「ファジラボ」寺田弘幸

【無料】【サッカーライターへの道】vol.8『松本戦で気になったこと。5月のMOMは?』

サッカーライターを目指す大学生の難波拓未が寺田弘幸に質問していくシンプルな企画『サッカーライターへの道』。

試合のポイントや戦術等の細かいこともOK。選手のプレーについても寺田の見解を述べます。寺田にわからないことは監督と選手に直接聞いてきます。

もし読者の皆さまの中にも寺田に聞きたいことがありましたら、下記にフォームを設けておりますので、そちらにご入力ください。

vol.8 『松本戦で気になったこと。5月のMOMは?』

難波 「松本戦の勝利は本当にうれしかったです。システムを変えて5試合ぶりに勝利した松本戦について質問させてください。まず、1トッププラス2列目の3人がこれまで以上にうまく機能していた理由は何だったのでしょうか?」

寺田1つは上門君と幾笑君が相手の背後を突く動きをしっかりできていたことかな。特に右サイドの奥のスペースをうまく突くことができていたと思うし、阿部君や河野君から相手の右サイドの背後にパスが出ることが多かったけど、彼らが縦パスを出せる形をビルドアップでうまく作れていたことも良かったと思う。後ろが縦パスを入れるタイミングと前線の上門君と幾笑君たちが背後に走るタイミングが合っていたから、チームとして機能しているように感じられたよね。

それと、前半は相手陣内で試合を進める時間が長かった。前からハメていく形ができて、高い位置で奪ってからショートカウンターを仕掛ける場面を何回も作れていた。前線の選手たちの守備時のプレー強度も高くて、良い守備から良い攻撃につなげられていたことも、前線が機能した理由だと思う。

やっぱり、このチームはまず守備から。守備が機能して攻撃も機能していくチームだから、松本戦は立ち上がりからアグレッシブな守備をできたことが本当に良かったと思うし、幾笑君もアグレッシブな守備ができるところを見せてくれて、大きな戦力が加わった印象があった。

まだ1試合だけだし、対戦相手によってどうなるかわからない部分もあるけど、試行錯誤してきた中でこの形が機能したことはチームとして大きいよね。特に上門君は自信になったと思う」

難波 「ここ数試合の上門選手は右サイドで守備を頑張ってくれていましたが、攻撃ではなかなか良さを出すことができていませんでした。それが松本戦では解放されたような印象があったので本当に良かったです」

寺田1つの殻を破った感じがするよね。彼はノッていけるタイプだと思うから、今後がすごく楽しみ」

 

難波 「次の質問です。上門選手のゴールシーンで、木村選手のポジショニングが気になりました。木村選手がゴール前に入っていったことで上門選手がシュートを打てるスペースが空いたのかなと感じたのですが、どうでしょうか?」

寺田 「木村君を追いかけながら映像を見返してみようか。この時間帯はスローインが続いていて、一度相手に奪われたけど、川本君と徳元君がすぐに切り替えて奪い返している。そのあと、奪った徳元君から白井君にバックパスしたんだけど、そのときに木村君は上門君の近くにいる」

難波 「横並びのような立ち位置ですね」

寺田 「うん。それで白井君は上門君の足元にパスを入れ、上門君が左にパスを振るところを見て、木村君はクロスを合わせるためにゴール前に入っていっている。ただ、このときはPA内に相手DF3人いて、味方は木村君しかいなかった。だから川本君はクロスを上げるのをやめて上門君にリターンパスを選択したんだろうね」

難波 「はい」

寺田 「このとき、上門君と木村君がゴール前でクロスして動くような形になっている。お互いに2人の動きは感じていたと思うし、2人の動きが直線的な動きじゃなかったから、上門君がドフリーになれたんだろうね。

こうやって振り返ってみると、確かに木村君は効果的な動きをしているなと思う。自分がボールを受けるために動くんじゃなく、周りとの関係性を考えながら自分がどんな役割を果たせばいいかを考えて動いている。ボールには触っていないけど、得点に絡んだシーンって言ってもいいのかもしれないね」

難波 「木村選手はドリブラーのイメージが強かったんですが、クロスに備えて相手の背中を取るためにファーサイドに走っていく動きはすごく良かったと思いますし、得点を取れる位置に入っていく動きだったので、嗅覚も持っている選手なんだなと思いました」

寺田 「元々、クロスに合わせるのはけっこう得意だよ。練習でもよくそういう形を見せている。プロ初ゴールのように、ゴール前に入ってクロスをワンタッチで合わせる形は得意にしているんだよね」

難波 「そうなんですね。このシーンは木村選手がゴール前に入っていったから、相手選手は下がらざるを得なかった。だから、上門選手の前にスペースが広がったのでしょうか?」

寺田 「それは間違いなくあるよね。木村君も良い動きをしたと思うけど、この得点シーンで最も良かったところは、川本君と徳元君が素早く挟み込んでボールを奪い返したところかな。何回か失っているけど、すぐに奪い返しに行ったことで左サイドでスローインを続けることができていた。早く攻めたい相手にとっては嫌らしい攻撃だったと思うし、それで相手の集中力を低下させることもできていたと思うよね。白井君が上門君の足元にパスを入れるとき、上門君も木村君もプレッシャーのかかっていない状況だったからね」

 

難波 「では、今月もMOM(マン・オブ・ザ・マンスリー)を選んでいきましょう!」

寺田 「まず難波君の5月のMOMからお願いします」

難波 「僕は阿部選手を選びます。秋田戦で濱田選手が負傷離脱した後、井上選手とCBコンビを組んで出場時間を伸ばしました。失点は少なくなかったですが、対人守備の強さや相手の縦パスへの出足の鋭さを発揮していましたし、ビルドアップでも効果的な縦パスを出していて、井上選手との速いパスを交換して相手を横に揺さぶることができていました。個人の良さを出しながら、井上選手と一緒に経験を積んで、どんどん守備が良くなっていったと思います」

寺田 「阿部君は本当に良くやっていたね。長崎戦の失点シーンについてはどう思う?」

難波 「エジガル選手に縦パスが入った瞬間に潰したシーンは、阿部選手の展開を読む力が表れたシーンだったと思います。奪った後すぐに奪われて失点につながってしまいましたけど、奪われたところはすぐに取り返しに来た澤田選手の抜け目のなさがすごかったと思いますし、奪った後も狙われている、という良い経験をできたのかなという印象です」

寺田 「僕はあそこで絶対に奪い返されてはいけないと思っている。エジガルへの対応は良かったけど、そのときに澤田選手がどこにいて、何を狙っているのかを把握しとかないといけないかな。あそこでボールを奪い返される可能性があるんだったら、エジガルからボールを奪いに行くのではなく遅らせる守備をした方が良かったかもしれない。もっと次のプレー、次の展開を把握できるようになれば、もっと良いCBになるんじゃないかなって長崎戦の失点から感じたけど、それも試合の中でしか感じることのできないことだった。CBは試合に出て悔しい想いをした数だけ成長していくポジションだと思っているし、阿部君にとって本当に良い経験を積んだ1カ月になったと思う」

難波 「寺田さんは誰を選びますか?」

寺田 「川本君かな。持っている能力を示してくれた1か月だったと思うし、千葉戦でのゴールにはビックリしたよ。シュートを打つときの態勢やタイミングは、良い意味で日本人っぽくなかった」

難波 「海外サッカーの得点シーンかと思うくらいでしたよね。僕も度肝を抜かれました」

寺田 「技術も高いけど、身体の強さも備えている。そこが彼の大きな特徴だよね。ただ、これからは簡単に足を振らせてはもらえないだろうし、もっといろいろな形から点が取れそうなところは見せているから、実際にいろんな形から決めていってほしい。得点以外でもサイドに流れて起点になったり前からの守備も頑張っている。本当にまだ伸びシロがたくさんある選手だと思うんだよね。松本戦は20分くらいで疲れていたけど(笑)」

難波 「開始早々から松本戦はけっこう飛ばしていました」

寺田 「そうだね。全部が全部を全力でプレーするわけにはいかないから、どうやって強度を維持するかがこれから大切だろうね。ごまかしながら効果的にプレスをかけつつ、エネルギーも溜めておいて前に出ていくときに爆発的なパワーを出していかないといけない。そういうことも試合の中で学んでいくことしかできないから、川本君にとってもすごく良い経験を積めた1カ月だったと思うし、やっぱりFWは点を取ってなんぼのポジション。もう十分に力を持っていることは見せてくれたので、さらにゴールを重ねていってほしい」

難波 「ありがとうございます。6月も若い2人には注目していきたいです」

〈 了 〉

 

次回は京都戦後を予定しています。
皆さまからの質問をお待ちしています。

難波拓未

岡山市に生まれて小1のときにサッカーを始めた少年は、岡山市の小中高に進学してボールを蹴り続けた。ファジアーノの選手たちのプレーを真似しながらプロサッカー選手を夢見て青春時代を過ごした難波くんは今、大学生になってサッカーライターになることを目指して活動を続けている。

note 『たくみ/大学生サッカーライター』
Twitter  @Soccer_Writer


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