「ファジラボ」寺田弘幸

【無料】【加戸英佳が伝えたい 特別なサイドストーリー】『おじいちゃん孝行』

『勝敗以外の試合の見どころも届けたい。

サッカーから離れてもいいから、あたたかいストーリーがいい』

って寺田さんから依頼を受けまして、10月のアウェイゲーム3試合は私なりの視点から試合の見どころをお届けします。

ぜひ、試合が始まる前にご覧になってください。

琉球戦は上門選手の物語です。

(加戸英佳)

 

「髪の毛が長い! 頭がデカく見える!」って言うおじいちゃんに、3人兄弟の末っ子はよく反抗していたらしいです。

ヘアースタイルのことで(笑)
ちょっと笑っちゃいましたけど、なんだかすごく上門選手らしいですよね。

でも、意外ですけど、思春期に長い反抗期があったらしいです。

学校に行くときも、サッカーの練習に行くときも、個人タクシーの運転手をしていたおじいちゃんがよく送り迎えをしてくれていたのに、素直に感謝の気持ちを伝えられなかった。

「1時間半くらいかかるような場所でも毎回送ってもらってたのに、してもらったことの方がすごい多かったのに、反抗期が長かった。今思うと情けないですよ。おじいちゃんに謝りたいです」

そう上門選手は話していましたけど、きっとおじいちゃんは反抗する上門選手が可愛くて仕方なかったんじゃないかな。

プロになってFC琉球でプレーするようになってから、上門選手はおじいちゃんとお父さんと3人で暮らしてきたそうで、誰かとしゃべっていないとダメな寂しがり屋のおじいちゃんと寝る前までずっと一緒にいたんですって。だから、岡山に移籍することを決めたときはおじいちゃんがとても寂しそうで、行かないで! ってお願いもされたとか。

でも、離れて暮らすことになっても2人の気持ちはぜんぜん離れていないみたい。今も2週間に1回は連絡を取り合っていて、おじいちゃんはしっかりと試合もチェックしてくれている。上門選手がうまくプレーできているかどうかは顔を見ればわかるみたいで、「うまくいっていないときは『楽しんでないんじゃないか? 大丈夫か?』って連絡がくるんです」とのこと。

もちろん、上門選手がゴールを決めたときは大喜び。「僕が点を取って勝った後にヒーローインタビューを受けている姿がテレビに映ると、毎回泣いてるみたいです。泣くときはだいたいトイレに行くらしいですよ、バレないように」って上門選手は笑ってました。

今節は琉球戦です。

最近88歳になった、厳しいときもあるけど、寂しがり屋で、涙腺ゆるゆるなおじいちゃんは、スタジアムで観戦することができるみたいです。
「僕もすごく楽しみにしてきましたけど、間違いなく一番楽しみにしてるのはおじいちゃんですね」
そりゃそうですよ。
上門選手、頑張らないと!

「おじいちゃんの前で点を決めたいですね! おじいちゃん、絶対に大号泣だと思います」

いたずらっ子みたいな顔をして笑っていた上門選手ですけど、今週にちゃんと髪を切ってるんですよ。おじいちゃんに怒られないように(笑)

絶対に、絶対に、今日は上門選手にゴールを決めてほしい。思い切りおじいちゃんを泣かせちゃってほしい。そして、ヒーローインタビューでおじいちゃんのことに少しだけでも触れてあげてほしいな。

琉球戦が始まる前に、私もおばあちゃんに連絡してみよ。

〈 了 〉

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