性もあります。彼らにとっても勝たないといけに戦いですが、ファジアーノは上回っていかないといけません。

『孫子の兵法』にはこういう一節もあります。

「戦いは、正を以って合し、奇を以って勝つ」

正攻法で戦略を立てて負けない状況を作り出し、いざ戦いが始まると奇策を使った戦術によって勝利を引き寄せるという意味です。

ファジアーノが5-1で勝利したホームの試合を思い返してみると、アグレッシブな守備と縦に速い攻撃を繰り出していく正攻法で相手コートでプレーする時間を増やし、試合前から準備してきたCKで立ち上がりに2得点を決めています。

『正を以って合し、奇を以って勝つ』をファジアーノはしっかりできていたんです。

侮ることなく試合に臨んでいき、今節も自分たちのやってきたことをピッチで表現し、セットプレーをはじめ様々な形でゴールに向かっていけば、ファジアーノは必ず勝つことができるはずです。

〈 了 〉

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