【U-18レポート】U-18がカターレ富山との練習試合を行ない、快勝。終盤戦への向け、研鑽への想いも新たに。
プレミアリーグも残すところあと4試合となり、残念ながら大津高校の試合結果によって名古屋U-18の逆転優勝の可能性は潰えてしまった。そのことがわかるのは後々のことになるのだが、いずれにせよ終盤戦へ向けての重要な調整の場として用意されたカターレ富山U-18との練習試合が26日、40分3本の形式で行われ、名古屋ユースは3本合計7-3で快勝した。2本目の途中で全員を入れ替え、60分ずつ2チームがプレーすることになったわけだが、同日にはJユースカップの奈良との対戦もあり、ここにほぼ1年生のチームで挑めるほどにメンバーが揃っているというのも今のアカデミーの充実を感じるところ。3つの大会をフル活用して強化に励む育成チームは、着実にその地力を増している。
まず大まかにこの日のメンバーは、1チーム目が萩裕陽、神戸間那、青木正宗、森壮一朗、伊澤翔登、野村勇仁、八色真人、野中祐吾、杉浦駿吾、西森悠斗、大西利都の11人で、萩は1本目のみプレー。2チーム目が濱崎史揮、小室秀太、鶴田周、山本陽暉、中原蒼空、平川大翔、練習生、池間叶、西森脩斗、神田龍、伊藤ケンという陣容だった。平川のみが本職ではないポジションを務めることにはなったが、慣れていくうちにダイナミックな動きを見せ始めていたので、これは面白いと思った次第。
立ち上がりは苦戦した。富山はなかなかに特殊なチームで、いわゆる“疑似カウンター”を仕掛けるポゼッションスタイルが特徴的だった。自陣深くでゆったりとボールを回し、ポジショニングで相手のプレッシャーをいなして隙ができれば一気に背後をとるロングフィードを打ち込んでくる。フォーメーションの食い違いもあって名古屋ユースのプレイングはなかなかはまらず、追い詰めたと思ったら逆サイドのフリーな選手にボールが逃がされたり、ギリギリに見えるパス交換からダイレクトに背後に落とされたり、あるいはフリックとスルーを使ってやはり背後を陥れられた。開始10分のコーナーキックを決められたことも相まってペースは完全に富山で、守りがはまらない影響で名古屋は攻撃の迫力も連動感もなかなか出せない時間が続いた。
ただ、そのまま手をこまねいているチームでもなく、ベンチの指示と中の選手たちの双方の修正によって、まずは守りの圧力の部分から改善は進められ、野村勇仁や八色真人のところで球際が作れるようになってくると、チーム全体の動きにまとまりが出始めた。局面にインテンシティが出てくれば、プレミアWESTのチームとプリンス北信越のチームの個の違いが見え始め、それでも富山は果敢なるボール保持とカウンターを繰り出したが、じわじわと名古屋が前に出る。プレスに連動感が出れば、今までいなされていた高い位置でのフォアチェックにも効果が増し、33分に大西がキーパーからボールを奪って流し込むと、一気に富山対策が定まった感覚にもなった。
「相手のボランチの選手のところで自分たちがボールを奪えるっていう感覚ができ始めたぐらいから、だったらわざとそこに入れさせて奪いに行くようにした」とは青木。彼自身は2本目7分に失点に直結するミスをして交代させられているが、前のプレッシャーに意図が増し、つながれても蹴られても対応ができるようになってからは、リスクと背中合わせの戦い方をしている富山に疲弊も見え始め、試合はさらに名古屋の側へ。19分の杉浦、34分の西森脩のゴールはいずれも追い込んだ中でのボール奪取から、自ら持ち込み叩き込んだもの。38分には前がかりの戦いの中で小室が右サイド深くから折り返し、神田がダイレクトで決めて2本目を3-1で締めた。
3本目もその流れは変わらず、開始1分の池間のフィードを西森脩が仕留めてこの日2点目。2チーム目のメンバーは西森脩、池間、神田が左サイドを縦横無尽に突破し、右は中原と平川がシンプルに縦への推進力を発揮した。30分には背後のボールに平川と神田のふたりが飛び出し、神田がループシュートで決めてこの日2点目。最前線の伊藤には多くの決定機があったがなかなか決められず、しかし37分には左から右へのビルドアップを縦にダイナミックに展開し、中原の折り返しを西森脩が決めてハットトリック達成。富山も1点を返したが、3本目も3-1と名古屋が圧倒した。
守備だけでなく攻撃の起点としても、周囲を操る司令塔としてもよく声が出ていた野村をはじめ、トレーニングの成果が出たとは三木隆司監督の言葉からもよく理解はできた。普段とは違うタイプの相手に青木は多くを学んだと言い、選手たちそれぞれがピッチの中での判断力をもって状況に対応できたことも成長の一端として感じる。プレミアの得点ランク上位を争う杉浦、大西はもちろんのこと、西森脩と神田が複数得点で猛アピールをしてきているのも頼もしいところで、「ウチに攻撃力があるのは間違いない」という野村の言葉もうなずける。それだけにこの日喫した3失点の質は反省材料で、練習試合だから良かったとしていてはいけない類いのものだった。チームで設定した優勝ラインの勝点48は大津の圧倒的な強さによって超えられてしまったが、その目標達成にはまだ届く。次戦は11月17日に行われる延期分の12節岡山戦で、まだまだここからが鍛えどき。この日受けた刺激も貴重なものとして、若鯱はまた次の研鑽に目を向けた。
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