【赤鯱探訪】榎本大輝編① 「最高の誉め言葉は、“天才”」
赤鯱探訪 第25回 榎本大輝編
榎本大輝
(2018~2019 名古屋グランパス所属)何とも言えない魅力に満ちた男なのである。変幻自在、唯一無二、独創的なことこの上ないドリブラーはその武器だけで見る者の心をつかむ力を持っている。特別指定を経て名古屋に加入し、あの吉田豊をぶっちぎったことでも我々報道陣は度肝を抜かれたものだが、あれから6年の月日が流れ、彼はいまその哲学をより強く、しかしサッカー観としては広範にして日々ボールとの対話を続けている。得点などの数字についてはまだ興味が薄かったように見えた、そして実際にもそうだった若手の時分にはなかった、「結果が出てこそ評価される」という想い。試合に出なければプレーはできず、評価とは試合の出場へとつながっていく何より重要なもの。そう思えたからこそスペシャルなドリブラーはいま、結果を出すことに躍起になっている。“うまい”ではなく“やばい”、“やばい”を超える“天才”という評価を勝ち取るために。魂という言葉を使った榎本大輝は、やっぱり何だかワクワクさせてくれる男だった。
赤鯱探訪・榎本大輝編①
「最高の誉め言葉は、“天才”」
Q:まずは現状のことから聞いていきますが、滋賀に来て2年ぐらいでしょうか。ここでのプレーはいかがですか。
「今がちょうど2年ぐらいですね。どうなんだろうな、うーーーん、って感じではあります。でも前よりはやっぱり貪欲になってきていますね、得点とかに。それぐらいっすね、変わったのは。あとはやっぱりもっと楽しくサッカーはしたいですよ。やっぱり自分が楽しいって思うようなサッカースタイルは難しいし」
Q:こうしてしっかり現地でプレーを見ると、紅白戦でも「こんなに守備していたかな」とか「こんなに裏取りに行く選手だったかな」と、そういう発見はありましたが。
「そうっすね。今までが控えめだったのかもしれないです。得意なんすけどね、意外と」
Q:プレースタイル的に自分が変わったと思ったりもしますか。
「そんなに大まかなところでは変わってないっすけどね。やっぱり仕掛けられるところがあったら仕掛けるんですけど、今はたぶんそういうタイミングがあんまり多くない。自分がボール持って“よーい、スタート”みたいなプレーがないから、ドリブルというよりはほんと抜くっていうか、よけてる感じですかね。スルッって。細かく味方も使って、相手に捕まらないように。だけど大まかには変わってないっすね」
Q:ということは、ドリブルで行き続けるみたいな選択肢は自分の方で閉じているわけですか。パスを先に選んでいるような。
「そうですね、閉じてるっていうか、得点を優先してるって感じですね。今ここで仕掛けても、ゴールから遠いしな…みたいな。だからどこで仕掛けるか、ペナルティエリア近くに行ったら仕掛ける、とか。でも逆にペナルティエリアの近くに行ったら、相手もそれは知ってるんで、仕掛けながらワンツーしたりとかもけっこうありますね。考え方ですね、要は。結局のところ、得点しか評価されないんで。全然違うんですよ」
Q:そこを痛感してるんですね。
「そうです。そこが全てだったかもしれない。これまでも、もっと貪欲に点を取りに行かなきゃいけなかった。自分はそういうタイプでもないんすけどね。タイプ的には何と言うか、“流れを持ってくる”タイプなので。違いとかを出す。たとえばみんなが攻撃で時間作れないなら作ってあげるし、みたいな。このチームでもそうですけど、みんなが疲れている時に、時間をどれだけ自分で作ってあげられるかとか、前に行ってあげるとか、そんな感じですね」
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