赤鯱新報

【U-18レポート】プレミアリーグ再開を前に、名古屋U-18が京都U-18と練習試合。課題も収穫もある中で、ラストスパートへの準備は着々と進む。

10日にトヨタスポーツセンターで行われた練習試合の相手は京都サンガU-18。来週末にはプレミアリーグ再開初戦の岡山U-18戦を控え、実戦を意識したメンバー構成で名古屋ユースは臨んだ。

前週末は関西遠征で大学生を相手にトレーニングマッチを行なってきたチームは、いよいよ次週に迫ったプレミアリーグ再開に向け、京都サンガのU-18を招いて練習試合を敢行。実戦を意識したメンバー構成で45分2本、Bチーム同士による30分2本の計4本を行ない、課題と収穫の双方を得た。スコアだけ見れば1本目は4-3の勝利で、2本目も3-1の勝利だが、単に打ち合いのような内容ではなく、多くのヒントがピッチ上には見えた。

セットプレーの連続の中から14分、コーナーキックの跳ね返りを八色真人がミドルで仕留めて先制。押し返していった展開の中での一撃に、チームは一気に勢いに乗った。

17日の岡山U-18とのアウェイゲームについては、現在U-17日本代表のクロアチア遠征に参加している大西利都、萩裕陽、森壮一朗の3名が不在で、まずは彼らのポジションをどのようにフォローするかというのがポイントのひとつ。1週間前の練習試合ということで、今回のAチームの構成はそのトライアルの色合いも強くなり、まず最初のスタッフの想定がこの日の11人には見ることができた。GKは加藤直太郎、3バックには中央で小室秀太、トップは杉浦駿吾でシャドーに神田龍というのがそのひとつで、これを叩き台にしてこれからの1週間の準備は整えられていくことになる。

この日のスタメンGKは1年生の加藤直太郎が務めた。これで彼には来週のプレミアリーグ出場の可能性が出てきたことになる。1本目の8分にはPKストップも決め、猛アピール。

試合は立ち上がりこそ押し込まれたが、守備の調整と相手のビルドアップに対するプレスの徹底が為されてからは名古屋U-18のペースに。序盤8分に与えたPKを加藤がセーブしたことでもチームは鼓舞され、押し返してセットプレーを連続したところから、14分にコーナーキックのこぼれを八色真人がミドルで仕留めて先制。その4分後にはスルーパスに抜け出した杉浦がGKをかわして流し込み、23分にはプレスで誘った相手のパスミスを拾った杉浦が、目の覚めるような豪快なミドルシュートを叩き込んでダメを押した。さらには反撃をと前に出る京都の背後に神戸間那がフィードを落とし、走り込んだ神田がお得意のジャンピングループでふわりと流し込んで4-0とリード。その後は京都も名古屋の攻撃に慣れたのか要所を抑えるようになり、押し返してきた反撃も加藤が1対1を二度ほど止めてシャットアウトするなど拮抗した戦いとなって45分が終了。試合展開への順応と決定力を見せつけた名古屋が、圧倒したまま2本目へと突入した。

京都U-18との練習試合はB戦も行われた。こちらは30分2本とややコンパクト。

だが後半は開始3分のコーナーキックで失点すると、京都も前線からのプレスを仕掛けて展開が一変。互いに強度高くやり合う中で、名古屋が苛烈なプレスでやや息切れした感も出たことから、京都がはがして前に出る割合が増えた。それでも池間叶や西森悠斗などの決定機は作った名古屋だったが、これを仕留められずに31分には再びPKを献上し、今度は決められ2失点目。直後にベンチは野村勇仁、神田、小室、野中祐吾をそれぞれ神谷輝一、西森脩斗、鶴田周、伊澤翔登に替えて流れを引き戻そうとしたが、チーム全体の疲労感はやはり残り、35分に裏抜けを許して3失点目。終盤には杉浦や西森悠に複数の決定機もあったがポストに嫌われるなどして得点はならず、後半だけなら0-3というスコアで試合は終了。4-0、0-3という対照的な45分は彼らの今季の課題である試合のマネジメントの部分を改めて意識させたのではないか。

この試合でようやく松嶋好誠が復帰。まだ本調子ではなさそうだが、随所に彼らしい攻撃のエッセンスが見られた。

Bチームの対戦でのトピックスは松嶋好誠の実戦復帰や山本陽暉の3バックセンター起用、小島蒼斗のシャドー起用あたりか。3バック右に入った成瀬楓悟の積極性も好印象で、交代出場で得点を記録したU-15の八色隼人のアピールもそこに加わるひとつかもしれない。前半開始2分でスルーパスからゴールを記録し、25分にも背後に抜け出して伊藤ケンのゴールをアシストした西森脩斗はさすがのパフォーマンスで、岡山戦のスタメン争いにしっかりと爪痕を残したと言える。試合全体としては京都のポゼッションを名古屋が引っかけられればチャンスに、はがされれば相手のチャンスに、というわかりやすいシーソーゲームで、1失点は喫したが3-1で終えられたことには意味も深い。

必死の表情でボールを深い位置まで追っていく西森悠斗。なかなか決定機は決められなかったが、その献身性はチームを支えた。

Aチームを改めて振り返れば、逸機の数は多かったものの西森悠の貢献度は高く、劣勢の序盤に彼のチェイシングがチームを助けた度合いは強く、攻守両面でチームをつなぐ役割を果たし続けた。同時にボランチの野村も運動量豊富に相手のボールホルダー、受け手の部分に食らいつき、奪った後のパスさばきも良く巻き返しに大きく寄与したと言える。この二人の機動力と展開力に周囲がしっかり反応してこその15分間での4得点で、そこに杉浦と八色のミドル、神田の飛び出しというこのチームの武器が噛み合ったことは好材料として次につながっていくだろう。この試合では神戸の存在感も大きく、守備の強度の高さを出しながら攻撃面でも深い位置まで進出し、パスでも味方の動きを引き出した能力の高さはとても頼りになるものだった。右ウイングバックに入った野中の推進力はもっと活かしたいところで、左の池間からのクロスはもっと合わせていきたいところ。とにかく追いに追って京都のポゼッションを崩した流れは見事だったが、練習試合ということを差し引いても体力的なマネジメントにも手を出してほしかったな、というのは贅沢な注文か。

もはや2年生の感じがしない神戸間那の余裕あるプレー。守備の強度も今季序盤に比べ、見違えるほどに上がっている。

残る公式戦4試合ではU-17日本代表の面々が戻ってきた後も、受験などで主力が欠ける場合もこの時期はある。その点では安定感を見せた鶴田や俊足を活かしたカバーリングでセンターでの起用もありと思わせた山本、ボランチの一角として堂々としてきた神谷などの新戦力は良いアピールをしたと言えそうだ。3失点は喫したものの、1対1の強さとPKストップを見せた加藤も同様で、この終盤になってまた面白い戦力が増えてきたとも感じるところ。非常に強度も高く緊張感もあった練習試合の収穫は、課題が出たことも含めて良いものがあったのではないか。1週間後、そしてその後に続く今季終盤戦に、名古屋ユースの準備は着々と整ってきている。

reported by 今井雄一朗

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